ハセガワ1/350隼鷹を作る(その25)

2017–07–08 (Sat)
 船体の製作に入る前に一つ整理することがあります。以前の記事で船底の諸孔を検討した際に、隼鷹固有の資料が無いため当初は手元にあった飛龍の図面を流用したのですが、「飛龍と隼鷹では復水器の仕様が異なるから、参考にすべきは他の商船ではないか」という指摘を受けました。全くその通りなので改めて資料を探すことにしました。

 その結果、国会図書館に所蔵されているモータシップという雑誌の1940年7月号に掲載されている客船新田丸(後の空母冲鷹)の機関室全体装置図に行き当たりました。機器説明の多くは印刷が潰れていますが、主なものは何とか判読が可能です。

客船新田丸(空母冲鷹)機械室左舷側装置図
モータシップ1940年7月号掲載図面より作成
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

  船舶用のタービン機関の仕組みを大雑把に説明すると、缶室のボイラーで焚いた高圧蒸気をタービンに送って推進力に替え、圧の落ちた蒸気を復水器で冷却して水に替え、ボイラーに送って焚くの繰り返しになります。この蒸気の冷却に大量の海水が必要になるため、水線下には海水の取入と排出口があり、それらの位置は冷却器である復水器の仕様や装備位置と関係があります。

 それで新田丸の復水器は低圧タービンの下にあり、船首側の船底にある吸入弁から循環水ポンプで海水を送り込み、冷却後に舷側の吐捨弁から排出している事がこの図面からわかります。隼鷹も復水器の仕様は同じなので給排水関係も同様と考えますが、復水器の正確な位置を示す資料がありません。機関室のおおまかな機器配置は一般艤装図に描かれている場合もあるのですが、隼鷹型空母(橿原丸級客船)で入手できた図面はいずれも機関室の配置が空白で何も描かれていません。

 ただ、飛鷹の昭和18年6月14日出図の艦内側面図(写真日本の軍艦別巻図面集で隼鷹として描かれているものと同じ)には、機器の記載はありませんが機械室の構造が一部描かれています。

空母飛鷹一般艤装図 艦内側面より
機関室の状況(艦底より中甲板まで)

 これを見ると、93-98番フレームに掛けて空洞を作る形で鋼材が組まれているように描かれています。上で述べた新田丸の装置図と比較すると、主復水器の周辺の構造とよく似ています。そのため、隼鷹の主復水器は新田丸と同じく低圧タービンの下に付く形だったのかもしれません。もしそうだとすれば、主復水器の海水吐捨弁はこの近辺-新田丸と同じ仕様ならば93-98番フレーム付近ということになります。

 長くなるので以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その24)

2017–07–02 (Sun)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 12.7cm連装高角砲6基分ができました。ハセガワの元々の部品もそれほど悪くはないのですが、多くの艦で装備されたと考えられる上部の閃光覆いがない上に、特徴的な後部の装填手台も専用エッチングの中には入ってなく、1/350でこれらの追加部品はこの記事を書いている時点ではどこからも出ていません。そもそも12.7cm高角砲自体、外部パーツで入手が比較的容易なものはベテランモデルの部品(VTW35031)しかないため、取り替えるなら他に選択肢はありません。


 ベテランモデルの部品はレジン+エッチング+金属砲身のセットで、他に信管秒時調整器がそれぞれ4基分入っています。レジンが細かい部分で折れやすいのと、装填手台のエッチングが多少組みにくく取り付けにくい点もありますが、それらに気を付ければ組める程度の難易度だと思います。


 このセットは旋回手と射手の配置(上画像向かって右側の二つの窓がある部分)に双眼鏡を入れるよう指示されています。実際はこのような装備は無かったようで、高射装置からの計算値に基づいて射撃を行っていたようですが、窓の向こうに何もないとこのスケールではどうも間が持たないのであえて入れました。ステップはモールドを削ってアドラーズネストのエッチング(ANN-0031)を付けています。


 上面にも細かいモールドが付いていますが、閃光覆いを付けると隠れて見えなくなるのが残念です。

 これで部品関係は一旦切り上げて、次からは船体の製作に入ります。
 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その23)

2017–06–24 (Sat)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 右舷後部3・5番高角砲座が形になりました。これで6基の高角砲座の製作が一通りできました。


 裏側は高角砲座下のサポートのみ手を入れています。その他の部分のサポートは船体に取り付けてから作る事にします。内側(画像右側)のサポートの内部は図面でも写真でもはっきりしない部分で、キットは下側(画像上側)を覆って完全にクローズする形になっています。この製作でもそのように作るつもりですが、詳しくは高角砲座を取り付ける際に述べる事にします。

 次回からは6基の高角砲の製作に取り掛かります。それが済んだら船体の製作に入ります。
 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その22)

2017–06–18 (Sun)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 右舷一番高角砲座の周辺は前後の張り出しと関係している部分なのでまとめて調整しています。南太平洋海戦当時の隼鷹は高角砲座下のカバー無し、水面見張所と艦首甲板への通路の下側のカバーは有りとしています。

 これは以前に述べた昭和18年6月14日出図の飛鷹の公式図にそのように描かれているのが元々の根拠です。隼鷹の竣工時の公式図では通路下は通常のサポートが描かれているので、これが正しければ隼鷹の竣工後に何かがあって仕様が変わったと見るのが自然です。そして飛鷹は機関故障などにより、直近の2月の入渠までにほとんど作戦行動に参加していないため、飛鷹の問題で通路の下側にカバーを付けたとは考えにくいものがあります。
空母飛鷹一般艤装図 舷外側面より
右舷一番高角砲座周辺の状況
短艇用の張り出しがありませんが、何らかの理由で描かれなかったもののようです。

 昭和18年までの隼鷹の行動を追うと、初陣のアリューシャン攻略に当たって激しい荒天続きだった事が搭乗員や乗員の手記に残されています。以前の記事でも触れたように隼鷹は昭和19年12月にも荒天で飛行甲板前端と艦首機銃座が損傷する被害を受けているので、初陣で艦首甲板への通路が想定外に損傷した可能性は充分考えられます。公式の記録は一切存在しない上にマリアナの直前には確実に存在している高角砲座下のカバーの設置時期など詰め切れない部分もありますが、一応そういう判断で作ることにします。


 高角砲座下の内側のサポートは、キットの部品K17から切り出して足りない部分をプラ板で埋めた上で通路の開口部を開けています。なおマリアナの直前はこのサポートの下に穴空きの支柱(部品E34/36)がありますが、竣工時の隼鷹の公式図には描かれていない事から今のところは付けないつもりです。

 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その21)

2017–06–11 (Sun)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 私自身の事ではありませんが、この2週間は色々あって模型どころではありませんでした。やっと落ち着いてきたので徐々に再開している状態です。従って製作も高角砲座の半分を作ったところまでです。


 高角砲を砲座に載せるとこのような感じになります。ベテランモデルのレジンパーツを使いますが、画像は比較用に仮に組んだもので上部の閃光覆や後部の装填手台などは付けていません。ステップはアドラーズネストのエッチングフックセット(ANN-0031)を使用しています。1/700と1/350共用と書かれてはいますが、厚み的に1/700専用品のようで、1/350では装備品等に部分的に用いるほかは使い道が限られるように感じます。


 背面はこんな感じです。高角砲は砲座に引き続いて製作するので、またその際に詳しく述べることにします。


 下側のサポートは前回に述べた通り、一部または全部をプラ板で作り替えています。

 以下次回。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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