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ハセガワ1/350隼鷹を作る(その66)

2018–08–26 (Sun)
 前回の続き。

 舷梯は展開状態で付ける時は問題はないのですが、航行中など展開しない設定の場合はただ単に付けないままで済ませている作例を多く目にします。露天部に収納する場合、その位置は公式図に記載されていたり写真に写っている場合もあるので、厳密を期するのであればそれも調べる必要があります。例えば航空母艦の場合、飛龍や雲龍は公式図で艦尾短艇甲板の両外側の位置が示され、また翔鶴も同様である事が珊瑚海海戦の損傷写真からわかります。

 それで隼鷹の舷梯の収納位置は公式図には記載されていないようですが、写真から判断することができます。

左:学研「空母大鳳・信濃」
右:写真日本の軍艦第四巻より
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 このマリアナ沖海戦直前、及び終戦後の写真より、舷梯のステップ部分の収納位置は艦尾両舷側、また中間の踊り場は装備位置で折り畳まれていることがわかります。

 舷梯を舷側に固縛する収納は戦前の商船で用いられていた方式で、氷川丸級客船の固縛方法がよくわかる写真が日系アメリカ人の歴史を集約したデジタルアーカイブの中にあります。直接引用はせずデータの位置だけ示しますが、

Saying goodbye at dock
Ship leaving for Japan
Ship preparing to leave

Densho Digital Repositoryより

 これらの写真を見る限り、右舷プロムナードデッキのブルワークの外側に逆三角形の架台を設け、その上に折り畳んだ舷梯を乗せて固縛していたようで、現在の保存船には残っていません。隼鷹が同様だったという根拠はありませんが、この部分のディテールが明確にわかる写真資料も無いのでこれに準ずる形で作る事とします。


 舷梯のステップ二種類は専用エッチングA-MA137,138(133,134)をそのまま、中間の踊り場はA-MA136(135)にプラ板で厚みを付け真鍮線で支え棒を付けます。今回の製作では舷梯は左右両舷共に収納状態とするので同じものをもう一組作ります。


 舷梯の架台はプラ板で作って取り付けますが、他の部分と同様に少し誇張気味に作っています。架台の先端と直上の甲板舷縁部にフライホークの手すり支柱のエッチング(FH350108)を切ってリングにした部品を取り付けます。後でステップを取り付ける際に極細の糸を通して固縛状態を再現します。


 収納状態の舷梯を仮に付けるとこのような感じになります。架台の大きさはみなほぼ同じですが、カーブの付いた舷側側面に直線のステップを付けるので、端と中央部で架台がはみ出る大きさが微妙に異なります。また踊り場の支柱の下側を支える部品は円形のリングとし、ラーセナルのリギングセット(AC35029)のエッチングを取り付けています。

 それで以前に取り外し式ではないかと書いた左舷側の舷梯最上段ですが、ステップや中間の踊り場の収納が舷側なのに、最上段だけが取り外して甲板または艦内収納というのも不自然に感じます。それに右舷側は固定式ですから、写真の見え方に疑問は残るものの、左舷側も固定とする方が合理的ではないかと考え直し、そのように作っています。


 下側から見るとこんな感じです。

 まだ細々した作業が続きます。
 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その65)

2018–08–20 (Mon)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 発動機試験場の平面形の修正に伴い、110cm探照灯と整備科軽質油庫の隔壁の位置を若干変更しました。そのため、この部分に隣接する舷外通路の形状も一部修正する必要があります。まず通路部分の専用エッチングA-MA165について、一旦隔壁のナックルの位置で切り離し、大きさがほぼ同じレインボーモデルの1/700舷外通路(Rb7005)を角度を合わせてつなぎます。


 次に下側のサポート部分A-MA172を通路の部品に合わせて接着し、最後に手すりの部品A-MA168を接着して仕上げます。


 これで外側の通路も合う形になります。




 発動機試験場の形状修正が済んだので、下側のサポートも付け替えます。面積の狭い部分ならまだしも、このように広い部分のサポートを揃えて作るのは楽な事ではありません。ただサポートが多い空母の場合、エッチングの穴開き三角板の数を揃えるのは資金的に辛いものがありますし、1/350であればプラ材加工の方が微調整も接着も容易です。


 下から見るとこのような感じになります。


 以前の記事で左舷側の舷梯最上段は取り外し式で付けないと書きましたが、結局右舷と同じものを付けることにしました。詳細については以下次回に。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その64)

2018–08–12 (Sun)
 前回の続き。

右:写真日本の軍艦第四巻より
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 左舷後部の発動機試験場の裏側のサポートの表現が少し弱いので付け替える事にしました。この部分は写真が残っているので少し貼って比較してみたところ、4つの穴が開いている大型のサポートの前端の形状が実艦では直線的ですが、キットでは内側に切れ込んでいて、何かが変です。そこで改めて調べてみたところ、キットの発動機試験場の平面形状が実艦とは少し異なっている事に気がつきました。

航空母艦隼鷹 十二糎二十九聯装噴進砲装備要項図第一回
(昭和19年7月26日製図)より

 以前に隼鷹の噴進砲の話をした際に用いた、大和ミュージアムの公開資料の図面がちょうど発動機試験場付近を示しているので、主要部分を抜粋して説明します。図面上では艦首側にある110cm探照灯と整備科軽質油庫の隔壁の位置(A)でナックルが入り、そこから試験場の後端(C)まで平面形状が直線である事を示しています。


 ところがキットではナックル(A)から試験場後端(C)までが直線ではなく、赤矢印の部分で内側に約1.5mm程度切れ込んでから後端(C)に向かっています。最初に挙げた裏側形状の違和感の原因はこれです。私自身も裏側のサポートの付け替えを行わなければまず気がつかなかった部分で、一旦形を整えたところを後から弄るのは嫌なのでそのまま通そうかとも考えたのですが、最小限の修正で直せそうだったので思い切って手を付けてみました。


 まず(A)~(C)の部分が一直線になるように1mm厚のプラ板を貼って整形し、次に隔壁を扉の付近で切断し、床との接着も(A)の位置まで剥がします。次に(A)の隔壁の裏の部分に切れ込みを入れた上で、内側に切れ込んでいる隔壁を(A)~(C)のライン上まで引き出して接着し直します。切断部分が1.5mmほど開くのでプラ板やエポパテで埋めてラインをつなぎます。無理矢理つないだので隔壁のラインが若干不自然になってしまいましたが、これはもう仕方がありません。


 隔壁の位置を替えたので、上の飛行甲板にも影響が出てきます。そのままでは隔壁がはみ出してしまいますが、幸いにもキットの飛行甲板は左舷の探照灯付近の鉄甲板と木甲板が別部品になっているため、接合部の先端を0.5mm程度広げれば丁度かぶさります。探照灯の脇の部分の張り出しが若干大きくなりますが、これも仕方ありません。上の図面で示されている通り、飛行甲板のサイドラインと隔壁が(B)で一旦同じ位置になり、隔壁はそこから内側に切れ込んでゆきます。

 大体の形は出来てきましたが、まだ厄介な作業が残っています。
 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その63)

2018–08–05 (Sun)
 3回前の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 リールの製作がまだ残っていたので取り掛かっていました。どんな艦船にも普通にある装備で、外部パーツもそれなりに出てはいますが、水密扉などど同様に意外に表現に乏しく1/700を引き延ばした単調なものばかりで、サイズも極端に大きかったり小さかったりで選択に乏しい印象があります。また1/350であればロープは塗装ではなく糸を巻いて仕上げたいところですが、それを考慮している製品もほとんど見当たりません。スタンドとドラムが一体化しているエッチングでは糸を巻くのが極めて困難ですし、分離しているものはドラムの両サイドを水平にして傾かないようにスタンドに止めるのが難しく、一長一短の感があります。

 この製作ではスタンドとドラムが分離しているライオンロアのエッチング(R3510)を用い、ドラムの円盤の中心とスタンドに0.3mmの穴を開け、0.25mmの真鍮線を通してバランスを合わせています。ただし、エッチングの板厚が薄くて強度が足りないのでドラム・スタンド共に「二個一」としています。またハンドルはジョーワールドの通し穴付きピン(JPE999)を加工したものを用いています。 

 上の画像は奥の5個が艦尾リールフラット用で、手前の3個が艦首用、右奥の2個は部品自体は手前の3個と同じですが、取付スペースの関係で約0.8mm程度幅を詰めています。ドラムに巻く索は黒の鋼索と茶系の麻索で、数はわかりませんが飛龍の公式図などから大体同数程度としています。


 以前にも書きましたが、この製作では艦尾の増設機銃座は竣工時に設置されていたリールフラットを後方に延伸した形と解釈しています。フラット上のリールの種別も資料がなく詳細はわかりませんが、2種5個として並べることにします。


 後は艦尾の装備品を付けたところまで。中心線上のボラードと艦尾端のフェアリーダーの中間にあるのは二層下の倉庫からロープを引き出すハッチで、鋼製カバー付きのためハッチではなく円柱状の表現になります。また中心線上のボラードの左舷側にあるのは直下のキャプスタン動力室の通風筒で、キノコ状のものはフライホークの英国海軍用通風筒4(FH350135)、キセル状のものはジャンクパーツ(たぶん1/700ピットロード神川丸の部品)からです。これらは公式図に記載がなく戦後解体中の写真にも写っていないのでキットに表現が無いのは間違いではありません。この製作では「あえて」付けていますが、根拠は大変に面倒で長くなるのでいずれまた。

 以下次回。

空母瑞鳳に関する覚え書き(補足)。

2018–07–31 (Tue)
 前回の続き。

 昭和17年12月の龍鳳とされていた写真が18年末~19年頭の瑞鳳の写真とすると、一つ厄介な問題が残ります。当該の写真は飛行甲板の前端が延伸されてないので、一般的に18年頃と言われている延伸時期と矛盾します。もし行動記録にある19年2月の入渠後に横須賀に寄港した際の撮影とすれば、マリアナ沖海戦に於ける瑞鳳は飛行甲板が延伸されていなかった可能性すら考えられます。

 これに関してはもう一つ引っ掛かる史料があります。福井静夫氏がまとめた機銃等現状調査表で、瑞鳳の艦型図は飛行甲板が延伸前の状態として描かれています。機銃等の設置状況を示すのが目的なので艦型図に厳密性を求める必要はなく、延伸前の図面を流用した可能性もありますが、瑞鳳に関しては19年7月10日の調査時点で飛行甲板が延伸済ならば、艦首の機銃の設置状況が実態と合わなくなります。

 マリアナの決戦を前に艦上機の高性能化に対応して延伸された可能性については、延伸前の瑞鳳の飛行甲板の全長は180mで千歳型と同じ、かつマリアナ沖海戦に於ける攻撃隊の数は川崎まなぶ著「マリアナ沖海戦」に依れば瑞鳳も千歳/千代田もほぼ同じなので、攻撃の実態を以て飛行甲板の延伸を示すことにはなりません。

 実際のところは写真も改装訓令も残っていないので、マリアナ沖海戦の瑞鳳の飛行甲板に関しては推測の域を出ません(同様の問題は龍鳳にもあります)。模型を作る際には割り切って作るしかありませんが、他の空母と同様に判断材料が極端に乏しいのがつらいところです。

 この項目は以上です。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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