ハセガワ1/350隼鷹を作る(その15)

2017–04–15 (Sat)
 今年も年度末が無事に過ぎましたので、製作を再開します。



 ごく最近まで船の模型の吃水線下は軸回りと舵とビルジキール程度しか付いていないのが普通でしたが、資料公開が進んだ事によって聴音機や給排水口のモールドが付いたものも出てくるようになりました。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 これはフジミの1/350空母飛龍の船底部のモールドですが、多数の給排水口のモールドが付いています。これは船体諸孔付きの入渠用図に依るもので、大和ミュージアムの公開資料の中に含まれています。他にも、状態は様々ですが戦艦比叡や空母龍驤、5500トン軽巡に矢矧、駆逐艦などの図面も公開されています。靖国偕行文庫の公開資料にも戦艦霧島と駆逐艦の図面が何種類か有りますが、こちらはあまり綺麗ではなく文字の判別が難しいようです。

 この船体諸孔付きの入渠用図は市販の資料ではほとんど目にしないものなので少し説明します。原資料は引用できないのでイメージで示しますが、


 このように船体の図に開孔部の位置と役割を示した表がセットになっているもので、他に開孔部の大きさや中心線または舷側の特定位置からの距離などが書かれています。それで、前に製作した阿武隈では図面があったのでそれに従いましたが、隼鷹のものはありません。無いから艦底のっぺりというのも格好がつかないので、それらしいものをでっちあげ作ることにします。

 ここでは艦の大きさと機関配置が似ている飛龍の図面を用います。まず描かれている全ての諸孔を分類すると大体このようなくくりになります。

・缶室に関係するもの
・機械室と軸系に関係するもの
・発電機に関係するもの
・ポンプに関係するもの
・弾薬庫に関係するもの
・測程儀と探信儀に関係するもの

 この分類を元に飛龍の船底の図面に諸孔図をトレスして区画との位置関係を確かめます。ポンプ系統は専用のポンブ室とつながっているものはその場所に、他は穴の位置する区画内とします。

 次に方眼紙に1/350で隼鷹のフレーム番号と大まかな内部配置を描いた上で、飛龍の区画配置を当てはめる形で諸孔位置を描いてゆきます。ただし飛龍と比較して缶室が4つ、機械室と軸が2つ少ないので、その分を差し引きます。


 そうやって描いたのがこの図。たぶん間違っているのでしょうが、まるっきりの空想でもないのでこれで製作する事にします。
 

  ハセガワが5月の静岡見本市の新製品として1/350飛鷹を発表しました。昭和17年8月ということで予想通り竣工時のキット化のようですが、気がかりなのは「南太平洋海戦時の隼鷹も再現可」とある点。これは実際の仕様を見ないと何とも言えませんが、もし竣工時+21号電探=南太平洋海戦時と捉えているなら解釈に疑問があります。次回はその事について少し書きます。

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コメント

失礼致します。

 喫水線下の穴で最も大きな物は復水器(コンデンサー)の海水入口と出口だと思いますが、この穴の形状や位置は復水器の種類によって異なります。
飛龍は一回流式で大型ポンプを使用しない自然流入式ですが、隼鷹(橿原丸)は2回流式で大型ポンプで海水を吸い入れて復水器の中で海水を往復させる方式です。
前者の入口と出口は船底に有り、入口は送管が傾いている為に長細い形をしています(後進時も自然流入式の艦では、出口(後進時は入口)も長細い形です)。後者は入口が船底(下)の場合、出口は舷側(上)に有り、入口、出口とも真円か真四角が普通です。
momoko_120%さんが飛龍を参考に作られた図面ですが、前部2基の復水器の出口を塞いで、後部2基の復水器の入口を塞いだ様な感じですが、普通、一回流式で自然流入式であれば、艦の軸線(の平行)からここまで大きく外れる事は無いと思います。どちらにしても、隼鷹(橿原丸)の復水器(コンデンサー)の海水入口と出口については、他の商船の図面か、明治以前の未だ2回流式が主流だった頃の軍艦の図面を参考にした方が良いと思います。
そういえば、以前に作られていた阿武隈の前部2基の復水器の出口は舷側でしたね。恐らく、後進タービンの付いている側の復水器で、大型ポンプが付いているからでしょう・・・。

【参考資料】
「日本の船用復水器の発達史:―明治初期より第2次大戦まで―」
http://ci.nii.ac.jp/naid/130001332447
「帝国海軍機関史 下」原書房(1981)709頁
「復水器Scoopの設計」
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003870604
「造船講演集. 第7輯」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1059972
「普通海員養成所機関術教科書附図」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1023683
「軍艦機關計畫一班 卷ノ2」海軍機関学会(1919)141~150頁


失礼致しました。

鳶色さん、いつもコメントありがとうございます。

機械室主海水取入口と排出口の位置の決め方は御指摘の通りで、飛龍は軸線に沿った位置にあります。復水器の種類との関係には全く至っていませんでした。確かに軍艦よりも商船の図面から考え直した方が良いのかもしれません。御指摘に深く感謝します。

『入口が船底(下)の場合、出口は舷側(上)に有り、入口、出口とも真円か真四角が普通』と書かれていて思い出しましたが、
http://www7b.biglobe.ne.jp/momo120/special/j_hole_46.jpg
この隼鷹の写真のビルジキールの上側面に真四角の穴が開いています。今まで作業の都合で開けたのだろうと考えていましたが、これが主海水排出口なのでしょうか?位置は機械室艦首側、船艙甲板の上のように見えます。

失礼致します。

 恐縮です。
件の写真の穴については、私も主海水排出口ではないかと考えていますが、確証は有りません。そう考えるきっかけとなったのは戦艦金剛のヴィッカース図面(「昭和造船史」別冊に収録)で、位置など良く似ていました(金剛は新造時2回流式だったのが、戦没までに1回流式に改装されています)。
↓ネット上では、タイタニック号のその部分に関する情報が散見されますね。
http://www.titanic-model.com/articles/tech/TechFeatureMar2006.htm
http://www.titanic-model.com/dc/dcboard.php?az=set_linear_mode&forum=100&page=&topic_id=52997
タイタニック号の物は当然、自然流入式ではありませんが、長方形?の様です・・・また、喫水線より上に出口が有ります。そういえば、日本陸軍の「あきつ丸」にも、こんな感じで舷側から水を出しながら航行している写真が有りましたね・・・。
因みに、海水入口側にはローズプレートと称される青銅鋳物の格子状蓋を取り付けてゴミの進入を防いでいました(船内に有る箱状のゴミ取り器の方はローズボックスと言います)。「軍艦機關計畫一班 卷ノ2」によると、ローズプレートの格子間は1/2インチで、通過面積は船内の吸管断面積の1倍半以上になる様、決められていた様です。戦艦大和の海底画像でも、小判型のローズプレートらしき物が写っているのが確認できます。

【参考資料】
「軍艦機関計画一班. 巻ノ2 図」送水喞筒(コマ番号91)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/924788
「軍艦機関計画一班. 巻ノ2 表」主復水器ニ關スル實測表(コマ番号32)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/924787


【追記】
 戦艦金剛の主海水排出口ですが、「[歴史群像]太平洋戦史シリーズ65決定版金剛型戦艦」(学研)の11ページ上の写真に、それらしい物が確認でき、ヴィッカース図面とも概ね符合します。

失礼致しました。

鳶色さん、こんにちは。

 モータシップ誌昭和15年7月号に新田丸の機関室全体装置図が収録されている事を知り、国会図書館でデジタル化済だったため近隣の図書館を通じて閲覧してきました。

 新田丸のタービンは外側から低圧-高圧-高圧-低圧と並列して装備されていますが、主復水器は両外側の低圧タービンの下にあり、そこから両舷側に主復水器灌水排出弁に至る太い配管が通じています。主循環水ポンプに接続されている配管の先が主海水取入口ではないかと思うのですが、残念ながら説明文字が読み取れませんでした。場所は機械室の船首側隔壁のすぐ近く、軸系からは離れた舷側一杯の床面に円形で描かれています。またビルジや消防系のポンプが中央から船尾寄りの両舷側に並んでいるのも読み取れます。

 この部分はコピーの取り寄せを申請しているので、到着してまた何か判る事があれば書くことにします。御指摘に感謝します。

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