蔵書の電子化のすすめ~活字資料の有効活用~(1)

2016–03–22 (Tue)
 たぶんこの趣味を長く続けられている方はみな似たような状況ではないかと思うのですが、部屋の多くに資料本や雑誌が積み上がり、加えて私の場合は模型絡み以外の単行本や雑誌など約2,000冊以上も物置に積んだ状態で、整理にも困る有様でした。

 そのため1年半ほど前から書籍の電子化に取りかかり、全体の1/4、約650冊ほどを処理して片付けたところです。作業の都合で春と秋の季候の良い時期の、手の空いた時に少しずつのペースで行い、本棚2本分と物置のかなりのスペースが空きました。特にこのブログで取り上げるつもりもなかったのですが、先日Twitterで話題が出たので、自分の経験を踏まえた上で考えることを書いてみます。



 蔵書電子化のメリットは、上で述べたように処理後に原本を廃棄すれば占有していたスペースが劇的に減ります。また本を気軽に取り出せるうちは良いのですが、そのうち積み上がって出すのも仕舞うのも億劫になり、いつしか存在すら忘れ二度買いする事にもなりかねません。模型のストック同様、かかる状況に好意を持つ家族は多くはありません。だいいち、内容はおろか買ったかどうかも記憶に無い資料など存在していないも同然です。

 手元のデジタル家電に大量の文書を超高速で読み込むドキュメントスキャナをつなげば、家中に埋まっているそれら活字資料をPDFなどの電子データに変換して蓄積することができます。


雑誌のデジタルデータによる管理(イメージ)

 具体的には以下のメリットが挙げられます。

・大量の蔵書をデジタル家電内部で一元管理できる
・特に雑誌の場合、取り扱いが実本よりはるかに楽で閲覧も容易
・原データ(本)を損ねることなくスクラップブックが簡単に作れる
・古過ぎてページが抜け落ち掛かったり異臭を放つようになった本も普通に読める
・自室に居なくてもスマホタブレット等の機器でどこでも読める
・データ化の際にOCR処理すれば雑誌内の語句の高速検索が可能になる

  内容を把握できていない(できない)本は持っていないのと同じである
  普通の個人が一度に把握できる資料本の量は本棚1個半が限度と考える
  かつ歳を重ねるにつれて記憶の範囲は狭まってくる

・データ化後に原本を廃棄すれば本の重量と部屋の占有スペースが劇的に減る
  住居スペースを気にする事無く大量の蔵書の導入が可能になる
  地震など災害時に本を詰め込んだ本棚は人命を左右する凶器に成り得る
  同じく災害時に本棚を背負ってゆくことは不可能だが
  データの容器を持って逃げるのは可能である
  クラウドサービスに保管すればその心配すら無くなる

 また、デメリットとしては以下のことがらが挙げられます。

・綺麗かつ高速処理を望む場合、本を解体しなければならない
  本の形を保ったまま高速データ化は困難
  ただし「内容が把握できさえすればいい」だけなら
  デジタルカメラで各ページを直接撮影すれば
  本の形を保ったまま比較的速い処理が可能である

綺麗なデータ化には専門の機器が必要
  最低限スキャナ
  高画質高品質のデータを希望する場合、大容量のディスク
  ドキュメントスキャナを使用する場合、裁断機

・時間と手間と体力がそれなりに必要
  例えばドキュメントスキャナとギロチンタイプの裁断機を使用し
  約150~180p前後の雑誌を1年分12冊処理する場合、
  全所要時間約2時間半~3時間程度(慣れれば多少早くはなる)
  データ量は解像度300dpi設定で
  1p当たりB5:約1~1.1MB、A4::約1.3~1.4MB前後

 これらの点を踏まえた上で、電子化の具体的な手順について書くことにします。



 何にでも言える事ですが、書籍の電子化も何を最も優先するかで選択する道具も変わってきます。一般的に電子化に用いられる機器としては以下の三つが挙げられます。

1.フラットベッドスキャナ
  一般的なスキャナ。一枚単位で読み取る。ADF装備ならば連続読込可
2.ドキュメントスキャナ
  大量の書類の両面を数十枚単位で超高速で読み取る作業に特化したもの
  紙の二重以上重ね送りを自動検知する機能が必須(後述)
3.デジタルカメラ
  書籍の各ページの直接撮影

 各々の特徴を整理するとこのようになります。

価 格データ
品質
処理速度原本保存
フラットベッドスキャナ×
ドキュメントスキャナ××
デジタルカメラ×

 デジカメはスマホ等も含めればどなたもお持ちだろうと思います。対して重ね送りを自動検知するドキュメントスキャナは高価で、この記事を書いている時点でも1台4~5万円程度掛かります。フラットベッドスキャナはA4サイズ以下用なら1万円以下で買えます。

 ドキュメントスキャナのスキャン画質は、一見にはフラットベッドと差がありませんが、原稿に混入する微細なゴミ等によって縦線状のノイズが出易くなるという構造上の弱点があります。また微妙に歪みが出る事もあり、分割した紙を別々にスキャンして後で連結するような作業や厳密なスキャンが求められる図面などの処理には向きません。

 また原本保存とは電子化する対象の書籍の作業後の状態のことで、ドキュメントスキャナは極一部の機種を除いて本のままの形態では処理できず、裁断機を用いて紙の束にする必要があります。処理後に再度製本し直す事も不可能ではありませんが、普通は処理する時点で廃棄か紙の一部を残す選択肢を選ぶことになります。

 一般的なデジカメは接写の際にレンズの歪みが発生し、本の全ページをスキャナ同等の画質に修正するには大変な後手間が掛かるため、中に何が書いてあるかのメモ代わりが現実的な使い方だと考えます。

 これらの特徴から、それぞれの道具に適した書籍を並べると以下の通りとなります。

フラットベッドスキャナに適しているもの
 画集、写真集、図面など
ドキュメントスキャナに適しているもの
 小説本、単行本、雑誌、多量の書類、各種伝票類、漫画単行本など
デジカメに適しているもの
 傷つけてはいけない貴重本
 またはメモ的に多くの頁をごく限られた時間内で処理する場合

 データの品質がフラットベッド>ドキュメント>デジカメなので、高画質が重視される画集や写真集と厳密な正確性を重視しなければならない図面などがフラットベッドに適していると言えます。雑誌の中には高品質のものがあるからこれもフラットベッドだろうという声があるかもしれませんが、1冊2冊ならまだしも、数十冊を超えたらとても処理し切れません。

 例えばB5・150pの雑誌をA4対応機で1p1p手で移動しページを繰りながらスキャンするには、いくら読み取り性能の速い機種であっても相当の時間と手間がかかります。更に1年分で12倍ですから現実的な選択とは言い難くなります。ADF付の機種であれば裁断すればページを繰る手間は省けますが、両面対応型は非常に高価です。片面のみ対応型はドキュメントスキャナと価格に大差ありませんが、表と裏で二度読ませる必要がある上に紙送りの安定性にやや劣る部分があり、重送のチェックも行わないので、後作業の手間を考えた場合はトータル100冊程度以下ならば選択肢としてありかもしれません。対象がそれ以上となるとドキュメントスキャナの導入が最適です。

 以下次回(数日内に更新します)。

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