
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します) 大和ミュージアムは朝9時開館で公開資料のあるライブラリーは夕方5時まで開いています。本館は季節によって閉館時間が延びる時もありますが、ライブラリーは年を通して変わる事はありません。開館時間が早い割にいつ行っても時間前に見学者が待っていて人気の程がわかります。ただ、大和ミュージアム自体は呉線から見て市街地とは逆の海側にあり、観光客は確かに多いのですがミュージアム見学の後は西の広島や東の竹原尾道方面に直行してしまい、呉全体の観光振興には必ずしも結びついていないのが地元にとって悩みの種とも聞きます。

これは原書房の日本海軍艦艇図面集の拡大コピーです。原本の公式図はミュージアムの公開資料の中にあり、図面集に未収録の機銃甲板や上甲板以下の平面図なども含まれています。私は年2回ぐらいのペースで通っていて資料の概要は大体把握できたので、今は行く機会がある度に関心のある艦に絞って公式図のコピーを請求したりその中の読み取れない部分をデータの参照端末を使って拾い上げることなどを主にやっていますが、量が膨大で終わるメドは立ちません。
原書房や今日の話題社の艦艇図面集をお持ちの方ならば判るかもしれませんが、図面は中の文字が読めなければディテールを詰めてゆく用途にはあまり使えません。それに加えて図面の文字の拾い上げは個々の形よりもどこに何があるのか、またそれらをメーカーがどう解釈したのかあるいは見落としたのかが大型模型を作るに当たって重要な検討事項だと考えることと、複数の艦で構造や装備の共通性を細部まで洗い出す事で資料のない艦のディテールを組み立てる材料になると考えるためですが、これらの事柄を今後このブログで触れることはほとんどないだろうと思います。

大和ミュージアムは来年1月までの予定で戦艦大和の特別展を行っています。目玉は大和の第一艦橋(防空指揮所の直下の昼戦艦橋)前半の実物大の復元セットで、窓の外のスクリーンで主砲発射シーンを疑似体験できます。
日誌台や海図台と入り口付近にあった18cm双眼鏡が省略されているため、図面で見るよりは広い印象を受けます。大和と言えども船なので個々の装備品に関しては極端に特殊なものはありません。画像の右側に天井からぶら下がっている双眼鏡がありますが、これは懸垂式の12cm双眼鏡です。当時の艦艇に一般的に装備されていたもので、公式図でも床に装備されている双眼鏡とは区別して描かれてますが、組立模型で再現されているものは私が知る限りありません。

他には大和に関係した資料や海軍艦艇の公式図などが展示されています。上画像の左壁面奥の青焼図は戦艦長門の舷外側面図(昭和16年5月現在完成図、製図元判読不可)、手前は空母鳳翔の諸艦橋と艦首楼甲板の平面図と舷外側面図(共に昭和14年4月10日現在完成図、横須賀海軍工廠造船部)。手前のガラスケースの中に入っているのは戦艦比叡の上甲板の諸水管や空気抜管の装置図(昭和15年1月現在完成図、呉海軍工廠造船部)で、内部区画が詳細に記載されているため、一般に明らかになっていない比叡の上甲板平面図としても見ることができます。
このうち長門の側面図は大和ミュージアムの公開資料の中には含まれていません。他には中央のガラスケースは撮影不可でちょっと記憶もありませんが、大和の建造に関する日誌類だったように思います。奥のケースは12cm高角双眼望遠鏡の実物です。

これは96式25mm機銃の銃身の実物です。呉市阿賀沖の海底から引き揚げられたものとの事です。

ショップはハセガワの1/450が新版と入れ替わった以外は特に変わりはないように見えました。棚にはより精密で組み立て易さを強調したハセガワ新版の宣伝POPが付いていましたが、人気一位はより安くモーターライズ可能なアリイ1/600に代わっていました。こうやって各社のキットを並べて見るとハセガワの黒を基調としたパッケージは以前の緑に比べてやや威圧感があるようにも感じます(対象の客層もキットのコンセプトも旧版と変わらないのに高級感を強調するパッケージには違和感があります)。近々新キットが出るためか、新作TVアニメの放送中にもかかわらず7月末のこの頃は宇宙戦艦のキットは見当たりませんでした。
以下次回。