なにわの海の時空館に行って来ました(続)

2012–09–24 (Mon)
 この記事は前回の続きです。


 この博物館は開館からまだ12年しか経っていませんが、収益改善の見込みがないため大阪市の行財政改革の一環として今年度末での閉鎖が決まっています。解体費用も掛かりすぎるため、建物は他の事業者に売却する方針と聞きますが、非常に特殊な構造のため手を上げる業者が現れるのかどうか現時点でははっきりしません。中でも最大の展示物である菱垣廻船「浪華丸」が本館か船のどちらかを解体しない限り外には出せないため、それが施設の転用を一層難しくしているようです。

 博物館の中心に目玉となる大型展示物を置き、その周囲に関連する展示スペースを設けるという基本構造は呉の大和ミュージアムと同じです。しかしながら大和ミュージアムの総工費65億円に対し、この時空館は3倍近い176億円も掛かり、かつ展示内容は大きく見劣りします。会議室は陸上施設にあるのみで、研究者のためのライブラリーもありません。

左上:呉大和ミュージアム1F「呉の歴史コーナー」(2010年4月22日)より
左下:東京船の科学館1F「船のあゆみコーナー」(2011年9月7日)より
右:なにわの海の時空館3F「大阪みなとづくりと発展コーナー」より
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 ドーム型の本館は外側がガラスになっているため、「壁」がほとんどありません。また外側から光を取り込む構造のため、それを遮るような大型パネルもあまり設置できないようです。博物館は壁に沿って大型の説明パネルを設置し、手前に展示スペースを設けて所蔵品を展示し、見学者は流れるように見て回る様式が定石ですが、この時空館では構造的にそのような展示ができません。所蔵品の展示や説明の多くは各階3ヶ所に設けられた円柱状のスペースの内部に押し込められているため、見学者は点と点を見て回るような形になり、展示内容が散漫な印象を与えてしまいます。また本館内に順路表示がほとんど無く、どこからどう見て回れば良いのか判りにくい所も非常に気になりました。

 海上施設が陸上より維持管理が難しいのは保存船などを見れば明らかですし、メインの菱垣廻船も水に浮かんでいる訳ではないので、海上に作らなければならない理由はありません。内部から天井を振り仰ぐ光景やライトアップされた夜景は大変美しいのですが、デザインに凝りすぎたあまり博物館としての機能性や拡張性を軽視した施設と構造で、これではあの市長でなくとも廃止はやむを得ないというのが私の率直な感想でした。



 ただし、「入れ物としての」博物館の廃止にはやむを得ないところがあっても、大阪が海上交通の要として発展してきた歴史に関する展示は規模を縮小してでも移転して続けて欲しいと願います。当時の絵画や古文書などは貴重な歴史文化遺産ですから、閉館と共に人の目に触れなくなるのは残念な気持ちがあります。


なにわの海の時空館3F「大阪の物流と海運の発達」コーナーより
ガラスの中にあるのは大日本海陸道中図絵という江戸時代の道路案内地図です。


同2F「和船の変遷と菱垣廻船の沿革コーナー」より
ガラスの中には御座船(要人用の豪華船)の設計図や
和船物流に関する書状などが展示されています。

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