昭和18年7月下旬の軽巡阿武隈に関する覚え書き(2)

2011–10–12 (Wed)
 まずは船体から。

 船体は基本的には公式図に、艦底の諸孔の位置と形状は入渠用図の内容に従っています。公式図には艦首のアンカーレセスが記入されていませんが、存在が写真から明白なので表現しています。また図面上での舷外電路の設置位置も開戦前や真珠湾攻撃当時の写真では一部違うようなので変更しています。

 外板に関しては5500トン軽巡の外板展開図が見当たらなかったため、各艦の写真を元に推測でモールドを加えました。合わせのラインは単純なものとしましたが、その後重巡羽黒や駆逐艦各型の展開図を見る機会があり、それらから推測すると艦底部のラインはもっと複雑な構成だったかもしれません。

 アオシマ1/350球磨/長良型のキットの舷窓の位置は全体的にやや低く、艦首部は本来であれば各甲板のシャーラインに合わせて上に弧を描くところが直線に並んでいます。埋めてフライホークの舷窓エッチングを貼るのが最も手っ取り早い方法で、本製作でもそのように処理しています。

 喫水線は満載喫水線の位置で塗り分けたつもりでしたが、どうも違和感があったため再チェックしたところ、公試常備状態での水線位置で塗ってしまっていました。つまり、実際の喫水線の塗り分け位置は模型より更に1.5mmほど上に位置します。これは上部構造物の取り付けがほとんど終わってから気が付き、船体の再塗装は既に不可能で、実艦よりもやや乾舷が高くなってしまいました。最も基本的な事柄でミスがあったのは痛恨の限りです。

 アオシマ1/350球磨/長良型のキットの問題点の一つとして、艦尾水線下の形状が実艦と異なる点が挙げられます。具体的には艦尾端での船体の深さが約1mm不足、艦尾水線下の形状も内側にえぐれ過ぎ、加えてシャフトプラケットの支柱も1~1.5mm程度長いため、結果として舵と船体の間の隙間が大きくなっているほか、スクリューが艦底外板からかなり離れた位置に付いてしまいます。スクリューの先端と艦底外板にほとんど間隔が空いていない事は、魚雷で艦尾を失った名取の損傷修理中の写真からもわかります。

右舷外軸側スクリュー付近に於ける艦尾形状の比較
(この画像はクリックすると拡大表示します)

 根本的な解決法は艦尾艦底部を一旦切り離し、プラ板を挟んで1mm下げさせると共に、船体線図を元に艦尾にパテを盛って整形し直すしかありません。今回の製作では実行しましたが、労力がかかり過ぎる割に効果は無く、艦尾水線下の形状がわかる写真がほとんど残存していない事もあって、キットのままでも正直言ってあまり違和感は感じませんし到底お勧めできるような修正作業ではありません(ゆえに長良の雑感でも指摘はしていません)。


 スクリューブレードの先端に位置する外板と舵に保護亜鉛板を付けています。詳しい説明は省略しますが、形状や枚数の違いはあれ複数の金属素材が水線下にある船には構造上必ず装備されているものです。しかしながら、これが表現されている模型はほとんど見当たりません。本製作では5500トン軽巡の設置状況を示す資料や写真が手元に無いため、大和ミュージアムで公開されている軽巡矢矧の入渠用図に記されている設置状況を参考にして表現しています。

 以下次回。

« 昭和18年7月下旬の軽巡阿武隈に関する覚え書き(1) | HOME |  昭和18年7月下旬の軽巡阿武隈に関する覚え書き(3) »

コメント

コメントの投稿

 
管理者にだけ表示

トラックバック

トラックバックURL

http://momo120.blog69.fc2.com/tb.php/624-2ec0ae2c

⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

プロフィール

MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
模型の守備範囲:船
Webページ:模型の缶詰

現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

Twitter

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

カレンダー(月別)

08 ≪│2017/09│≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

月別アーカイブ

2017年 09月 【3件】
2017年 08月 【4件】
2017年 07月 【4件】
2017年 06月 【3件】
2017年 05月 【4件】
2017年 04月 【4件】
2017年 03月 【2件】
2017年 02月 【3件】
2017年 01月 【3件】
2016年 12月 【5件】
2016年 11月 【5件】
2016年 10月 【4件】
2016年 09月 【6件】
2016年 08月 【4件】
2016年 07月 【4件】
2016年 06月 【3件】
2016年 05月 【4件】
2016年 04月 【2件】
2016年 03月 【7件】
2016年 02月 【4件】
2016年 01月 【3件】
2015年 12月 【4件】
2015年 11月 【2件】
2015年 10月 【3件】
2015年 09月 【3件】
2015年 08月 【6件】
2015年 07月 【4件】
2015年 06月 【5件】
2015年 05月 【6件】
2015年 04月 【5件】
2015年 03月 【5件】
2015年 02月 【4件】
2015年 01月 【6件】
2014年 12月 【5件】
2014年 11月 【5件】
2014年 10月 【4件】
2014年 09月 【4件】
2014年 08月 【5件】
2014年 07月 【1件】
2014年 06月 【1件】
2014年 05月 【3件】
2014年 03月 【1件】
2014年 02月 【1件】
2014年 01月 【2件】
2013年 12月 【1件】
2013年 11月 【1件】
2013年 10月 【2件】
2013年 09月 【2件】
2013年 08月 【2件】
2013年 07月 【1件】
2013年 05月 【1件】
2013年 04月 【1件】
2013年 03月 【1件】
2013年 02月 【3件】
2013年 01月 【4件】
2012年 12月 【4件】
2012年 11月 【6件】
2012年 10月 【2件】
2012年 09月 【2件】
2012年 08月 【2件】
2012年 07月 【2件】
2012年 06月 【3件】
2012年 05月 【4件】
2012年 04月 【1件】
2012年 03月 【2件】
2012年 02月 【4件】
2012年 01月 【9件】
2011年 12月 【8件】
2011年 11月 【6件】
2011年 10月 【14件】
2011年 09月 【8件】
2011年 08月 【5件】
2011年 07月 【6件】
2011年 06月 【4件】
2011年 05月 【4件】
2011年 04月 【4件】
2011年 03月 【1件】
2011年 02月 【3件】
2011年 01月 【3件】
2010年 12月 【7件】
2010年 11月 【9件】
2010年 10月 【9件】
2010年 09月 【10件】
2010年 08月 【11件】
2010年 07月 【6件】
2010年 06月 【4件】
2010年 05月 【5件】
2010年 04月 【5件】
2010年 03月 【3件】
2010年 01月 【3件】
2009年 12月 【7件】
2009年 11月 【4件】
2009年 10月 【1件】
2009年 09月 【5件】
2009年 08月 【10件】
2009年 07月 【3件】
2009年 06月 【5件】
2009年 05月 【9件】
2009年 04月 【2件】
2009年 03月 【9件】
2009年 02月 【7件】
2009年 01月 【9件】
2008年 12月 【7件】
2008年 11月 【9件】
2008年 10月 【4件】
2008年 09月 【9件】
2008年 08月 【9件】
2008年 07月 【11件】
2008年 06月 【10件】
2008年 05月 【11件】
2008年 04月 【10件】
2008年 03月 【10件】
2008年 02月 【14件】
2008年 01月 【15件】
2007年 12月 【16件】
2007年 11月 【15件】
2007年 10月 【15件】
2007年 09月 【15件】
2007年 08月 【16件】
2007年 07月 【15件】
2007年 06月 【15件】
2007年 05月 【17件】
2007年 04月 【15件】
2007年 03月 【15件】
2007年 02月 【14件】
2007年 01月 【16件】
2006年 12月 【16件】
2006年 11月 【15件】
2006年 10月 【16件】
2006年 09月 【15件】
2006年 08月 【15件】
2006年 07月 【17件】
2006年 06月 【13件】

ブログ内検索

リンク

RSSフィード

ブログランキング

気に入っていただけましたら
押して頂けると励みになります

AD banner

楽天で探す
楽天市場