雑感:ハセガワ1/350空母「赤城」(その4)

2008–12–07 (Sun)
 前回書き漏らしたことですが、船体水線下の外板モールドは水平面のごく薄い凹モールドのみです。前作長門の航空機のパネルラインを思わせるモールドは仮に実物通りだったとしてもオーバーな感が否めなかっただけに、全体的にもすっきりした仕上がりになっています。

20081207_1
船体水面下のモールド

 各部品の合いは良いのですが、二三気をつける部分はあります。

 まず説明書p5、過程8で艦尾の部品を組み込む際に、部品E10に対するE9の接着位置はE10の艦尾側下端の凸モールドにE9の側面下部を合わせます。E10の水密戸が付いた部屋の底が1mmほど浮きますが、過程31で床の部品N30を組み込むためのものなので、ここで合わせないよう注意が必要です。

 またE10は直下の隔壁部品R17とわずかに干渉するようです。そのままでも組み込めるのですが、可能であればR17の艦尾側(番号がついていない側)の上端を、中心から12-14mmの部分を削るとよりスムーズに船体が貼り合わせられます。


隔壁部品R17の加工。
左の矢印の部分を削り込むと右のように干渉が避けられます。
(右画像のE10は諸般の事情で下端の凸モールドを削ってあります)

 艦尾の13m運貨艇を収納する部分(E8+D6+D7)のうち、左舷側は舷側がオープンになっていますが、天井の部品がないため、ここから上をのぞき込むと内部の補強桁が見えてしまいます。加工は簡単ではありませんが、E8と直上の補強桁R21との間には1mm程度空間があるため、左舷側船体のR21の差込口の下側を1mm程度カットした上で、0.5mmプラ板をE8に乗せる形で取り付けるとふさぐことができます(ただしその場合R21のコの字型に囲まれた内側部分は開けておく必要があります。ここにプラ板が当たると後部エレベーターの部品が完全にはまらなくなります)。 (これは完成後はほとんどわからなくなります。手間が掛かるだけなので無駄な作業と判断して削除とします)

 船体の艦首側には洗い場に沿って低いブルワーク状のモールドがあります。これは厳密にはブルワークではなく二段手すりの下側をキャンバスで覆った形状です(キット同封解説書p8上段の写真参照)。手すりを純正のベーシックAから用いる場合はこのモールドをよけた形なので手が付けられませんが、別途用意する場合はモールドを削って洗い場と面一にした上で手すりの下側を覆うと良いと思います。なお、上記の写真から錨甲板の後方がキットと同じくリノリウムであることがわかります。

 説明書p7、過程10の艦首の組立のうち、格納庫側壁のB2とB3の部品は少し嵌めにくいので、部品裏側の隔壁部品S3・S4・S5を差し込む艦首側から3つめ迄の下側の差し込み口の下側を削り込んでおくとスムーズに嵌められるようになります。

 説明書p10、過程14に於いて、左舷後方のカッターダビッドU9の固定位置は公式図上では戦時格納位置になります。平時にこの位置に留めている写真も存在しますが、公式図上ではこのカッターダビッドの停泊時及び航海中の位置は前のものと同じく船体中心線から垂直になります。

 説明書p14、過程20の各部品の組立のうち、K29(右舷主砲射撃指揮所)の右端にAF43の探照灯管制器を接着するよう指示されていますが、これはAH4の見張方向盤の誤りです。過程15の左舷側指揮所でK28の前方にAH4が付くのと同じ仕様です。

 説明書p21、過程40で飛行甲板最後尾のポケットから降りてくるラッタルJ56、J62が途中で途切れています。ここは公式図でも読み取りにくい部分ですが、ラッタルと接する支柱部分に踊り場があり、そこから支柱内側に接する形で垂直に梯子が降りているように描かれています。踊り場は各ラッタルの先端にあるものよりもう少し大きかったようですが、支柱L31とL32の内側に垂直梯子を付けるだけでも良いと思います(この梯子は専用エッチングCに部品があります)。なお、専用エッチングスーパーを導入する場合、説明書にエッチング支柱へのラッタル等の取付の指示が一切無いので付け忘れないよう注意が必要です。

 説明書p22 過程42の艦橋の組立に於いて、発着艦指揮所N12の上に探照灯管制器AF43を2基設置するよう指示されていますが、ここは左舷側の1基のみで右舷側(説明書の図で奥側)にはAF41の従羅針儀を付けます。赤城の探照灯管制器は艦橋の3基と右舷後部機銃座の1基(説明書p18過程29)の計4基で、110cm探照灯の装備数4基と一致します。

 説明書p26、艦載機のマーキングのうち各機のプロペラは全面銀の指定ですが、ブレードの裏側に当たる部分はフラットブラックで塗ります。艦載機のデカールのうち、説明がない15番の短い赤線二本は全ての艦載機のプロペラブレードの表側の先端近くに貼ります。また16番の細長い4本の赤線は99式艦爆の水平尾翼の編流測定線で、真珠湾攻撃に参加した中に記入していた機があったらしいのですが、艦毎の内訳といった詳細はよくわかっていないようで、そのためデカールに加えたものの説明は省いたものと思われます。

 航空は守備範囲の外なのであまり詳しい事は書けませんが、各作戦攻撃に於ける参加機の機番や個別のマーキングには不明の部分も多く、もし艦載機まで厳密に規定するのであれば、そこの部分は割り切る必要が出てきます(例えば説明書にある97艦攻のAI-316号機の塗装はインド洋作戦時の記録映画に映っているのが根拠と思われ、主翼上面半分の色が浅い理由や、真珠湾攻撃当時もこのような塗装だったのかはよく判りません)。

 また艦載機は全て透明部品なので、明灰系の隠蔽力の弱い塗料を塗ると逆光線で機体が透けて見える可能性があります。パテ埋め整形を行った場合は表面状態の確認も兼ねてサフェーサーを軽く吹いておいた方が良いかもしれません。



 専用エッチングベーシックBを導入する場合、MA74+MA79の取り付け指示が説明書のどこにもありません。これは恐らく左舷上甲板の舷側通路から内部に入るハッチではないかと思います。具体的には本体説明書p10過程14でJ35とT29の間の後方に開いている長方形の穴、及びp12過程16でJ45の真下の甲板上に開いている長方形の穴の上に付けるもののようです。

 またMA63~66の遮風柵を立てる場合、下にキットのQ13、Q17の部品を取り付けますが、この塗装指示がありません。前方の四角く区切られた動力部を軍艦色で、後方の板目モールドの部分は木甲板なので甲板色で塗ります。なお、遮風柵を寝かせた状態とする場合は特にエッチングパーツを用いる必要はなく、キットの部品Q12・16を塗装して接着し、凹モールド部分に墨入れするだけで充分な仕上がりになります。

 MA50・56の飛行機救助網は真珠湾作戦時の場合には取り付けないよう指示されています。確かに当時の写真には写っていませんが、逆台形で4つの穴が開いている船体側の取り付け金具は存在する(キット同封解説書表紙写真参照)ので、この部分のみ救助網から切り離して該当の位置に接着します。

 それと、艦尾信号燈(MA55)を艦尾旗竿に付けるよう指示されていますが、これは明確な誤りです。旗竿は艦首艦尾共に作戦行動中は倒すため、間違ってもこのような場所には付きません。正確には右舷側最後部の飛行甲板支柱(説明書p21過程40のL33、または専用エッチングスーパーMA518)の上部に付きます。なおこの信号燈の部品は縦の燈が1個多い(縦4列、横3列)ため、縦に3個並んでいる側の端の1個をカットすると共に、3個横に並んでいる側を下にして取り付けます。


丸スペシャルNo.2 空母赤城加賀p7より引用
左上の飛行甲板支柱の部分に信号燈の一部が写っています。
また艦尾旗竿が倒されている点にも注意。

 専用エッチングスーパーを導入する場合、説明書には切り離す前にメタルプライマーを吹くよう指示されていますが、そうするとトラスが組みにくくなるので、プライマーや塗装は組んで飛行甲板に取り付けた後に行うとより楽に組み立てられます。エアブラシが必須ですが、このような複雑なエッチングはそもそも筆で塗れるようなものではありません。

 また、エッチングスーパーを導入する場合、本体説明書p16過程25でU16+U17の2個の部品は取り付けず、船体壁面の各取り付け穴の向かって右側にある逆三角形状のモールド2ヶ所を削り落として壁面と面一にしておく必要があります。そうしないと飛行甲板中央裏面のトラスのエッチングを組み込む事ができません。隔壁E13は裏面トラスのエッチングを組み込んだ後にそれに合わせて接着します。この手順はスーパーの説明書には一切書かれていないため、注意が必要です。



 艦載機は零戦21型と99艦爆が各3機、97艦攻が6機入っています。離陸距離は零戦、艦爆、艦攻の順で長くなるため、3種類とも並べる場合はこの順番に、中心線に1機、その両脇に2機ずつ並べる形になります。ただし、実際の作戦行動に於いては第一次・二次といった攻撃隊毎に艦爆隊・艦攻隊などとするか、一回の攻撃で両方の機種を使用する場合はいずれかの艦(戦隊)が艦攻、他が艦爆隊と艦毎に機種を振り分ける事が比較的多かったため、模型上の演出とは別に時期を厳密に決めたい場合は良く調べる必要があります。

 上でも触れましたが艦載機は風防の効果を考慮して全て透明部品になっています。モールドもデッサンも良好ですが、1/700の発想の延長で、それらがメッシュを応用して透明度よりも風防枠のメリハリを強調した作例が増えている事を考えた場合、個人的には1/350ではもっと違った表現方法があるのではないかと考えます。

 具体的には風防のみ透明部品で、別に枠のエッチングを用意する、胴体はコックピットの凹みまで再現し、搭乗員フィギュアが(上半身のみでも)入れられるようにする、「現在の」1/350ならばこの程度まで有っても良いのではないかと考えます。全面透明部品では風防の切り離しもコックピット内部の加工も困難ですし、またプラも固い割に折れやすく、特に97艦攻の脚は細心の注意を払いながら切り離さないと車輪と脚の境目付近で簡単に折れてしまうため、この点は考慮の余地があるように思います。


 考証面に関しては、艦首左舷側の探照灯格納部や左舷後部艦載艇収納部の各側面がオープンになっていたり、煙突やその周辺の形状など、メーカー公称以外にも各部に目新しい表現が見られます。その是非に関しては資料を持ち合わせていないので何とも言えませんが、唯一、煙突が当たる部分の飛行甲板が従来の模型と同じく木甲板のままとされている点には疑問があります。

 大改装後の赤城を捉えた有名な空中写真がありますが、「写真日本海軍全艦艇史」(KKベストセラーズ刊)に掲載されている鮮明な写真を見ると、煙突付近の甲板材質は他と違うように見えます。またモデルアート別冊「真珠湾攻撃隊」p154下段の、AI-111号機の発艦写真を見ると、ちょうど煙突付近に当たる滑走静止装置付近右舷側の縁の甲板のパターンが、明らかに木甲板とは異なるパネル状のように見えます。また、同著p149上段、赤城飛行甲板のスナップで、艦首から3本目と考えられる伸縮継ぎ手を境に、手前側の甲板の縁が木甲板とは異なっているように見えます。これらの点から、大改装後の赤城は翔鶴型のように煙突付近の飛行甲板の縁が一部鉄板張りだったのではないかと考えます。模型で再現する場合は区切って(木甲板モールドを落として)塗装するだけですし、別売の木甲板セットも該当部をカットするだけですから、それほど困難な作業ではありませんが。


 以下続きます。

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赤城の飛行甲板

私も長谷川の赤城を購入し、皆さんの制作記事を参考にさせて頂きながら制作をしたいと思っています。さて、「煙突上部に当たる飛行甲板が木張りではないのではないうか?」との疑問は私も当然過去から持っていました。しかし、赤城の場合は甲板との隙間が翔鶴や飛竜クラスと比べて大きく、更にこの巨大な煙突の上部には飛行甲板作業員の待機所もあり、木張りを止める程そんなに温度が高くならなかったのではないでしょうか。

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