雑感:ハセガワ1/350戦艦「長門」(その6)

2007–11–01 (Thu)
最後は資料の紹介を。

 戦前、長門型戦艦は日本最大の主力艦として国民に最も親しまれた軍艦でした。そして長門が戦後まで残存したこともあって残された写真が比較的多く、また陸奥の公式図も残存しているため、資料は比較的数が出ています。

 長門型戦艦の模型の資料としてはまずこれが挙げられます。

20071101_1
艦船模型の製作と研究 戦艦長門 陸奥
不二美術模型出版部 企画・編集(1977)

 現在は絶版で入手は極めて困難、かつ中古価格も決して安くはないのですが、この本の有無で模型の内容が左右されると言っても過言ではないほど重要な資料です。1/500と1/200二つのフルスクラッチの製作法を段階を追って解説した内容で、個々の構造物の形状の把握が容易になるほか、模型に対する考え方や製作テクニックはあらゆる面に応用が利きます。また実艦の建造から終焉までの変遷も写真を交えながら詳しく述べられています。


 学研の一連のシリーズは1/200戦艦陸奥の精密模型や戦後に撮影された長門の写真などが細部を考える上で非常に参考になります。また、実艦の行動記録や水谷清高氏の長門陸奥の変遷史など、比較的バランスの取れた内容になっています。


20090217_1


 またモデルアート社からも作図集が出ています。詳細はこちらの記事を。

 とりあえず、長門型戦艦の資料はこの3冊あれば事足ります。この記事を書いている時点では頭の2冊の入手が難しいのが難点ですが、労力を尽くす価値はあります。


 最初に挙げた2冊の入手が難しい場合は、この本がある程度代わりにはなります。双葉社の3Dシリーズは本によって内容が玉石混淆ですが、その中では内容がしっかりしている方ではないかと思います。上記の資料や公式図などを元に実艦の構造や変遷、陸奥との相違点を3D図で示した内容で、個々の形状の把握が容易になります。


 写真集は次の2冊が挙げられます。


 左の戦艦大和~(以下、ハンディ版と表記)は実艦の計画建造から改装、戦時中の変遷を写真や記事・艦型図と各艦の行動記録で示した本で、つまり長門型戦艦の全般的な基礎知識がこれでわかります。ただ、21×15cmと小さい本なので、写真が少しわかりにくい難点があります。右は価格が高く、ハセガワの長門だけのために買うのはお勧めし辛いのですが、1頁1隻収録の大判の写真集で鮮明なものが多く、細部のディテールや日本の戦艦の魅力が十分に感じ取れます。



 グランプリ出版の他のメカニズム図鑑がディテールの紹介に重きを置いていたのに対して、この日本の戦艦では更に一歩踏み込んで構造の解説や歴史的な背景に重点を置いています。そのため内容は比較的高度で、見た目とっつきにくいものになっています。模型愛好者の中には図鑑のコンセプトを逸脱し模型の資料としての価値がなくなったと批判する方もあると聞きますし、実際知識が何もない方がこの本を読んでも内容はほとんど理解できないだろうと思います。初心者向けではありませんが、旧日本海軍艦艇の構造と歴史的な背景を図版を多用しながらこれほど掘り下げて書いた本は他にないのも事実で、ある程度知識があって、かつ艦船模型を徹底的にやりたいという方には必携の本ではないかと考えます。私自身も、船の構造面でわからない事が出てきた時にはまずこの本を開いています。


 最後に、キットの情報も貼っておきます。

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コメント

長門作っています。

こんにちは、管理人様。

切れ味の鋭いコメントにはいつも感服しております、1/350ラッシュに便乗してハセガワの長門を製作しています。
最近までアオシマさんの鳥海と摩耶と3隻同時に製作していたのですがシェルター甲板の側壁と艦橋を作りつけた時点でアオシマさんの2艦は放置状態になりました。

どうも作っていてワクワク感「管理人様が書いておられた1/700の拡大版云々と私感的に精密感がなく作っていてストレスが溜まるなと感じました。」がなく一隻入魂で長門に傾注しています。

船体のカッチリとした感じやパーツの嵌めあいは作っていて楽しく感じます、現在甲板廻りのパーツを仮組みして微妙な摺り合わせをしているのですが2点程気になる部分があります。

1点目は甲板と手摺が付く部分「コーミングというのでしょうか?」の段差なのですが艦橋構造物の付く中部甲板はあまり気にならないのですが後部甲板は結構な段差があり気になっています。

丸スペ等の写真を見ていると何となく段差は結構ありそうに見えるのですが実際の高さというのはどの位あるのでしょうか?

2点目は航空作業甲板後部の左右に張り出している部分なのですが下の方はハッチと丸窓が2個のモールドになっていますが「歴史群像の長門型戦艦」の1/200の陸奥の模型では甲板張り出し部分の下側は下方へ膨らんだトランク状?になっているので手元にある丸スペや資料を見ていたのですがその部分が鮮明に写っているものがないので長門と陸奥の差異なのかよく分からないのです。

米軍に接収された長門の画像では張り出した下部に膨らみはないようで、軍艦雑記帳のイラストではキットのままになってるようで、管理人様お勧めの「艦船模型の製作と研究 戦艦長門 陸奥」は手元にないので自分の手持ちの資料では検証できないので気になっています。
もしよろしければご教授願いたく思いました。

ながながとすいません。

Re:長門作っています。

手すりが付く部分はウォーターウェイですが、これに関しては艦船模型の製作と研究には記載がありません。写真で見る限りは後部甲板は10cm程度ありそうなので、0.2mm程度のプラ板で縁取りすれば良いと思います。

 航空機作業甲板下側の膨らみに関しても同様に記述はありませんが、歴史群像の長門をお持ちであれば、模型の上側面写真の折込の裏側に長門の公式図があるのでそれを見て頂ければ判ると思いますが、確かに左舷側の該当部分に膨らみらしきものが描かれてはいます。また、陸奥の大改装後の写真(日本海軍艦艇写真集戦艦・巡洋戦艦p183)にもそれらしい膨らみが見えます(共に模型の表現よりは小さく見えます)。しかしながらそれが何か、左舷にもあったのかはわかりません。

 回答になっていなくてすみませんが、良き模型ができますよう。
 アオシマの高雄型とハセガワの長門の捉え方に関しては、少し思うところがあるのでまた機会を見て書きます。

Re:長門作っています。

こんばんは、忙しいなかお調べいただきましてありがとうございます。

甲板の淵は自分なりで写真から見える角度と深さを考察しながら違和感のないように仕上げようと思います。

航空作業甲板は折込の図面は見落としておりました、表の模型画像の膨らみばかりに目がいっていました。
模型では多少誇張が入っていたほうが雰囲気が出るのかなと思っており、感覚的にあの張り出しの下に何も無いのも釈然としなくて、補強プレートの類か保管庫位はあるのかなと勝手に推測していました。
他の艦艇を参考にしてもっと調べるようにします。

>アオシマの高雄型とハセガワの長門の捉え方に関しては。。。。
自分なりの感じた事ですが、鳥海と摩耶を同時に作っていてシェルター甲板と魚雷発射口の側壁パーツの合いが、極普通に作っていては隙間がかなり開いたり、摺り合わせを慎重に行っていてもどこかにしわ寄せがくるようで他の部品の合わせに労力を取られる。。。

こう言ってしまえば技量の問題になるのかもしれないですが、妙高型への展開を考えずに素直にあの側壁パーツは船体と一体でやってほしかったです。
あのスケールならガス抜きモールドはあって当然だと思いますし、アオシマさんの設計担当の人が1/700で評価を得ている事に酔ってしまって1/350はあくまで素材的な考えで作りこむ人は初めからモールドは無いほうがいいだろうと思って開発しているのかなと感じたりします。

模型の制作に不慣れな人が普通に作ってもハセガワの長門は普通に組みあがると思いますが、キット本体の価格は倍以上ありますが長門の方が3倍以上満足感があるように思います。

艦艇模型の制作に慣れた方なら、高雄型は少し手を入れるだけで充分以上の仕上がりになると思われますが一万円近い価格で売るなら手を入れなくても普通に建付けのいいキットが出来るのではと思いますが、あくまで素人考えなので分かっていないなと感じられますがお許しください。

アオシマさんの1/700の高雄型は10隻以上積んでいましてメーカーを否定しているわけではありませんし、キットをリリースしてくれる姿勢は有難いと思いますので応援はこれからもしていくつもりです。

ハセガワの長門は1/350の三笠で感動して買ったのですが、今までハセガワて艦艇は大丈夫かと思っていましたが安心して作れると回りに吹聴している次第ですが、高額商品ですが価格以上の作り応えは充分にあると仮組みの段階から感じられ、設計者の熱さが感じ取れております。

こういう商品内容でこれからもリリースされるなら次回の赤城も必ず購入しようと決意しています。



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