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ハセガワ1/350隼鷹を作る(その116)

2019–11–15 (Fri)
 前回の記事の後で、「飛行甲板の中心線は前部エレベーターの所で切れているのではないか」という御指摘を受けました。それで改めて日本ニュースの映像をチェックしたところ、確かにエレベーターの中心付近で一旦切れているように見えます。

日本ニュース第145號 「海鷲南海の索敵」より
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 また日本海軍の艦上機と水上機p191の航空写真でも下げ位置の前部エレベーターの中心線が中央部で切れているようにも見えます。写真の汚れか何かだろうと考えていたのですが、映像と合わせるとそう解釈する他はありません。従ってエレベーターの中心部分の白線を消すことにしました。長さはエレベーターの1/3としましたが、もう少し長かったかもしれません。それと切れた先の部分から遮風柵の手前までは右舷側のかすれた線が見当たらないようなので共に修正しました。中心線の両脇の線については映像も写真もよくわからないのでそのままとしています。


 他に世界の艦船増刊(新版)日本航空母艦史p139最上段の艦上機作業中の写真から、遮風柵の先から木甲板の前端まではかすれのない太線ですが、製作では少しわかりにくい感じだったのでこれも手直ししています。




 飛行甲板の先端と中央部にある放射状のマーキングは風向標識で、赤矢印で示す傘状の部分の先端に蒸気吹出口があり、ここから噴出させて流れる事によって飛行甲板上の風向を知るためのもので、多くの空母に描かれていたと考えられるものです。

日本ニュース第145號 「海鷲南海の索敵」より

 隼鷹は日本ニュースの映像などから、ハセガワの木製甲板の塗装図やデカールで大体合っているのではないかと考えます。ただし映像や上で述べた日本航空母艦史の写真では中心線と重なる部分(4)の放射線が点線で描かれていますが、それは再現されていません。また中央部の風向標識を横切る白線は飛行甲板の端まで指示されていますが、実際は(5)のように最も外側の線の位置までだったようです。

 航空母艦の風向標識に用いられる蒸気噴出口は中心線とは必ずしも一致せず、標識の傘の先端は噴出口の位置になるので、艦によっては標識の中心位置が中心線とずれる場合があります。もっともわかりやすい例はレイテ沖海戦の瑞鳳の有名な航空写真で、標識と中心線が一致していません。隼鷹も同様ですが、ハセガワの塗装図はデカールの貼付位置が掴みにくいので注意する必要があります。


 飛行甲板の艦尾端の紅白の帯は、艦の前後と艦上機の接地禁止区域を意味していたそうで、この部分に接地すると気流の関係で機体が押し戻されて海面に叩き付けられるために目立つ塗装となっていました。先の大戦では末期や輸送が主任務だった艦を除く大半の空母が塗装していたと考えられますが、帯の幅については写真が残っている艦を見てもまちまちで統一した規定は無かったと思われます。

 ハセガワの木製甲板のデカールは17年時が幅の狭い帯、マリアナ沖海戦時が広い帯と2種類が用意されています。マリアナについては直前の傾斜試験の写真から幅広であった事がわかりますが、17年時が狭い帯である事を明確に示す写真や証言は私が知る限りでは見当たりません。日本海軍の艦上機と水上機p191の航空写真は大変不鮮明で目を細めればそう見えなくもないという感じです。

 そもそも何もなければわざわざデザインを変える必要もないと解釈するのが妥当ですが、隼鷹は昭和18年11月の雷撃損傷の際に飛行甲板の後端を損傷したとする記録が残っています。

飛行甲板
F24ヨリ後部右舷<舟+右>甲板上方ニ湾曲(最大三米二〇〇)

「太平洋戦争中の日本海軍艦艇被害記録」
(防研資料登録番号④艦艇・陸上部隊-艦艇-85)

 これは昭和16年12月9日~20年8月に海軍省が接受した艦船部隊の沈没や損傷・事故に関する電報や文書から摘録したもので、隼鷹の公式図上の24番フレームはちょうど後部の木甲板と鉄甲板の境目(格納庫の後端)に当たり、そこから最大で3.2m吹き上げられた事になります。

 もちろん修理に当たって後端の帯のデザインを変えた記録はありませんが、この製作では車で言うところの事故歴を示すために変えるのも面白いと考え、ハセガワの指示にならって幅の狭い紅白帯を描いています。

 まだ書く事があります。以下次回。

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コメント

飛行甲板上の高角砲位置表示について

いつも参考にさせていただいております。
ありがとうございます。
早速ですが
飛行甲板で一つ気になっているのですが、
翔鶴型では飛行甲板上に高角砲位置に白い二重線(高角砲位置標識)が描かれていたと書籍や精密模型で見たことがあります。(赤帯に上下白縁の作例もあり。)
隼鷹クラスには描かれていなかったのでしょうか? 大日本ニュース145号をスローで見てみましたがイマイチわかりませんでした。
ご存知でしたら教えてください。宜しくお願いいたします。

Re:飛行甲板上の高角砲位置表示について

Maruta marujiさん、こんにちは。

高角砲位置標識は厳密には「一般的にそう呼ばれている標識」であって、本当に高角砲の位置を示す目的で描かれていたのかはよくわかっていません。翔鶴型に描かれているというのも「瑞鶴にあるから翔鶴にもあるだろう」程度の根拠で、写真や映像ではっきり確認できるのは瑞鶴の右舷前部の2本だけです。

隼鷹/飛鷹は写真や映像から明確に確認できないので恐らく無かったのではないかと考えています。詳しい話は長くなるので別に記事を書くことにします。

詳細のご説明ありがとうございます。
確かに瑞鶴以外の写真では明確なものはないですね。エンガノ岬の瑞鳳、終戦後の隼鷹の飛行甲板にもそれらしいものはないですね。恐らく、ご推察通り隼鷹にはなかった。が正しいようですね。
学研の翔鶴型空母の見開きページ写真の瑞鶴艦橋前部より海面をとった写真に右舷1群2基の高角砲位置にそれぞれにマークがある。原忠一少将退艦挨拶の写真の左舷2群4番の高角砲位置にそれらしいマークがある。左右飛行甲板の高角砲上部位置の計3箇所は確認できました。
高角砲位置を知らせるマークではない。しかも瑞鶴だけ。としたらこれは一体なんの為のマークなのか?謎は深まるばかりです。

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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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