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ハセガワ1/350隼鷹を作る(その129)

2020–04–28 (Tue)
 前回の続き。

 加賀・瑞鳳・大鷹の軽質油管系統図には供給口と合わせて「戻油用の漏斗」が描かれています。詳細な用途はわかりませんが、気密蓋付きで底に玉形弁が付き、配管の先は軽質油管に接続されています。設置位置は加賀と瑞鳳は格納庫のみ、大鷹は格納庫に加えて飛行甲板のライン上にも描かれています。

 次に空母葛城の昭和19年10月15日現在の上部平面図には所々に「ガソリン戻し口」が、下図の赤矢印で示した部分に1個または2個並列で描かれています。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 そして、Google Arts & Cultureに、ライフ誌のカメラマンだった George Silk氏が終戦直後に呉軍港周辺で撮影した一連の写真が公開されていますが、その中に大破横転した空母天城の鮮明な写真があります。この1番高角砲周辺を拡大してみると、

George Silk "Remains Of Jap Fleet"
Google Arts & Cultureより

 側面にBと描かれた桶のような装備品が兵員待機所にあるのがわかります。舷は異なるものの、上で示した葛城の公式図の位置と一致することから、これが航空母艦の戻油用の漏斗ではないかと推測します。またその周囲にハンドルの付いたバルブがあり、これも軽質油の供給バルブかあるいは消火栓かもしれません。

 航空母艦の消火用の配管に関しては雲鷹の装置図が大和ミュージアムの公開資料にあり、それによれば飛行甲板の周辺は片舷当たり6個、計12個の消火栓が遮風柵周辺から後部飛行機エレベーター周辺に渡って描かれています。



 隼鷹は終戦後の鮮明な写真が残ってはいるのですが、兵装に加えて航海通信関係の装備の多くが既に撤去されていたため、詳細についてはよくわからない部分が多々あります。飛行甲板周辺の軽質油供給口や戻油用の漏斗、消火栓についても資料は皆無で、ここまで述べてきた断片的な資料を基にデッチアゲ想像することとします。

軽質油供給口
 左舷8ヶ所、右舷5ヶ所、計13ヶ所
 (1個:3、1個+戻油漏斗:5、2個:4、2個+戻油漏斗:1)
消火栓
 左舷8ヶ所、右舷6ヶ所、計14ヶ所

 飛行甲板上の戻油漏斗は加賀と瑞鳳は図面上は無し、大鷹と葛城は有りと割れています。本製作では変化が付くので有りとします。また軽質油供給口も消火栓も左右同数だったのではないかと考えますが、艦橋付近の設置の仕様が全く判らないのでその部分は省いています。


 この項目は以上です。
 次回から各装備品の製作と取り付けに掛かります。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その128)

2020–04–26 (Sun)
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 製作は飛行甲板を貼った所までで、ようやく空母の形が見えてきました。
 ここから更に部品を追加します。



 福井静夫著「海軍艦艇史第三巻」の巻末資料編の一万トン級航空母艦艤装方針にこのような記述があります。

第一章 発着甲板
 二.発着甲板ニ装備ス可キ主要装備下ノ如シ
  (四)軽質油供給装置
    甲板前後部ニ各舷一ヶ所設クルヲ標準トス

 つまり日本海軍の航空母艦の飛行甲板には航空機用の軽質油供給装置の設置が基本方針としてあった事が示されています。しかしながら装備の詳細について書かれた資料は私が見聞きした範囲ではなく、模型で反映されているものも目にしません。

 大和ミュージアムの公開資料の中に空母加賀(大改装後)、瑞鳳、大鷹(1003番艦)の軽質油管装置系統図があります。これは軽質油の諸装置の接続関係を図で示したもので、電気の回路図を想像して頂けると大体のイメージが掴めるかもしれませんが、装置図ではないので艦内に於ける配置は大まかにしか示されていません。それでも航空母艦の軽質油供給システムについて理解することはできます。

 これらの図面に共通する点としては、軽質油タンクの用途がAB特殊の三種類に別れている事、飛行甲板と格納庫甲板に複数の供給口がある事、戻油用の漏斗が併設されている事などが挙げられます。仕様は以下の通り(格納庫内の数は割愛)。

艦名軽質油タンク飛行甲板供給口数飛行甲板
戻油漏斗数
特殊特殊
加賀(明細なし)22
(明細なし)
(記載なし)
瑞鳳95.49t45.56+34.26t14.83t(記載なし)
大鷹30+30+30t30+30+20t10t
(明細なし)
航空母艦加賀 軽質油管装置系図 昭和17年5月18日製図
軍艦瑞鳳 軽質油管装置系統図 昭和15年12月完成図
第1003番艦 軽質油管装置系図 第一回改正 昭和15年12月28日製図
より作成

 このうち軽質油タンクの種別について、大戦中の航空機のエンジンはレシプロで、基本構造は現代の自動車のそれと同じです。レギュラー仕様の車にハイオクガソリンを入れても性能は同じですが、ハイオク仕様にレギュラーを入れると本来の性能が引き出せず、車種によってはトラブルの元になります。当時の空母艦上機の指定オクタン価は判りませんが、航空母艦の軽質油タンクがABと特殊に別れているという事は、搭載される艦上機の指定オクタン価もABが主で他に特殊仕様の三種類あったと考えられます。

 飛行甲板の軽質油供給口は1つまたは2つ毎に各所に配置されていたようで、いずれの艦も供給口の先に25~30mの撓(たわむ)燃料管と先端にピストル弁が描かれています(ただし大鷹の図の工事要項には「供給口ト飛行機間ハ軽質油運搬車ニ依ルモノトス」という記載があります)。
 各供給口の位置は加賀の図面に記載があります。

フレーム 舷  数 フレーム 舷  数 
039-0412×2170-174
062-068188-190
098-100208-210
110-116224-228
116-118250-252
128-132266-268
162-166296-2981×2
 24
(内特殊油用2)

 加賀の詳細な艤装図は公開されていないので、原書房刊「昭和造船史第一巻」p476に記載されている概略の配置図から推測すると、前部飛行機昇降口~後部昇降口付近までの両舷各所に設置されていたようです。

 また主に前半部に各2個、後半部は1個が設置されていた事もわかります。これは瑞鳳の図面でも同様です。大鷹は前後部両舷にそれぞれ1個×2だったようです。

 記事が長くなるので以下次回。
 (数日内に更新します)

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