ハセガワ1/350隼鷹、発売。

2016–11–26 (Sat)
 先週、予定通りキットが発売になりました。ざっと見たところ、装備品の多くが既存の流用なので、全体的な印象は長門や赤城とそれほど変わらないように見えます。迷走気味の外板表現は今回は微細なモールドが付けられています。バリエーションはマリアナ沖海戦以前の状態が考慮されているようです。

外箱の仕様は従来のハセガワ1/350キットと同じです。
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 キットの部品数は以下の通り。

有効部品数990(船本体856、艦載機126、スタンド8)
内、流用部品300
(長門274<武装、艦載艇他>、赤城26<艦載艇、旗竿、菊花紋章>)

 この有効部品数とは、ランナーグループ内の全部品から不要部品を除いた数にランナーの枚数を掛けた合計値で、実際の組立に要する部品数はもう少し減ります。他社の1/350戦艦空母と比較しても大体平均レベルと言えます。

タミヤ新大和1140(+同梱エッチング330)
ハセガワ長門1050、赤城1170
アオシマ(リテイク前)金剛530
フジミ金剛830、飛龍680(+同梱エッチング30) いずれも約数

 同規模の中型空母のフジミ飛龍では部品数が隼鷹の7割程度ですが、同型艦もバリエーション展開も見込めないためにより合理的な設計が成された結果だろうと考えます。



 キットの船体には外板表現が成されています。ハセガワの1/350では付けたり付けなかったり中途半端だったりとキット毎にばらつきが見られる部分ですが、隼鷹の彫刻は比較的微細なもので、キットの印象を良くしている部分です。ただ、外板の配置パターンには疑問があり、特に艦首側艦底部のまとめ方と右舷中央水線付近の表現が気になりますが、別に全体の印象を左右する程の要素ではありません。これは製作の段階でまた詳しく書く事にします。艦橋と基部のふくらみは熔接構造ですが、ここにも船体と同じ凹モールドが付けられています。かなりの誇張表現ですが、完成見本写真を見る限り全くモールドが無いよりは精密感が加わっているように感じます。
 それと、船体の舷窓は昭和18年以降の中甲板以下が閉鎖された表現です。

船体外舷のモールド 上:右舷中央艦橋下 下:左舷中央~後部

 船体以外では、赤城ではただの凹みだった遮風柵格納部は飛行甲板と一体でモールドが付いているので、遮風柵は立てる事もできます。4本の信号檣は垂直水平どちらも可能ですが、説明書には曖昧な図示しかありません。格納庫の部品は無くエレベーターは別部品ですが下に下げる事もできません。ただ格納庫に関しては国内メーカーの1/350空母で再現しているものは無いので特段配慮が足りない訳ではありません。なお、隼鷹は格納庫の 両脇に船室や通路が並ぶ区画配置なので、格納庫の自作再現は他艦に比べれば容易にできると思います。

飛行甲板の遮風柵格納部のモールド

 組立説明書はハセガワの従来の艦船キットと同様ですが、実艦解説は表紙の1/3に簡単に書かれているだけで、タミヤ1/700の解説にもはるかに及ばないのは定価で2万超えるキットとしてはかなりいただけません。長門や赤城のような別冊子を付けろとは言いませんが、飛鷹型航空母艦は戦前日本の商船の発達やミッドウエー後の日本機動部隊の盛衰など多くの時代背景を背負っていましたし、メーカーの熱意を疑いかねない要素なので、せめてそれに見合った解説が欲しかったところです。



 キットの不要部品を見てゆくと、艦橋前の部品に91式高射装置の台座が付いた部品があるほか、艦首の増設機銃座が無い状態用のボラードも入っているので、マリアナ以前の仕様も考慮されているようです。その場合、艦橋前の4.5m測距儀の支柱に8cm双眼鏡用の張り出しが付きますが、この部分の部品割を見る限り、前に飛鷹との識別点で書いた隼鷹の正面に付ける形ではなく、飛鷹の斜め側面に付ける形に対応した割り方のように見えます。

艦橋前部の甲板 下(G82)を使用、上(G81)は不要部品
なお、画像右側の通風筒の部品のうち、長い方(G84,86)は不要部品ですが、
隼鷹の竣工時の公式図では艦橋下の舷側にこの通風筒が描かれています。

艦橋前94式高射装置の基部支柱の分割
奥の左舷側半分の部品(D18)には
見張台を取り付けられるような配慮は見受けられません。

 また、このキットでは飛行甲板先端と後端の鉄甲板部が別部品になっています。隼鷹と飛鷹には飛行甲板前縁の角の有る無しでどうも相違があるらしいのですが、飛鷹を出すつもりがないのなら前部は一体化しても特に支障はないようにも思えるので、恐らくバリエーションとして出てくるのはマリアナ以前の飛鷹ではないかと考えますが、設定時期はよくわかりません。

 船体は上で述べたように昭和18年2~3月の入渠の際に実施されたと考えられる、中甲板以下の舷窓が閉鎖された状態ですが、艦尾甲板の部品の裏側には、艦尾機銃座の設置で撤去された旗竿用と思われる3つの凹みがあります。ハセガワが飛鷹の艦尾機銃座の設置時期をいつと判断しているのかはわかりませんが、艦橋前後の増設機銃座がいずれも船体や飛行甲板とは別部品になっているので、ひょっとしたら舷窓の閉鎖モールドには目をつぶって竣工時として出すつもりがあるのかもしれません(ただし隼鷹の竣工時の公式図では艦尾旗竿は中心線からやや右舷側にずれた位置に描かれています)。

艦尾甲板(D12)の裏側
赤矢印は艦尾機銃座支柱の取り付け穴です

 他に考えられる仕様としては、マリアナ後の噴進砲を新設した隼鷹は、船体にそれ用の配慮が見当たらない点からちょっと難しいように感じます。またその竣工時は、舷窓の問題に加えて21号電探の新設に伴い艦橋から左舷に移設された第四方位測定室が別部品になっていないので、これも考慮はされていないようです。

 全体の印象はこんなところです。他の細かい部分に関しては製作の段階毎に述べることにします。

 以下次回。

短信

2016–11–19 (Sat)
 以前、飛鷹型航空母艦に関する覚え書き(3)で、左舷側の91式高射装置について推測を述べました。その後、老猿さんが公式図を再検討され、ブログ「海に憧れる山猿」の記事で、高射装置のより正確な設置状況と、写真からはわからなかった4.5m測距儀周辺の通路の存在を示されました。これに伴い図の一部を修正しました。また一歩理解が深まり、本当に感謝に堪えません。



 ハセガワの1/350隼鷹は専用エッチング共々今週予定通りに発売されました。大体に於いては事前の予想通りの内容でしたが、専用エッチングで方位測定アンテナの数が4本に修正されていました。詳しい印象は次回述べることにします。製作は残っている艦載艇が終わってから船体の検討に入ります。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その6)

2016–11–12 (Sat)
 3回前の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 12m内火艇の形を作ったところまでで、色々あって大して進んでいません。南太平洋海戦の隼鷹は第二航空戦隊旗艦なので、内火艇のうち1隻は長官艇仕様と思い込んで固定船室をフライホークのアオシマ用エッチングから作ったのですが、写真を撮った後に再確認してみたところ、12m内火艇でこれがあるのは陸上部隊仕様で艦載用は全て幌タイプと知り、結局無駄になりました。まだ接着はしていないので、削った縁の部分を付け直して幌を張った状態とします。


 それ以外は基本BIGBLUEBOYのハセガワ艦艇艇用エッチング(No.35032)です。操縦室の前の天窓は部品が無かったので、フライホークのアオシマ製11m内火艇用の部品から流用しています。厳密には横向きのものは窓が一つ足りない(3列×2)のですが、他に適当なパーツがなくこれで我慢します。変化を付けるため画像奥の一隻は天窓を開けた状態、手前は閉じた状態とします。また機関部のキセル型吸気口は1/700タグボートセットからの流用です。


 船室の中も変化を付けるために一隻は幌を張らない状態としますが、ハセガワの1/350艦載艇は小さい割にパーツの肉厚が大きく、そのままでは座席のメリハリが付きません。そのため、内側を底ぎりぎりまで削り込んだ上でプラ板でシートを作り直します。

 また、架台の位置(=ハセガワの元のモールド)は中に寄り気味なので、船首と船尾側のものを若干端に寄せ、それに伴い船尾用の架台は0.5mm程度かさ上げしています。

 以下次回。

防衛研究所の史料閲覧室に行ってきました。

2016–11–05 (Sat)
 以前は恵比寿の防衛省内にありましたが、今年の夏に市ヶ谷の施設に移転し、それに伴い幾つか変更になった事柄があります。先日調べ物で行ってきましたので少し。

 まず現在の概要をひとまとめに。

場所
 防衛省防衛研究所内、北側加賀門より入館
 都営地下鉄大江戸線牛込柳町駅から徒歩10分、または
 JR/東京メトロ市ヶ谷駅から都営バス高田馬場駅前行で
 市谷仲之町交差点停留所下車徒歩5分程度
 (市ヶ谷駅から徒歩で行く場合は相当急勾配の坂を登ります)
開館時間
 祝日を除く月~金、09:00~16:30(入館受付は16:00迄)
 ただし12:00~13:00は職員休憩のため諸申請の受付は不可
入館に必要なもの
 運転免許証等、本人である事を証明できる写真付き身分証明書
持込可能な物品
 筆記用具、書類ファイル、ノートパソコン、カメラなど
資料の取り扱い
 閲覧のみ可、貸出は不可
 複写は条件付き一部可(持込カメラ撮影可、ただし三脚類フラッシュ使用不可)
関連設備
 閲覧室離れに100円式無料ロッカー(大中小3種)、及び休憩スペース有
 ロッカールームでの飲食は可(机2卓、椅子6脚×2)
 便所は建物内に隣接して有、駐車スペース及び食堂なし(飲料自販機有)
注意事項
 防衛研究所の敷地内(正門含む)での撮影行為は禁止
 史料閲覧室及びロッカールーム以外の立ち入りも禁止
 一般人に対する質疑応答に過度な期待を持たないこと

 最も大きく変わった点として、スマホデジカメ等、所蔵史料の持込カメラによる撮影が可能になりました。複写申請書に書いて史料と共に提出し、閲覧室に併設されている四畳半ほどの撮影室で行います。一人当たり30分の時間制限があり、時間内に終わらない場合、後に申請者がいる時は一旦交代、いなければ引き続き撮影できます。

 ただし三脚類の使用はできず、手持ちによる撮影に限り、フラッシュも不可。カメラ以外の物品の持込もできません。そのため、極一部のメモ代わりとするのが現実的な使い方で、何十枚と必要とする場合や図面や地図といった全体の正確性を求められる史料は従来通り複写料金を払って専門業者に依頼する方が良いと考えます(疑問に思う方は一度机の上で片手でカメラを持ってフラッシュ無しで本を数十ページ程度撮影してみると後から見返す手間が理解できます)。

 また複写不可史料の撮影禁止に変わりはありません。それでも、今までメモとして描き写すだけでも容易でない作業でしたから、その面では大幅な効率化が期待できます。



 交通は徒歩の場合は都営大江戸線牛込柳町駅が最寄りです。市ヶ谷駅からも行けない事はありませんが、距離が若干長い上にかなり急な坂をずっと登ってゆくので徒歩ではあまりお勧めできません。また靖国神社(靖国偕行文庫)と合わせて行く場合は都営バス高田馬場駅前←→九段下(高71系統)で直に行けます。この場合、防衛研究所側は市谷仲之町交差点、靖国神社側は九段上(南門が開いている場合は九段三丁目)が最寄りの停留所になります。

 入館は加賀門からのみで、他から入ることはできません。また門は常に閉まっているので、詰めている守衛に用件を伝えて開けてもらいます。入館の手続きは以前と同じですが、その際に写真付きの身分証明書(運転免許証等)の提示を求められるようになっています。

 概要はこんなところです。

空母隼鷹の方位探知アンテナについて。

2016–11–01 (Tue)
 隼鷹を作るその2でハセガワのキットの見本の印象として「方位探知アンテナが明らかに一組足りない(3/4)」と書きました。その後、『隼鷹のアンテナは竣工時は4本だが21号電探の装備で防空指揮所上の1本を撤去し、マリアナ沖海戦当時は計3本で正しいのではないか』という指摘を受けました。

 結論から書くと方位探知アンテナの数は一貫して4本で、防空指揮所上のものは21号電探の装備に伴い左舷側に移設されています。これには明確な写真が存在します。

丸スペシャルNo.56日本の空母Ⅲ p63より
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 解体直前の写真ですが、赤と青矢印で示した位置に確かに4本写っています。青矢印が21号電探の装備に伴い左舷側に移設されたもののようです。

 航空母艦の場合、方位探知アンテナは方位測定室の真上に設置されます。つまりこのアンテナの下に艦橋から移設された方位測定室があるはずです。その前提で左舷側の写真を見てゆくと、

学研「空母大鳳・信濃」 p139より

 左舷中央機銃台の2列並んだ射撃指揮装置用の張り出しの間の下に部屋があり、その上に白黒が飛んでわかりにくいのですがループアンテナの一部らしきものが写っています。飛鷹型の最上甲板平面図を所有していないので100%の確証はありませんが、どうもここが移設された方位測定室のようで、もしそうならこの構造物は竣工時には無かったかもしれません。この4本目のアンテナは昭和19年12月の雷撃損傷時の写真には写っていませんが、伸縮式で下に下がっていたために写らなかったのではないかと考えます。

 ちなみに、先日発売されたフジミ700飛鷹のキットでは、このアンテナは艦橋背面の1本しか再現されていません。専用エッチングも同様なので、厳密を期するならば残り3本分の部品を調達することになります。

 この項はこれで終わりです。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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