三たび、保存船の行方。

2015–01–31 (Sat)
 今週は色々立て込んだ事情があり鬼怒の製作はほとんど進んでいません。よって更新は来週に持ち越します。工作で残っているのは中央甲板煙突間の二基の大型吸気口と他細々とした装備品などで、それが済んだら塗装のプロセスに移ります。



 今週、横浜の帆船日本丸と客船氷川丸が共に廃船の危機にあるというニュースが流れ、目にした方もあるかと思います。共に老朽化が進み、根本的な改修工事が行われない限り現状の形での維持管理は難しくなるという趣旨の報道でした。氷川丸に関しては約8年前に運営主体が変わったときに所感を述べましたが、あれから日本郵船が補修と維持管理を行っているものの、公開範囲は大幅に縮小され、かつては見学できた船首楼甲板や船尾楼甲板にボートデッキなども今は立ち入る事ができません。

 このブログでも取り上げましたが、富山の初代海王丸は2012年末~13年始めに掛けて大規模な修繕工事を行い、竣工100年に当たる2030年頃まで現状での維持保存にメドが付きました。ニュースでは詳しくは触れられていませんでしたが、富山の初代海王丸には横浜の日本丸と異なる「周辺環境」が背景として存在します。これは以前にも書いたかもしれませんが、富山県の観光地は黒部立山や宇奈月温泉など県の中心部から日帰りでは行けない山岳地に多く存在し、海側には氷見と高岡の中間にある雨晴海岸とその先にある海王丸パークくらいしかなく、多くの県民が集まれるイベントスペースも他にはほとんどありません。富山にとっては北陸新幹線の開業を見据えて観光の目玉の一つとするためにも、海王丸に4億以上の整備費を投じても維持管理する必要がありました。

 対して横浜は隣接する東京も含めて街全体が観光地でかつイベントスペースでもあり、その中で氷川丸や日本丸の存在感は相対的に薄くなりがちです。報道では地域住民の関心を高めかつ補助金を獲得するために、国に重要文化財の指定を働きかけてゆく方針が示されています。いずれにせよ、上で述べた周辺環境に加えて氷川丸は船の大きさ、日本丸は現在の場所から事実上移動不可能な状態である事がネックとしてあり、仮に国から重文指定され補助金が降りて大規模修繕が行われたとしても、それは船の無期限の存続を保障するものではないと思います。いずれにせよ船をどうすべきなのか、どうあるべきかを最終的に決めるのは地域の住民ですから、常日頃より関心と愛着を持って欲しいと願います。千葉のこじま(旧海軍海防艦志賀)の例を持ち出すまでもなく、維持管理が放棄され関心も愛着も薄れた後から騒いだところでもう手遅れなのですから。



 数日前にメールを送られた方に、本来であれば年賀状を頂いた時点ですぐに連絡を差し上げなければならなかったのですが、事情が事情だけに言葉も見つからないままズルズルと日時だけが過ぎてしまいました。その事に対するお詫びと、また追って近日中に連絡致します。

1/700で軽巡鬼怒を作ってみる(その9)

2015–01–24 (Sat)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 後部マストとシェルター甲板上の装備品を幾つか作りました。呉式二号五型カタパルトはライオンロアのエッチング(LE700018、ただしカタパルト支柱頂部はサイズが一回り大きいので別途調達)、クレーンブームはレインボーモデル(RB7043)、他は真鍮線プラ材その他余剰エッチング等の寄せ集めです。

 後部マストは単純な三脚檣ですが、公式図には最下段のプラットフォームの平面図が描かれてなく、またクロスツリー(三脚の上にあるヒトデ状のプラットフォーム)の形状も上側面図と平面図で若干食い違いがあります。鬼怒には昭和18年以降の写真が存在しないようなので他の部分と同様に確かめようがなく、この製作では適時取捨選択して作っています。


 元7番主砲跡の連装高角砲の台座は、公式図では八角形の形に描かれています。松型駆逐艦のような木製の台ではないかと考えてそのように作っています。この台は塗装の関係で後で接着します。

 以下次回。

1/700で軽巡鬼怒を作ってみる(その8)

2015–01–17 (Sat)
前々回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 煙突を3本製作しました。上の画像は右から1~3番煙突です。頂部の雨除け格子はレインボーモデルのエッチング(RB7033)、他は各種エッチングや真鍮線などの寄せ集めです。レインボーのこのエッチングは取り付けが全く考慮されていない仕様で接着に散々難儀しました。


 煙突そのものはキットの部品ですが、煙突と雨除け格子の間の部品(B13/14)は使用せず、直接格子の部品(B11/12)を接着して内部を削り、煙突そのものもジャッキステイを取り付ける関係で内側を削って肉厚を薄く均一にした上でエッチング等を取り付けます。


 1番煙突にある汽笛整備用の踊り場は長良型軽巡の他の艦では煙突の両脇にそれぞれ独立して付いていますが、鬼怒は公式図上では高雄型や最上型重巡のような前方を取り囲むような形で描かれています。エッチングの格子を取り付ける前に内側に整流板を取り付けましたが、内側を黒で塗ったらほとんど判らなくなってしまいました。


 また、公式図上では2・3番煙突の右舷側頂部に空中線用の小型の支柱が描かれています。これも余りのエッチングを加工して製作しています。また煙突正面に付く一段高い蒸気捨管の頂部はキットのようなH型ではなく傘のような形に描かれています。


 背面はこのような感じです。蒸気捨管の位置と甲板への導き方も各煙突各管で微妙に違いがあったようです。

 以下次回。

続・1/350島風のことなど。

2015–01–15 (Thu)
 先週マックスファクトリーの企画に驚いたという話を書いたばかりですが、今週フジミからも1/350島風の企画の発表がありました。生きているうちどころか2社競作とは全く驚くほかありません。マックスと異なりフジミは今まで多数の艦船キットを出しているメーカーですし、島風そのものは公式図が一式残っている艦ですから、良くも悪くも予想の範囲を出る事はないだろうと見ています。



 青島1/350戦艦金剛のリテイク版が発売になりました。最初に発売されたときに気になった艦橋床面の表現が修正されたほか、甲板に一体化されていた吸気口なども別部品化され、価格はほぼ据え置きです。フジミとの比較は発売当時に書きましたが、手直しした事でデメリットの上2つが解消され、価格との兼ね合いを考えたらほぼ互角だろうと思います。選択のポイントは当時書いた記事から変わりなく、ある程度製作技術があって外形の正確さよりも細々とした表現が欲しい方は、部品数が多く多様なエッチングが比較的安価で提供されているフジミを、技術に自信はないけれども大きな戦艦のキットを作って飾りたい方は青島を選んだ方が良いかもしれません。1944年以外の時代に改造するにはどちらを選んでも大変な工作量が求められますが、フジミのキットは船体が1944年専用で他の年代への部品替え発売を一切考慮していませんので、これも青島をベースとした方が若干楽かもしれません。ただし、青島は旧版がまだ市場に残っている可能性があるため、購入の際はリテイクかどうかを良く確かめる必要があります。

 少し前までは考えられなかった艦の発売や既に発売されたキットの手直しなど、艦船を巡る昨今の状況はめまぐるしく変わり、本当に隔世の感があります。

1/700で軽巡鬼怒を作ってみる(その7)

2015–01–10 (Sat)
 3回前の続き。

本日の画像はクリックすると拡大表示します。

 艦橋を一通り作りました。田宮の元々のキットや青島1/350とは少し印象が違って見えるかもしれません。公式図上では鬼怒の前檣上部が大戦中に阿武隈や川内と同じような形に改装された事を示していますが、それ以外にも少なくとも昭和10年以降、艦橋の構造が他の長良型と同一仕様ではなく高さが2mほど低くなっていたようです。

 艦橋の高さについてはあまり書籍などで目にしない事なので詳しく書きますが、長良型軽巡は最初に航空機を搭載した際に、艦橋中段の上部艦橋甲板に格納庫を設けた関係でこの部分の船室が他よりも高くなっているのですが、鬼怒の公式図ではそのようには描かれていません。

艦橋構造の比較
旧格納庫の上部甲板船室の高さが鬼怒では縮小されています。

 鬼怒に於いて航空機の搭載と格納庫の設置は他と同じく行われています。羅針艦橋の天蓋の位置に着目してみると、格納庫を設け艦橋前面に滑走台を設置した昭和5年頃の写真では天蓋は探照灯台の直下で煙突頂部よりも上にあります。しかし滑走台を撤去しカタパルトを後部に移設した昭和10年頃の写真では天蓋と探照灯台の間隔が空いて煙突頂部に近い位置まで下がっています。これによって、鬼怒が航空兵装を更新した際に艦橋上部を改装したことが裏付けられます。

鬼怒の艦橋、左が昭和5年、右が昭和10年
(共に丸スペシャルNo.33 軽巡長良型Ⅱより)
昭和10年頃の写真では①上部艦橋甲板の船室が低くなり
②羅針艦橋天蓋も煙突頂部付近まで下がっています。

 田宮の長良型の艦橋は阿武隈を除いて各甲板の位置関係が元々曖昧で、鬼怒に関しては各艦橋甲板の釣り合いは取れています。艦橋そのものの高さと幅は一回り大きいのですが、そのまま作ってもさほど違和感はありません。ちなみに青島1/350鬼怒の艦橋は、腰高に加え上部艦橋甲板上の正面機銃座と背面の甲板が同一レベルに無いなどデッサンそのものに問題があり、厳密を期すならば前後のマスト共々全て作り直す必要があります。

 この製作に当たってはまず艦橋基部(C17)の幅が1.5mmほど広く、かつ高さも1mm程度高いので共に詰めます。上部艦橋甲板から上の部品(C22+C3)は使わず自作します。4.5m測距儀は公式図上では形式が事なり、長谷川の1/350装備セットにあるような円形のカバーの両端が裁ち落とされたタイプのように見えますが、これはなぜか1/700ではどこからも出ていません。そのためプラ材と真鍮線で自作しています。またキットの電探室は羅針艦橋甲板(C22)の下にモールドされていますが、公式図上では上に設置されていたようです。

キットの艦橋上部部品(C22)との比較

 公式図上では艦橋両側面に張り出した見張所の前方に覆塔付1.5m測距儀が描かれているので、ピットロード新装備セット1の部品を取り付けます。その上に長方形に張り出しているのは見張望遠鏡用のもので、昭和18年前半に実施された増設の訓令に伴って設置されたもののようです。また艦橋正面の窓の周辺に防弾板が設置されていたようなので、余りのエッチングからそれらしく作っています。

 前檣上部の主砲指揮所は公式図上では前方がコブ状に張り出した形で描かれています。これは以前に書いた阿武隈の電探設置要項と同じく、元々指揮所上部にあった主砲射撃所が21号電探設置に伴って撤去され、94式方位盤照準装置の主砲指揮所への移設に伴い前部が拡張された結果、このような形態になったようです。なお、公式図では側面図のみに主砲指揮所の両側に天蓋が張り出しているように描かれていますが、どうも不自然なので省いています。

下側はこのような形になります。

 一部手すり等が付いていない部分がありますが、これらは塗装して組み上げる過程で取り付けます。電探等も他の装備品と共に後でまとめて製作します。

 以下次回。


1/350島風のことなど。

2015–01–08 (Thu)
 新年明けましておめでとうございます。
 松の内も過ぎましたが、今年もよろしくお願い致します。



 新年早々、マックスファクトリーが唐突に1/350島風の企画を発表しました。メーカー名には聞き慣れない方もあるかもしれませんが、ここは元々figmaと呼ばれる着色済可動フィギュアモデルの企画で有名な新興模型メーカーで、リンク先の文章にもあるようにミリタリー系の組立モデル自体が初の製品になります。

 島風は洋上での魚雷戦による敵艦隊の撃滅を目的とした、いわゆる艦隊型駆逐艦の最後に建造された艦で、日本駆逐艦最高の速度記録と片舷15射線の重魚雷武装が良く知られています。1隻しか建造されなかった事もあって、模型の世界では長らく田宮の1/700WLが唯一のキットでした。昨年の暮れにピットロードから1/700で新キットが出ましたが、見た感じでは良くも悪くもこれまでの同社の製品と変わりはないようです。

 日本の艦艇史の中でも非常に重要な艦の一つで模型化の意義は大いにありますが、私自身は島風の大型キットなど生きているうちに拝める事はないだろうと半ば諦めていただけに、今回の発表は非常に驚きました。企画を出してきたのがいわゆるスケールモデルを日常的に扱っているメーカーではなく、キャラクター系のキットを手がけているメーカーという所が今日的ではあります。

 気がかりなのは艦船どころかスケールモデルの経験が全くないメーカーという点ですが、どことは言いませんが多数の艦船キットを出しながら全体型を正確に捉えられないメーカーも現実としてある訳で、五連装発射管以外は大半の装備品が陽炎型などと共通で交換する事もできますから、あまり欲張らずに外形をきちんと捉えてくれればと思っています。これに関しては発売されたらまた詳しく感想を書くことにします。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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