ロゴス・ホープ号を見に行く

2014–05–24 (Sat)
 もう7年も前になりますが、当時現役最古参の客船としてドゥロス号の見学に行ったことがありました。ドイツのキリスト教系の慈善団体が運営する洋上書店で、国際親善と文化交流を目的に全世界を巡ってきた船でした。日本への訪問はあれが最後になり、2009年に代わって就航したのがロゴス・ホープ号で、今月就航後初めての日本訪問として長崎と金沢に寄港しました。

 ドゥロス号のときはリベット打ちカウンタースターンの生きた客船という事で個人的な関心もあったのですが、このロゴス・ホープ号は元々欧州水域でカーフェリーとして使われていた船で、12,500トンと容積は倍増しましたが正直言って造形的にはあまり興味が沸きません(現代の大型船をほとんど見に行かないのはそういう理由です)。それでも先代の訪問記事を書いた手前、今週時間を取って金沢港寄港中の船を見てきました。


(本日の画像はクリックで別窓で拡大表示します)

 船体の青いラインが入った中央の開口部が一般客の入口になります。この青いラインに沿ったデッキの前方が書店、後方の角窓の付近がカフェ兼交流ルームになります。一般客が入場料100円で入れるのはこのデッキだけで、どうも元々のフェリーの車載甲板を改造して当てているようです。ここより上はスタッフ用の船室やオフィスにラウンジや学校など、下はイベントホールや書店のバックヤードにエンジンルームという事ですが、一般客への公開区画以外のデッキプランはテロ対策で非公開になっています。後述する船内ツアーでも各所に掲げられているデッキプランや区画図は撮影不可でした。


 入り口から船首側の書店に向かう通路。右側は船の歴史や活動を示す映像が上映され、画像では判りづらいのですが座席が救命艇の形をしています。左壁は慈善団体の活動の歴史の展示です。


 一般公開区域の地図。①の上の矢印が現在地、②は書店フロア、③は企画区域、④は船の活動を上映している区画、⑤がカフェ兼交流ルームです。左上に書かれている「ユニット」とは各書籍に貼られている独自の値札で、寄港国毎に交換レートを示して対応する仕組みになっています。



 上が左舷側書店フロア(船尾→船首方向)、下が右舷側書店フロア(船首→船尾方向)。ドゥロス号では船尾ハウストップの露天甲板をキャンバスで覆っていたので手狭感がありましたが、ロゴス・ホープ号では面積も広く書店らしい内装になっています。扱っているのは団体の性格上聖書関連や子供向けの絵本などが多かったものの、ドゥロス号の頃よりはバラエティに富んでいた感があります。下画像の液晶画面の下がレジで、その奥に特価本コーナーがあります。


 レジとカフェ兼交流ルームの間の区画は通路状に仕切られ、壁面は聖書の「放蕩息子のたとえ話」をアレンジした絵物語になっていました。


 船尾側にあるカフェ兼交流ルーム。画像は船尾端の区画を右舷側から左舷側に向かって撮ったもので、カフェは画像右手奥(右舷前方)にも広がっています。こちらは良い写真が撮れませんでした。


 ドゥロス号のときと同じく非公開区域の船内ツアーが500円で体験できますが、行けたのはイベントルームとスタッフ用のラウンジとブリッジくらいで、船そのものより慈善団体の具体的な活動の説明の方に時間を掛けていました。間違ってはいませんしそれ自体は意義のある事ですが、個人的にはもう少し船の構造を知りたいなという感も残りました。上の画像はブリッジの内部で、手前の椅子は船長用だそうです。

 金沢港には26日まで停泊し、次は韓国の4つの港湾都市を回るとの事です。韓国は先日の悲惨な海難事故の記憶がまだ生々しく、とても船で親善という空気にないのが現状ですが、親善と交流の目的が上手く果たせればと思います。

短信

2014–05–17 (Sat)
 例年と同じく5月中旬の今の時期は静岡見本市の真っ最中で、今年上半期~後半の各社の新製品がほぼ出揃ってきました。船の場合は事前に情報が出る事が多く、会場発表で目を引いたのは今のところアオシマのアークロイヤル(空母として初代の方)ぐらいです。もし大戦中の英空母が出るとすればハーミスだろうと考えていたので多少意外な感もありましたが、ビスマルク追撃戦で重要な役割を果たした艦の一つですし、航空母艦の技術的な基本形を固めたという意味でならハセガワの新版赤城やタミヤのサラトガと並んで意味があるのかもしれません。

 フジミはここ数年静岡見本市には参加していませんが、開催時期に合わせて艦船の新製品を自社ホームページで公表しました。中でも目を引くのは1/350加賀ですが、1/700の洋上模型のキットが万全とは言い難い内容であることを考えるとかなりの不安があります。もし1/700を出した後に一般に知られていない大改装後の資料が入手できているのなら心配ありませんが、公式図も鮮明な写真も残っていたはずの1/350飛龍をメーカーがどう捉えていたのかという点も含めて、これはキットが出たら感想を書くことにします。

最近の海難事故のことなど。

2014–05–02 (Fri)
 先月、韓国で内航フェリーが沈没し多くの犠牲者が出た惨事については大きく報道されていますので御存知の事と思います。犠牲者の多さもさることながら、その大半が修学旅行中の高校生だったのは本当に痛ましい限りです。映像も公開されましたが、待機の指示に従い破局に至るまで船内に留まり続けた学生達の心中を察するには余りあるものがあります。

 事故の経緯は船室の増設で重心が元々高くなっていた上に、過積載と帳尻合わせのバラスト水の減少などが加わり、早い潮流の海域で急転舵しバランスを崩して横転沈没した事のようです。日本の中古客船は品質とメンテナンスの高さから元々東南アジアを中心に高い需要があり、売却後に船室を増設してトップヘビー状態になる事自体はそれほど特殊な事例ではないと聞きます。今から30年近く前に衝突事故で4000人近い犠牲者を出したといわれているフィリピンのフェリー・ドニャバス号も、売却前の3倍近くまで乗客を収容できるように船室を増設して機動性を欠いたのが事故の一端とされています。

 公開された映像の中で最も衝撃的だったのは、大傾斜した船のブリッジのウイングから船長以下の航海スタッフが次々と脱出している光景でした。そのすぐ脇には海面に投下するだけで自動的に開くコンテナ式の救命筏が並んでいたにもかかわらず、誰も取り付くことなく救助の船に乗り移っています。私のような「陸の人」ですらそうだったのですから、恐らく多少なりとも船の運航に携わった人にとっては悪夢としか言いようのない光景だっただろうと思います。

 乗客の避難誘導を放棄して持ち場を離れた船長以下の乗組員はこれから重い刑事責任を問われる事になります。職務に不誠実な人そのものは残念ながらどこの国のどんな職場にもいるものですが、それが人命を預かる仕事という事になると残念では済まされません。ただ報道を見聞きする限りでは、どうも組織的な避難誘導が行われた形跡がなく、ごく一部のスタッフが個人の判断で救命胴衣を配って避難を促したに留まったようです。

 つい最近も地中海でクルーズ客船コスタコンコルディア号が座礁転覆し、船長が船を放棄して先に脱出した事件がありましたが、その際は残された船員が船客を誘導して救命艇に乗せて救助に当たりました。それで、大半の船員が避難誘導しないで脱出したというのは、単に職務や倫理といった言葉だけで割り切れる事柄ではなく、避難誘導訓練そのものを行っていなかったのではないかという疑問があります。そもそも人間は経験も想定もしていない事態に直面して的確な判断が下せるほど利口にはできていません。上で救命筏に取り付かないと書きましたが、その「白くて丸いコンテナ」が何か理解していなければ操作しようという判断に至らないのもある意味自然です。到底考えられない事ではありますが。

 ですから、避難誘導が行われなかった根本原因は個々の船員の行動に集約されるのではなく、避難誘導訓練や救命機器の適切な点検と操作訓練、及びそれらの監督指導が常日頃より周知徹底されていたのかという組織的な問題に掛かってくるのではないかと考えます。もしそうであるならば、脱出した船員をつるし上げて断罪するだけでは何の解決にもなりません。

 事故に関してはどの国も共通して得られる教訓や再確認すべき事があるのだろうと思います。くれぐれも特殊な事例とするのではなくより安全な海上交通の礎となるよう望みたいものです。

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MOMOKO.120%

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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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