続お見送りに行ってきました。

2012–11–29 (Thu)
(この記事は前回の続きです)

 今から5年ほど前になりますが、2009年の開港150年祭に合わせて横浜の初代日本丸を海に出そうという趣旨のNPO活動がありました。1985年の引退後、みなとみらい21地区の石造りドックを終の棲家と定めたとき、日本丸の周囲には海が広がっていました。しかしながらそこは次第に埋め立てられ、港に向かう水路上に低い道路橋が2本建設され事実上移動不可能な状況に追い込まれました。かかる現状を憂い、船は海に出るのが本来の姿であるというのが活動の趣旨だったように記憶しています。

 現実問題として交通量の多い橋を壊すには億単位の膨大な費用がかかり日常経済活動に与える影響も大きく、また船にも相応の補修が必要で、NPO活動の目的そのものは非現実的としか思えませんでしたが、大都市の狭いドックの中で身動きが取れなくなっている船のどこが生きた状態なのかという問題提起には理解できるところもありました。

 初代海王丸が造船所に向かうために海王丸パークの埠頭から引き出され、港内で汽笛を大きく三度鳴らしたとき、私はふいにこの事を思い出しました。あの活動をしていた人達はこの光景が見たかったのだと。帆走も自走もなくタグボートに曳航されている状態でしたが、港内を出てゆく海王丸はまぎれもなく「現役の姿」だったのです。


 今回の移動は15年ぶりで、次の機会があるのかどうか現時点ではわかりません。にもかかわらず行われたのは会社務めの一般の社会人や学生が行けない平日の朝で、かつ公式サイトで正確な日時が告知されたのは前日になってからでした。寒さや雨風の最悪の天候を割り引いてもこれでは見送りに足を運べる人は極く限られてしまいます。タグボートや造船所の都合があったのかもしれませんが、造船所までは半日掛からなかったという報道ですので、なぜ移動日時を地元の多くの人が集まれる土日祝日の昼前に設定しなかったのか理解に苦しむところがあります。

 もちろん造船所は平日しか操業していないでしょうし、移動の唯一かつ最大の目的は老朽化の目立つ船を安全に造船所に送り届けることですから、イベント化は全く考慮の外だったのかもしれません。しかし、何十年に一度しかない作業であれば日頃の活動とは大きく違う面を地元の一般の人々や子供たちに印象付ける絶好の機会だったはずです。

 ですから、水に浮かんでいることよりも、現役当時に近い形で保存されたり総帆展帆が行われること以上に、船が陸を離れて海を進む姿をより多くの人に見てもらう事が重要だったのではなかったかと残念でなりません。それが船の「最も本来の姿」ですし、横浜の初代日本丸ではもう叶わない事なのですから。

お見送りに行ってきました。

2012–11–27 (Tue)
 前回の記事では行くかどうかわからないと書いた初代海王丸の造船所への移動ですが、時間を取って行ってきました。


(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 この冬一番の寒さに空一面の雲から冷たい雨が降る、これからの北陸らしい気候の下、作業が始まりました。幸いと言えたのは風がそれほど強く無く、雨がみぞれや雪に変わらなかった事ぐらいで、加えて平日の朝という事もあり、見送りに来ていたのは3,40人ほどでした。


 本船を係留している岸壁は船を囲む形で作られ、前後が開けられる構造になっています。本日は船尾側を開けて3隻のタグボートで港内に引き出し、造船所まで曳航してゆきます。上の写真は移動開始直前の午前8時15分頃の撮影で、既に係留していたチェーンも乗船用のタラップも外され、船尾に曳航索が張られて作業員が集まり始めています。工事に備えてのものなのか、全ての舷窓にブルーの覆いらしきものが掛かっているほか、船尾の喫水が通常よりわずかに深い状態になっていました。それと、通常は舷外に張り出している船尾側の5・6番救命艇が降ろされていました。


 午前8時20分頃から動き始め、9時頃まで掛けて係留されていた岸壁から引き出し、港内に出た後はスピードを上げて30分ほどで港外に出てゆきました。


 主の行った跡。本船はこれから来年2月上旬まで富山市内の造船所で定期検査と痛んだ船体外板の取り替えを含む大規模な修理を行い、下旬には戻って3月20日から公開を再開するそうです。


 海王丸パークに併設されている日本海交流センターの会議室の一角で、実船の歴史や関連資料を集めたコーナーが設けられていました。歴史を示したパネルや展示物の多くは本船内で展示されていたもののようです。



 この記事は見たことを書いてこれで終わりにするつもりでしたが、少し考えることがあるので数日中に続きを上げます。

救命ボートの製作(その11)

2012–11–25 (Sun)
 前回の続き。


 船体外側の塗装まで。このあと救命索を付けます。



 初代海王丸が定期検査と修繕のため新湊の海王丸パークから富山市内の造船所に移動する話は以前にも書きましたが、その日時が確定したので書いておきます。11/27(火)午前8時頃より移動開始予定、但し荒天時変更ありとの事です。

 平日かつ時間も早く、また天気予報も今のところ芳しくないようで、私は行けるかどうかわかりませんが、横浜の初代日本丸が事実上移動不可能の状態であることから、港を出港する姿が見られる数少ない機会になります。興味のある方はぜひ。

救命ボートの製作(その10)

2012–11–18 (Sun)
 前々回の続き。


(本日の画像はクリックすると拡大表示します)


 発動機付1番救助艇に取り掛かる予定でしたが、考証的な問題が若干残っているため、外形だけを作った所まてで後回しとし、残り5隻の救命艇を仕上げてこの製作は一段落とすることにします。

 初代海王丸の救命艇の舵は取り外し式で、現役当時は船の外側が固定位置だった5~6号艇にのみ常時装備され、内側に固定されていた2~4号艇の舵は訓練等で使用される時以外は通常取り外されていたようです。そのためとりあえず5~6号艇用の2枚だけ作って船体と共に塗装します。

 これから船体を塗装して外側に救命索を付けて仕上げに入ります。オールなどの装備品はダビットに装着する際ににまとめて作るつもりです。

救命ボートの製作(その9)

2012–11–11 (Sun)
 前々回の続き。依然製作中です。


(この画像はクリックすると拡大表示します)

 5隻分の内部がほぼ終わりました。これから画像左上の発動機付き1号艇の内部に取り掛かります。

初代海王丸の現況について。

2012–11–04 (Sun)
 今年の一般公開は11月2日迄だったので、先週写真を撮りに行ってきました。


(本日の写真はクリックすると拡大表示します)

 例年ならば11月末頃まで船体整備期間で12月には公開を再開するのですが、今年は1997年以来15年ぶりにドック入りしての定期検査が行われ、摩耗した水線下外板の交換を含む大規模な修繕工事が来年2月に掛けて実施されます。今月下旬には約4km程離れた富山市内の新日本海重工のドライドックまで移動しますが、横浜の初代日本丸が事実上移動不可能な状況であるため、往時の姿を思い起こす数少ない機会になるだろうと思います。

 日本海がこれから荒れ出す季節に入ることと船齢が既に80年を越えているのが気がかりですが、移動距離が短いことと乗員が乗船してビルジポンプを回せる体制にはなるだろうと思われるので、恐らく静岡のスカンジナビア号のような事にはならないだろうと考えます。


 見た目特に変わりは無かったようなので船上船内写真は省略します。なお、ドック入りの期間中一般向けに見学会を行います。興味のある方はぜひ。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
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趣味:ブログの通り
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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