初代海王丸の冬季の船内公開中止のことなど。

2010–06–27 (Sun)
 財団公式サイトのトップからリンクされている、機関誌の最新号(PDF注意)で予算上の理由から本年度の冬季(2010年12月1日~2011年3月11日)の一般公開を中止する旨の告知がありました。それに伴い、冬期間に行われていた各種イベントも行われない事になりました。次年度以降は特に明記はありませんが、公的補助金の上積みが望めない現状では、公開やイベントの再開は困難と見る方が良いかもしれません。

 機関誌は海事課長のコメントで改修工事の必要性に触れています。初代海王丸が定期検査のために最後にドック入りしたのは今から13年前の1997年で、この船は船舶登録(航行できる船としての登録、車で言うところの車検に相当する)が成されているため本来であれば8年毎にドック入りして定期検査を受ける必要がありますが、2005年の際は洋上航行をしないという前提で外板の肉厚を計測して検査をパスしたと聞いています。さすがに2013年はもう簡易検査という訳にはゆかないのでしょうし、冬季公開中止もそのための準備の一環なのかもしれません。

 実際のところ、北陸は12月~3月までは総じて天候が不安定で、私の子供の頃よりは格段に少なくなったとはいえ、雪が降れば乗船見学どころではありません。今までも冬期間は本船脇にある券売所を閉じ、離れの財団事務室受付で料金を払って乗船の際に警備員にパンフレットを見せていた状態(つまりそれで成り立つほど乗船客がいなかった)でしたから、冬季の公開中止もやむを得ないだろうとは思います。

 ただし、冬期間のイベント中止は解せません。私は進水記念日の特別公開以外に参加したことがありませんから実際がどうなのかはわかりませんが、年末年始の行事などは経費といってもたかが知れていると思いますし、交流行事まで削ってしまって年の1/4の活動を完全に閉じてしまえば、そうでなくても関心が高いとはいえない地元との距離感が更に空いてしまうのではないかという危惧があります。保存船は地元の理解が無ければ成り立たず、初代海王丸は現役当時は新湊と特別関係が深かった船ではありません。これによって地元ボランティアのモチベーションが下がらなければ良いのですが。

11/28追記 その後方針が変わり、今年度に関しては11月27日から2月13日の期間も一般に公開される事になりました。

ゲゲゲの女房の模型のことなど

2010–06–19 (Sat)
 漫画家水木しげる氏夫妻の戦後体験を元にしたNHKの朝ドラマ「ゲゲゲの女房」の先週から今週に掛けての話で、水木氏が模型店で精巧な船の模型を見てなけなしの原稿料をはたいて組立キットを買って作るというシーンがありました。

 ドラマの設定である昭和30年代後半(1960年代前半)は、組立模型的にはそれまで主流だった木製キットからプラキットに全面的に切り替わっていった時期になります。木製キットは箱の中に大まかに切られた木片が入っているだけで、説明書の原寸図に合わせて加工しなければならず、技術のない人にとっては船の形にすらならない事もあったそうです。それに替わって登場したプラキットは部品を切り離して接着すれば特に技術がない人でも一応の形にすることができたため、安易だという批判はあったものの、木製の出来に不満を感じていた愛好者が飛び付いたと聞きます。

 ドラマでは箱だけは当時風の印刷になっていましたが、使用されている中身はタミヤやアオシマの約10年前に発売を始めた現行製品のようです。当時の小サイズのプラキットはあれほど精巧な内容ではなく外形も実物には遠いものでした。もちろんウォーターラインが出る前の話なので、統一スケールで連合艦隊全てが揃えられるような環境ではなかったはずですが、模型店のキットを全て作り倒すという心境は私も子供の頃に抱いたことがあるので非常によくわかります。

 また当時の大卒初任給が月2万前後で1/700程度の戦艦模型がだいたい200~300円程度で売られていたようなので、原稿料3万で1/700の模型は今の感覚で言うと30万円の収入で2・3千円の出費ということになります(つまり物価そのものは当時も今もそれほど違いはありません)。一円の出費も痛い家計では幾らであろうと無駄に感じる事に違いはありませんが、どうせなら当時1500円で売られていたハセガワ1/450大和の方がより切実なリアリティが出たのではないかなと思いながら見ていました。これは現在でも買えますし。



 あと、これは蛇足になりますが、ランナーと呼ばれる棒に付いた部品を切り離して接着するという基本は当時も今も同じですが、初期のプラキットの多くは部品の付き方が今とは異なっていました。



 上の画像は1960年代に発売されたレベル1/240駆逐艦ブキャナンのパーツの一部ですが、部品は枝分かれしたランナーに木の葉のように付き、配列に統一性もありません。これら枝葉が何本かまとめて船体と共に袋詰めされていたのが1950~60年代当時のプラキットの一般的なスタイルでした。しかし細かい部品が多い艦船の場合、輸送中や組立で箱から出し入れするうちに部品が脱落紛失する可能性が高く、画像もかなりのパーツが脱落しています。


 現在のブラキットは、大きな外枠を作ってその内側を区切り、中に部品を配列するスタイルになっています。初期が木枝と葉の配列なら、今は道路と住宅の配列に近いもので、外側が保護枠の代わりになるため部品脱落はほとんどありません。

 艦船でこのスタイルを取り始めたのは、国産キットはだいたいドラマの時期と同じ昭和37~38(1962~63)年頃のようで、ニチモ1/500の大和・長門・高雄型重巡はいずれもこの時期に発売されていますが、大和と長門は現在のスタイルに近いもの、高雄型は枝葉のスタイルになっていました。また上で触れたハセガワ1/450大和もほぼ同時期に世に出たものですが、(金型修正がなければ)現在に近いスタイルです。これに対して海外製の艦船キットはエレールを除いて枝葉のスタイルが続き、レベルやエアフィックスは60年代の終わり頃になってもその形式でキットを出す事もあったようです。

短信2

2010–06–10 (Thu)
 アルプスのマイクロドライプリンタを注文したものの納期が10月以降に延び、金策に猶予ができた事もあり、来月にもう一度大和ミュージアムに行ってみる事にしました。資料の内容的な再確認もありますが、ネット上での扱い方もミュージアムの確認が取れればと考えています。その後、夏から秋に掛けて海王丸の製作を一時中断し1/350で一隻作るつもりです。

 その他にもいろいろあって少しバタバタしています。気がつけば1週間が軽く過ぎているという感じですが、しばらくはこのような状態が続くかもしれません。

 あと、ライオンロアからタミヤ1/350戦艦大和用のディテールアップセット「究極の大和」が発売になったようです。以前に「真実の大和」という名前で出ていた製品の改訂版のようですが、国内販売元のピットロードのサイトで公開されているサンプル写真を見る限りでは、細かい考証面を別にすれば模型的にはかなりの密度まで仕上げられるようにも見えます。

 タミヤの現行の1/350大和と合わせて約20,000~22,000円でリンク先の写真に示された完成密度が期待できるとき、他社がもし1/350大和を作るとすれば大きさとパーツ数から素で20,000円を切ることが想定し難い事を合わせて考えると、専門家と詳しい愛好家以外の一般人にとって違いを認識しにくい考証の差異のために、はたしてタミヤが現行製品を捨ててまでリメイクするメリットはあるのだろうかという気持ちにもなります。

短信

2010–06–01 (Tue)
 多少の覚え書きです。



 軽巡洋艦の五十鈴が大戦末期に、主砲と航空兵装を全て撤去して代わりに高角砲と機銃・対潜兵装を増備し、いわゆる防空巡洋艦的な艦に改造された事は良く知られています。レイテ沖海戦もその状態で参加したのですが、海戦当時の主要兵装は
12.7cm連装高角砲 3基
25mm三連装機銃  11基
25mm単装機銃   5基
以上の通りとなっている資料が多いようです。福井静夫氏による昭和19年8月10日現在の兵装状況一覧表、及び横須賀海軍工廠が昭和19年12月8日付で作成した一般艤装完成図が根拠のようですが、このままの状態でレイテ沖海戦に参加したとする解釈には個人的に疑問があります。海戦に参加した他艦の実例に比べて単装機銃の数が少なすぎる点で、まして防空能力に特化した艦ならばなおさら不可解です。

 アジア歴史資料センターのサイトで五十鈴のレイテ沖海戦当時の戦時日誌が公開されています(昭和19年10月1日~昭和19年11月5日 捷号作戦戦時日誌(6)軍艦五十鈴)が、その最後のページに気になる記述があります。

二十五糎単装機銃七基搭載19.5.1519.7.10三菱横浜造船所
二十五糎単装機銃十七基増設
(官房艦機密第五二六〇号訓令)
19.9.2719.9.27呉工廠

 これは幾つかの改装要項が表になっているものの一部で、表自体にもページにも何の説明もありません。機銃が粍(ミリ)となるべき所が糎(センチ)になっていたり、これ以外にも改装前の艦橋の測距儀が4.5mのはずが3米半になっていたりと、記述の信頼性にはかなりの疑念があります。日付の説明もありませんし、仮に7月の時点で単装を7基搭載していたとしても前述の図面や福井氏の調査と数が合いません。

 官房艦機密第五二六〇号訓令の有無に関しては、「昭和19年8月1日~昭和19年8月31日 舞鶴鎮守府戦時日誌」の中に記述があります(p31)。

発8月24日 受28日 官房艦機密第五二六〇號
第三十一戦隊編入豫定(=予定)艦艇整備ノ件訓令

 内容まではわかりませんが、五十鈴はこの月に設立された31戦隊の旗艦ですから、この訓令の一環として機銃増備が成された可能性は充分に考えられます。

 仮に9月末の時点で25mm単装24基とすれば阿武隈の装備数と一致します。レイテ沖海戦の戦闘詳報の戦死傷者一覧の中に持ち場として単二二機銃の記述があること、また同海戦での記録写真には左舷側の艦載艇を減らして空所に単装機銃を増設したように見えるものがある(丸スペシャルNo.30 軽巡長良型Ⅰ p42右上など)ことなどから、レイテ沖海戦に於ける五十鈴の単装機銃の数は20基以上で、阿武隈と同じように煙突周囲の艦載艇を2隻降ろして空所に増設したと見る方が合理的ではないかと考えます。

 また、この表には他にも1・2番探照灯を撤去して新たに90cm探照灯1基と管制器を設置する旨の記述もあります。これは防空巡洋艦への改造に伴い艦橋の2基の探照灯を撤去し1・2番煙突の間の吸気口の上に探照灯座を設置した事を指しているものと思われます。この探照灯を110cmとする資料がありますが、上記の図面にも90cmと明記はされています。ただし、改装後の写真からは110cmのようにも見えるため判断には悩む所があります。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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