ファレホで艦船キットを作ってみる(その7)

2009–05–31 (Sun)
 前回の続き。
 ファレホには用途によって何種類かカテゴリーがありますが、ここでは一般用のモデルカラーを前提に進めます。

 まず甲板の塗装から。マホガニーブラウンをベースにフラットイエローとレッドを適当に混ぜて作ったリノリウム色を1:3の割合で薄めてメディウムを20%程度加えた色を吹き、濃いようなら塗料を、薄いようなら溶剤を加えて調整します。


(この画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 上の画像が実際の塗装順です。前回触れたように厚塗り厳禁、1回目は薄く塗料が載った程度で乾燥させます。2回目は下地が見えにくくなる程度、3回目でほぼ下地が見えなくなるまで色を乗せます。少しホコリやゴミが付いたので3回吹いたあと1000番のペーパーで表面をならします。(3)の写真がそれで、ペーパー掛けにも耐えられる食い付きと塗膜強度である事がわかると思います。4回目の吹きで仕上げ、その後丸一日放置して乾燥させます。


 ほぼ無臭なので重ね塗りの乾燥を待つ間も用具は出しっぱなしで大丈夫です(このブースに関してはこちらを)。この時エアブラシに入れた塗料が乾かないようにカップをテープで覆っておきます。


 作業が終わったあとのエアブラシはこれで簡単に洗えます。



 甲板塗装が終わったあと、リノリウム押さえの代わりに細く切った金紙を貼り、その上から定着とツヤの調整を兼ねてコーティング剤を吹きます。ファレホはバーニッシュという名前でグロス/サテン/マットの三種類が用意されていますが、マットはタミヤカラーのツヤ消しに近いガサガサ気味になるため、艦船はサテンで丁度良い感じになるようです。スプレータイプもありますが、エアブラシを使う時はブラシ専用タイプであるモデルエアーの色を選び、振ってそのまま吹きます。これは最後の塗装から24時間、また重ね塗りは4時間以上空けて(乾燥させて)使います。


 以下次回。

ファレホで艦船キットを作ってみる(その6)

2009–05–28 (Thu)
 前回の続き。

 水性塗料は水分が蒸発する事によって固まります。そしてプラは紙と違って塗料が中に浸透しない素材なので、ファレホに限らず水性塗料をプラに使う時にはその事に注意する必要があります。すなわち、塗料を厚塗りすると、塗装面の裏側から水分が抜けないため表面層が先に乾いて膜を作ってしまい、奥の水分の抜け道が無くなって、一見乾いたように見えても指で押さえると指紋が残ったり、マスキングテープを貼ると跡がくっきりと残ったりします。こうなるといつまで待っても完全には乾きません。


 そのため、水性塗料に厚塗りは厳禁です。薄い塗装膜を完全乾燥させながら塗り重ねてゆくのがコツです。個人的には面積が広い部分には薄く平滑な塗装面が作れるエアブラシを用い、厚塗りになりがちな筆は細かい部分の塗装に限定するのがベストではないかと考えています。

 また、ファレホはラッカー系塗料に比べて喰い付き(プラへの定着性)が弱いため、そのまま塗るとマスキングテープを貼った程度でも剥がれる可能性があります。元々の粘度が高い事は先に述べましたが、薄める際には水ではなく専用の溶剤を用いる事と、その際にアクリル絵の具に用いられるメディウム(ツヤの調整剤)を20~30%前後混ぜるとかなり改善します。ファレホの専用溶剤はただの水ではなく木工ボンドを溶かしたような感じで、詳しい成分はわかりませんが、恐らくニカワに似た定着剤が混じっているのではないかと思います。メディウムは画材店でアクリルガッシュのメディウムと指定すれば用意してくれます。ゲル状と液体の二種類がありますが、液体タイプの方が使い易いようです。またグロスのメディウムを混ぜることによってツヤの調整を行うこともできます。ただ、後述するバーニッシュやクレオスのトップコートを全体に吹くことで調整が図れるため、この段階でツヤの状態にあまり神経質になる必要はありません。


左:ファレホ専用溶剤(徳用)、右:アクリルガッシュのメディウム(ゲル状タイプ)
シンナーと書いてありますが、これは「流動性を高めるもの」という意味で
日本語の有機溶剤とは全く異なり、乳白色の無臭の液体です。

 それと、ファレホはプラの下地の状態に敏感に反応するため、船体のような広い面積を塗る前にはサフェーサーと呼ばれる下地塗料を塗って調整しておくこと、その他の部品も塗装前には必ず洗浄して油分や目に見えない汚れを落としておくことも必須です。

 サフェーサーはファレホにも水性無臭タイプがありますが、非常に扱いにくい製品なので、これだけはやむを得ずクレオスやタミヤのラッカー系のものを使うことになります。缶スプレータイプが使いやすく、密度によって何種類かありますが、艦船の場合は1000番程度で良いようです。下地を整えるためのものですが、あまり薄すぎると表面の荒れがわかりにくくなり、また一度に大量に吹き付けると細かい彫刻が潰れてしまう事があるため、プラの色が隠れるのを目安に何回かに分けて吹く方が良いかもしれません。サフが乾燥すると表面の荒れている部分がわかるので、必要に応じてパテ埋め整形し、再度その部分を中心にサフを吹き直しておきます。


 以下次回。

ファレホで艦船キットを作ってみる(その5)

2009–05–25 (Mon)
 前回の続き。塗装前の製作が一通り終わりました。


(この画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 兵装を最終状態としたため、前部マスト上部を短く切り詰めました。上の写真には写っていませんが、舷外電路はライオンロアのエッチングを付けています。それ以外の装備品等は塗装と平行して作ります。また、船体の手すりは甲板の塗装後に付けます。


 5500トン軽巡の中には艦尾の機雷敷設軌条を開戦前に既に撤去していた艦もありましたが、「真実の艦艇史2」(学習研究社刊)の田村俊夫氏の調査によれば天龍は最終状態まで残っていたそうです。キットのモールドでは左右の長さが異なりますが、実際は両舷共に同じ(左舷側の長い方)だったようです。よって、キットのモールドに合わせてあるハセガワの専用エッチングBの軌条は、艦尾端の爆雷投下台共々使えません。艦尾の滑り止めはライオンロアのエッチングです。

 以降、次回より本論の塗装の話に入ります。
 

ファレホで艦船キットを作ってみる(その4)

2009–05–22 (Fri)
 前回の続き。


 艦首錨甲板と中央船室、及び煙突に手を入れた所まで。


 錨甲板はライオンロアのエッチングを貼って極細のチェーンを付け、波切り板は例によって根拠がありませんが、大戦中の5500トン軽巡には有るようなので付けてみました。


 資料不足で間が持たないため、大戦中に増設された連装機銃座をジャンクのエッチングパーツの中から付けてみました。機銃座の下にある細長いものは魚雷積み込みクレーンで、真鍮の帯板と穴開き板をハンダ付けして作っています。

 第一煙突の艦首側に付く配管の形状は天龍と龍田で異なり、両艦の大きな相違点の一つですが、キットには反映されていないようです。煙突は前にも書いたように全体的に印象が良くないため、先端のすぼまった部分を切り落としてフラットにし、内部を削り込んだ上で格子を作り直して付けました。

 あと艦尾側の船室と艦尾甲板に手を入れれば修正作業は一応終わります。来週から本題の塗装作業に入れると思います。

ファレホで艦船キットを作ってみる(その3)

2009–05–19 (Tue)
 前回の続き。カツオブシに主な構造物を作って載せた所まで。

20090515_1
(この画像はクリックすると別窓で拡大表示します)


20090519_2a

 艦橋は下側の形状が全く異なるようなので、ジャンクパーツの中から形状が似ている球磨の艦橋パーツをベースに基部を自作、羅針艦橋床面はキットのパーツはプラの肉厚でブルワークの高さまで埋まっているためそれを元に0.3mmプラ板で自作、天蓋はキットのパーツから下側の窓のモールドを削り後端を2mm延伸、天蓋上の元探照灯台は0.3mmプラ板+エッチング滑り止めです。クロスツリーとその上の見張り台は同じくジャンクパーツから球磨の部品を流用しています。また、写真では隠れていますが、窓はエッチングメッシュを切って付けてします。前回も書きましたが、製作に関する資料的な根拠は全くありません。

20090519_3a

 船体と一体化している中央船室はエッジがだるく印象が良くない(画像上)ため、別部品の後方船室と合わせてプラ材で作り直しました(画像下)。キットの煙突は頂部の格子のふくらみがムクで表現されていて印象が良くないため、その部分をカットしました。ここは内側を削った上で真鍮線で格子を作り替えることにします。

20090519_4a

 後部船室はエッジがやや立っているためキットのパーツを使います。ただし、主砲台座の円形に張り出した部分の肉厚がかなり厚いため、削って薄くします。

 これで天龍の基本形ができました。以降、ここにディテールを加えてゆきます。塗装はその後になりますので今しばらくお待ちを。
 以下次回。

ファレホで艦船キットを作ってみる(その2)

2009–05–16 (Sat)
 前回の続き。

 ハセガワ1/700天龍の船体の縮尺は、全長はほぼ合っていますが、全幅が約1mmほど広いので、艦底板を貼った後で両舷側を削り倒します。また艦首形状ももっさりしたもので30ノット出るような感じには見えないため、フレアーを削り込むと共に、水線帯と艦首先端の両方向に向かって削り込みます。

20090515_1
左:修正前、右:修正後
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 甲板上に一体モールドされている中央船室もエッジのモールドがだるいため、一旦削り落として作り直すことにします。船体のモールドを削ってカツオブシのようなプラの塊ができたところまで。これからこの上に載るものをさっさと作ります。塗装の本題はその後になりますので、しばしお待ちを願います。

20090515_2

 以下次回。

ファレホで艦船キットを作ってみる(その1)

2009–05–13 (Wed)
 今年の始めに国産よりも無臭で扱いやすいファレホという水性塗料についての記事を書きました。その後「水性塗料は本当に使えるのか?」という指摘があり、ファレホも含めて模型用の水性塗料には使用上の注意点が幾つかあることと、何より言った本人が実例を示さない事には確かに説得力がないため、短期集中で一隻作ってみることにします。

20090510_2

 天龍型は日本海軍最初の近代型軽巡で、後の5,500屯級の基礎にもなった艦でした。ハセガワの1/700は1973年発売の初期開発グループ最後期のキットで、リメイクが始まるまでは標準的な内容と言われていましたが、21世紀の現在の視点では「天龍に似たなにか」というのが率直な評価ではないかと考えます。甲板上のモールドや装備品は各種パーツセットやエッチングで置き換えられるとしても、艦橋の形状がどの年代のものでもない事と、煙突の印象が良くない点が問題で、製作に当たって考慮が必要です。

 天龍型軽巡は詳細な資料を持っていない上に、あくまでも塗装の話がメインなので、今回の製作は細部の表現や考証に関してはほぼフィクションです。その点御注意願います。

20090513_1
(この画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 作るときには適当な台に固定するとその後の作業が楽になりますし、船体を触らなくて良いため作業中の破損の危険性も低くなります。ここでは艦底板にナットを仕込んでビスで簡単に取り外しができるようにします。

 最初に述べたようにいろいろと厳しいキットなので船体のモールドは一旦全て削り落とし、甲板の部品取り付け穴や舷側の舷窓も全て埋めます。

 以下次回。

前回の記事の補足。

2009–05–10 (Sun)
 前に今年上半期の艦船の新製品をまとめた際に、
>アオシマの1/350妙高は恐らく既存の高雄型の船体を流用(バルジ以外の船体形状は同一ですから問題ありません)しての製品化と思われます
 と書きました。上甲板中央部から上が別部品だったためにそう思い込んでいたのですが、留守中に「350高雄の船体は妙高に流用できない」という指摘を受けました。再度キットを確かめてみた所、高雄型に特有の、艦首甲板と上甲板中央部の繋ぎ目の広がりが船体に表現されており、ここを削らない限り妙高型には流用できません。よって、7月発売予定のアオシマ1/350妙高の船体は既存の流用ではなく、新規に開発されるものと考えられます。よって、記事の該当部を削除しました。思い込みによる見落としで申し訳ありません。

20090510_1

 流用でなく新規とすれば比較する意味があります。そのため、アオシマの1/350妙高は発売され次第、感想を書くことにします。



20090510_2
次回以降のお題です。

留守のお詫び

2009–05–08 (Fri)
 多忙の方は一段落付いたのですが、体調がすぐれずまたしばらく留守にしていました。毎回訪問される方には申し訳なく思っています。かなり良くなりましたのでペースを戻してゆくつもりです。

 前々回に書いた上半期の新製品で、アオシマの1/350妙高は感想を書かないつもりでしたが、方針転換で発売され次第、印象を書くことにします。



 それと、時間的な余裕ができたことと、少し思うところがあり、今週末から短期集中で1/700のキットを一つ作ります。別に海王丸を止めるわけではなく、以前からずっと考えていたことの関連でですが、詳しくはまた作り始めるときに述べることにします。

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プロフィール

MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
模型の守備範囲:船
Webページ:模型の缶詰

現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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