雑感:タミヤ1/350日本海軍航空巡洋艦「最上」(その1)

2009–02–26 (Thu)
 最上型重巡は軍縮条約の制限の関係で当初軽巡として建造され、条約空け後に主砲を換装して重巡として活動しました。最上はミッドウェー海戦での大破復旧の際に、後部の二基の砲塔を外して飛行甲板を設け、他に例を見ない航空巡洋艦に改装されました。1944年10月のレイテ沖海戦で西村艦隊の一艦として突入を図るも、優勢な米艦隊の集中攻撃を受けて大破炎上し、その生涯を終えました。

 最上型のプラキットは、1960年代にタミヤ1/400、日本ホビー1/400、今井科学=バンダイの1/550と割と数が出ていましたが、いずれも砲塔5基の巡洋艦当時のキット化で、それらが絶版になった後はタミヤの1/700WLが入手できる唯一のものでした。今回発売されたタミヤ1/350は、航空巡洋艦としては初の大型キットになります。

 1/350としてはモールドにやや繊細さを欠く部分も見受けられますが、非常に組みやすく、価格に見合った満足感を万人に与えるというタミヤの方針に沿ったキットです。WLも含めて開発方針に一貫性や戦略といったものが全く感じられないのが従来からのタミヤの艦船キットですが、少なくとも他社の新製品の攻勢に鑑み、タミヤが艦船の組立キットに対する「思想」を明確に示したという意味で、価値があるのではないかと考えています。

 まずは例によって評価表から。



ジャンル:近代艦船・旧日本海軍巡洋艦
名  称:最上
メーカー:タミヤ
スケール:1/350
マーキング:対空標識(日章旗)、艦載機マーキング一式(機番号は含まれず)
   (軍艦旗は紙製)
モールド:★★★★
 カッチリクッキリしたモールドですが、細部の表現にはやや繊細さを欠く部分
 も見受けられます。
スタイル:★★★★
 実艦の特徴は良く捉えているようですが、考証には幾つか疑問もあります。
 艦載機の表現は非常に良い。
難易度:★★
 部品の合いは良く、ビスの多用で強度的にも問題はありません。ストレートに
 組むだけなら非常に作りやすいキットです。
おすすめ度:★★★★★
 価格的にはやや高めですが、様々な部分に組立の配慮が成されており、模型の
 経験の浅い方でも完成に至れるだろうと思います。大型キットの入門用として
 も最適です。
コメント:
 作りやすくかつ価格に見合った満足感を与える、タミヤの従来からの方針に沿
 ったキットだと思います。


20080226_1
外箱の仕様
平面はタミヤの1/350戦艦に準じた大きさですが
背が低いためそれほど場所は取りません


 以下続きます。

短信2

2009–02–23 (Mon)
 寒暖の差が激しく、加えて花粉も飛び散る憂鬱な季節になってきました。季節はこれから暖かくなってゆくことがわかっていますが、経済には好転の兆しが見えないのは別の意味で頭が痛いところです。

20090223_1


 次回からしばらく、この話をします。

短信

2009–02–20 (Fri)
 今月の22日と24日にCSのチャンネルNECO(ch261/223)で「俺の血が騒ぐ」という映画が放送されます。1961年にわずか21歳の若さで世を去った赤木圭一郎の最後から1本前の主演作品ですが、劇中に初代日本丸の映像が約10分間ほど出てきます。

 これは主人公の弟が商船大学生で、実習航海の途中に赤木氏扮する兄が乗り組む密輸船を発見するという設定で、赤木氏自身は参加していなかったようですが、日本丸の船上に実際に俳優が乗船してロケが行われています。

 以前、映画紹介のリストを検索していたとき、劇中の練習船の名前が「海洋丸」だったため、もしや海王丸が舞台ではとレンタル店に行って借りてきたものの、日本丸で意外に思ったものです。映画の公開は1961(昭和36)年1月で、その前年に日本丸は日米修好100年記念祭に参加するためにパナマ運河を経由してワシントンまで約5ヶ月の長期航海を行ったため、その話題性もあってのロケだったのかもしれません。ただ、日本丸の関連資料や証言の中にこの映画に関して言及したものが見当たらず、実際にどのような経緯で撮影が行われたのかは判りません。

 ネットはもちろんテレビの衛星中継すら無かった当時、船員は海外の事情をいち早く伝える知識人としての役割が強く、若者が最も憧れた職業の一つだったと聞きます。赤木氏自身も船乗りに憧れたものの、銀幕の道に進み、若くしてこの世を去りましたが、そんな人生が劇中の役柄とオーバーラップする作品でもあります。視聴できる環境の方はぜひ。

スーパーイラストレーション長門のことなど。

2009–02–17 (Tue)
 どこかの大臣ではありませんが、体調不良に多忙の酩酊状態でしばらくblogを留守にしていました。すみません。

 先日、モデルアート誌の別冊としてスーパーイラストレーション戦艦長門が発売されました。

20090217_1

 岡本好司氏の手による作図集で、以前に出た大和・高雄と基本的な構成は全く同じです。ですから、既刊をお持ちの方であればその内容の長門版だと考えて頂ければ大体のところは掴めるだろうと思います。



 これだけでは何ですから、詳細をもう少し。

 体裁はA4版130p、折込で1/500の上側面図と船体断面図がある以外は全て斜め上方向からの見下ろし立体図です。まず全体図を示し、次に船体を輪切りにする形で各部署毎の構造を示し、艦橋や煙突といった主要構造物や各装備品の詳細を示しています。図の大半は正面・背面という形で二方向から示されています。また昭和16年当時の戦艦陸奥との相違点も詳しく述べられていますので、陸奥を作る際にも参考になります。

 非常に判りやすい作図で市販の模型キットのディテールアップを考える際には良い資料であると思います。ただし、留意すべき点もあります。まず全ての作図は昭和16年頃の状態であり、それ以外の時代への言及は一切ありません。また表紙に艦橋左舷側の俯瞰図が用いられていますが、俯瞰図はこれ1枚のみで他に収録はなく、また全体の上側面図と95式水偵以外に平面側面図は収録されていません。それと、この本は各種公式図面と写真などの資料から構築された創作図であり、細部には作者のアレンジ要素が含まれています。このシリーズのタイトルが「図面集」ではなく「イラストレーション」と銘打たれているのもそれが理由ではないかと考えます。

 深く考えずに昭和16年頃の長門(陸奥)を既存の組立キットをベースにより精密に仕上げたいという方にはこれ1冊でかなりの情報が得られると思います。しかしながら、レイテ沖など他の時代を考える場合は他にも資料が必要になります。上にも書いた通り上側面平面図は全体図と水偵以外には収録されていないので、この本から完全自作模型を作るのは難しいと考えます。

 個人的には、他のスーパーイラストレーションも同様ですが、公式図ベースの上側面平面図と立体化された模型との「間」を埋める作図集ではないかと考えています。既にある立体をよりらしくする目的であれば、購入する価値は大いにあります。ただし、そこから更に突っ込んで長門の変遷を知りたい、構造をより精査したいという方にはこの本だけでは全ては解決しない、そういう位置付けの資料ではないかと捉えています。

 なお、作者の岡本氏は現在、模型海と空の掲示板でフォローを行っています。興味のある方はぜひ参照してみて下さい。

短信

2009–02–09 (Mon)
 先週末より少し体調を崩していました。書きたいことは幾つかありますので、順次再開します。
 とりあえず、次は先日発売になったモデルアート別冊のスーパーイラストレーション戦艦長門の話をします。

船首楼の製作・後編(その38)

2009–02–05 (Thu)
 前々回の続き。

20090205_1

 バルブを船体に取り付けました。ここはマストを固定する静索の下側を留める、リギンスクリューという金具の下側が通過する部分(上画像で0.5mm真鍮線を差し込んである部分)でしたが、何とか干渉しませんでした。このバルブは上にも船首方向にも配管があるので、これから取り付けます。

短信

2009–02–01 (Sun)
 私の方は相変わらず多忙でどうしようもありません。



 タミヤが今月発売する1/350航空巡洋艦最上の詳細情報を特設ページで公開しています。大体は既に伝えられている事ですが、詳しくはまた発売された後に。

 またオプションとして舷外電路のエッチングパーツが発売されますが、カバー付きタイプ直線1種類のみと少し寂しい内容です。加工はそれほど難しくはありませんが、ここはライオンロアの1/700用のように折れ部分を何種類か含めて欲しかったところです。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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