今年一年ご覧頂きありがとうございました。

2008–12–30 (Tue)
 色々な事があった2008年も気が付けばあと1日足らず。船の模型は今年も大物キットが数多く発売され活況を呈した感がありますが、金融危機に端を発した急速な景気後退に資源相場の極端な乱高下と、来年に掛けての周辺環境は予断を許さない不安要素もあります。

 ここ数年よく聞かれるようになった言葉の一つに「環境問題」があります。地球に優しい、環境に優しい社会への取り組みからは、模型作りは環境にも身体にも少なからず負担がかかる趣味である面は否めません。子供の頃には良く作っていたけれど、家庭を持ち子供ができ、家庭内で模型を作る事がままならなくなっている方は決して少なくないだろうと思います。

 しかしながら、最も使うことがためらわれたプラの組立模型用の接着剤にも、また塗料にも、最近は有機溶剤を使わない、ほぼ無臭で家庭内で安全に使えるものが出回るようになってきました。来年頭からはその話をしばらく続けることにします。

20081230_1




 海王丸の製作は今年後半は事実上止まった状態でした。来年はもう少し余裕が出てくると思うので、少しでも前に進めたいものです。
 それでは皆様良いお年を。

短信

2008–12–26 (Fri)
 気が付けばクリスマスも過ぎ、あたふたと年賀状を書く時期になりました。とはいえ、私の場合はここ数年はグラフィックソフトに作った雛形から絵柄と年を差し替えるだけの賀状。さすがに宛名ぐらいは手で書かないとと汚い字を走らせていますが、毎年毎年来年こそは凝った賀状を作ろうと思いつつ、同じ光景が繰り返されるのかもしれません。

 来年は模型だけでも世知辛い不景気が吹き飛ばせるよう、もう少し積極的に更新ができればと思っております。

雑感:ハセガワ1/350空母「赤城」(その7)

2008–12–22 (Mon)
 最初に評価表を書きましたが、今回は内容がグタグダになったので、もう一度キットの特徴や現時点でわかっている注意点などをまとめておきます。(この内容は後日追加訂正の可能性があります)

・部品総数と表現は前作長門並、部品数は多いが艦船キットの中では比較的組みやすい
 (大型キットなので組立にはそれなりに模型のスキルは要ります)
・前作長門で問題になった水線下の強い凹モールドは極細で浅いモールドに変更
・考証は従来資料とやや異なる部分あり
 ただし艦橋前の滑走制止装置のモールドが明らかに一組足りないので追加の必要あり
 また実艦には飛行甲板の煙突付近に木甲板の色と違う何かがある、詳細不明
・艦載機は透明パーツだが風防の処理は1/700と同じレベル、考慮の余地あり
・別売エッチングはラッタルと艦橋ハンモックを除けばおおむね良好
 エッチングの大半のパーツには予備部品がないので紛失や破損には特に注意すること
・別売木製甲板セットは表現及び経年変化に難あり
 他社から同種の製品が出るようであればそれと比較した上での選択を勧める

この雑感には補足記事があります
その1その2その3その4その5その6



 最後は資料などの話を。

 赤城は公式図の一部や写真が比較的多く残されていると最初に書きましたが、それらをまとめた資料は意外にありません。


 赤城単体をテーマにした本としてはこれが挙げられます。既存の資料を基に三段甲板時代から全通甲板の最終時までの変遷と、装備品や艦載機、戦歴に至るまで多くのCG画像で再現した判りやすい内容です。双葉社の3D CGムックは本によって内容的に玉石混淆な面がありますが、その中では比較的内容がしっかりしたものではないかと考えます。ただし、考証の根拠は発刊当時(2004年)迄に一般的に出回っていた資料等が中心で、今回発売されたハセガワの赤城とは細部に多少の相違があります。


20081222_1
モデルアート別冊「真珠湾攻撃隊」

 これは真珠湾攻撃に参加した艦載機に関して、マーキングと編成、キットの作例、当時の作戦文書による戦法、搭乗員名簿などによって構成された本ですが、赤城を始めとする空母艦上の写真も収められています。通刊No.378と、改訂版のNo.573(写真)の二種類がありますが、後者には映画パールハーバーのロケ風景と、若干の訂正が追加されています。ただし、双方共に攻撃に参加した全ての機の機番までは網羅されていません。


 写真集は次の2冊が挙げられます。
 
 左の空母赤城~(以下、ハンディ版と表記)は実艦の計画建造から改装、戦時中の変遷を写真や記事・艦型図と各艦の行動記録で示した本で、つまり全般的な基礎知識がこれでわかります。ただ、21×15cmと小さい本なので、写真が少しわかりにくい難点があります。右は価格が高く、ハセガワの赤城だけのために買うのはお勧めし辛いのですが、1頁1隻収録の大判の写真集で鮮明なものが多く、細部のディテールや日本の航空母艦の魅力が十分に感じ取れます。



 大戦序盤の海軍機動部隊をテーマにした本は過去より多数が出版されています。その中から、報道班員、直接戦闘に係わった方、戦後の作家の著書をそれぞれ1種類ずつ紹介します。いずれも模型製作には直接に役に立つものではありませんが、当時の状況を知る上で最良のものです。

 
 著者の牧島貞一氏は海軍報道班員として空母赤城に乗艦され、インド洋作戦、ミッドウェー海戦を経て翔鶴に乗り組み南太平洋海戦を取材された方で、日本海軍の空母機動部隊の絶頂期からやがて戦局が傾き始める当時の空気が肌で伝わってきます。「炎の海」は著者の報道班員としての体験を、「続炎の海」はその中からミッドウェー海戦に絞って著者の見聞きした以外の記録も追加してまとめた内容です。赤城を中心とする空母の日常描写と苛烈な戦闘描写、そして炎の海の最後に記された同僚の報道班員たちの運命には胸が詰まる思いがします。日本海軍の航空母艦に興味のある方であればぜひ一読おすすめします。


 著者の森拾三氏は艦攻操縦員として蒼龍に乗り組み、ミッドウェー海戦後は隼鷹に配属され、ガダルカナル攻防戦に於いて右手首を失う重傷を負い、義手を装着して戦争末期に再び戦線に復帰され終戦を迎えた方です。記述は初飛行からハワイ空襲、ミッドウェー海戦を経てガダルカナルでの負傷まで、空母と共に戦った自らの体験と心境が非常にわかりやすく綴られています。


  
 ミッドウェー海戦の全戦死者にテーマを当て、海戦という歴史上のマクロな出来事を日米双方の戦死者個人それぞれの生きざまと死によって浮かび上がらせるという、他に類を見ない構成の本です。現在はいずれも入手が困難である事に加え、読むのも大変につらい内容で、人によっては模型が作れなくなるほどの衝撃を受けるかもしれません。それでも、本編+外伝と資料編である記録ミッドウェー海戦は、およそ太平洋戦争の艦艇に興味のある方であればいつかどこかで読むべきものではないかと考えています(注:本編はリンクの都合で単行本の1巻しか示していませんが、単行本全5巻と文春文庫全3巻が発行されていました)。



 最後に、キットと関連パーツ等の情報も貼っておきます。
ハセガワ1/350空母赤城

ハセガワ1/350 空母赤城エッチングパーツベーシックA

ハセガワ1/350 空母赤城エッチングパーツベーシックB

ハセガワ1/350 空母赤城エッチングパーツベーシックC

ハセガワ1/350 空母赤城ディテールアップパーツスーパー

ハセガワ1/350汎用ジャッキステー

ハセガワ1/350空母赤城用木製甲板

雑感:ハセガワ1/350空母「赤城」(その6)

2008–12–19 (Fri)
 前々回と前回で空母赤城の飛行甲板の右舷側煙突付近の甲板材質について一旦触れて撤回しました。その後、この部分は鉄甲板で間違いないのではないか?というメールを頂き、再度検討しました。

 その前に、前回までに書き漏らした、明らかに誤っている部分について。

20081219_1

 上の画像は写真日本の軍艦第三巻空母Ip63の、昭和16年12月頃とされる有名な空撮写真からの引用ですが、赤矢印で示したように艦橋前の甲板上に航空機の滑走制止装置が二組はっきりと写っています。しかしキットのモールドは艦橋寄りの1組しかありません。よって、艦首側の制止装置のモールドを加える必要があります。なお、この写真でもわかるようにキットには各制止装置の静止索の表現がありません。恐らく木目モールドの再現性を優先させたためではないかと思われますが、厳密を期するのであれば極細の糸を付ける必要があります。


 上の写真の青矢印でも示したように、この空撮写真からも煙突付近の甲板縁の色調が一部違って見えます。また、昭和18年に公開された映画「帝国海軍勝利の記録」の開始から34分02秒付近、赤城の97艦攻発艦シーンにも、同じ箇所で明らかに甲板上の色調が変わって見えます。

20081219_2
(この画像はクリックすると拡大表示します)

 前回示した甲板上の写真を再度掲載しますが、

20081211_1

 この赤矢印で示した部分は、掲載誌によってはもう少し広い範囲まで写っていて、それによれば画面左端の部分で更に色調が変わって見えます。

 これらの点から、空母赤城の飛行甲板には煙突付近に木甲板の色とは異なる何かがあった事は間違いないと考え直しました。ただしそれが鉄甲板という点に関しては疑念が残ります。

 最初に書いた時には見逃していたことですが、艦船の木甲板の貼り方には一定のルールがあり、木材の縦の面が甲板上の大きな構造物や甲板材質が異なる部分に当たる場合には、直接面を当てるのではなく、まず接する部分を縁取る形でマージンプランクと呼ばれる木材を貼り、その外側に当てて貼ってゆくのが一般的な方法です。

20081219_3

 上の画像は写真日本の軍艦第三巻空母Ip171、空母瑞鶴の後部飛行甲板の鉄甲板部を写した写真からの引用ですが、木甲板との境目に沿って赤矢印で示したマージンプランクが付き、青矢印で示したようにその外側に食い込む形で縦の面が接しています。

 これは基本原則であり、必ずしも全てに於いて適用されていた訳でもないようですが、2枚上で示した甲板写真を更に拡大すると、

20081219_4

 この画像では少し判りにくいのですが、飛行甲板の最も縁の部分、左上の矢印が示す鉄張りとの境目に沿ってマージンプランクが貼られているのが確認できます。また他の写真でエレベーターとの接点にも同様の処理が成されているのがわかります。ところが、手前の色調が異なる部分にはマージンプランクがなく、直接木材の縦の面が接しています。全てが異なるのならまだしも、この部分だけルールが異なるのはいかにも不自然で、また掲載誌の印刷によっては木材の横の接合部が一部続いているようにも見えます。

 複数の異なる媒体で同じように色調が異なるように見える以上、この部分に木甲板の色と違う何かがあったのは間違いないと考えます。ただし、上に示したマージンプランクの処理が見当たらない事から、鉄甲板と断定するには疑念が残るというのが私の現在の個人的な見方です。

 前々回と前回の甲板に関する部分は全て削ってしまうと流れがわからなくなるため、打ち消し線による処理としました。読みにくくなった点には申し訳なく思っています。


 あと1回続きます。

雑感:ハセガワ1/350空母「赤城」(その5)

2008–12–11 (Thu)
 前回、右舷側煙突付近の飛行甲板が一部鉄甲板ではないか?と書きました。その後、りゅうさんからのコメントを拝見し、再度写真を検討しました。

20081211_1
写真日本の軍艦第三巻空母I(光人社刊)p72より

 上の写真は昭和16年11月撮影とされる赤城の飛行甲板後部の写真ですが、赤丸で示した右側下部の色調が違って見えます。当初はモデルアート別冊「真珠湾攻撃隊」掲載の同じ写真を見て根拠の一つとしたのですが、その後引用元のより鮮明な写真を見たところ、木甲板の継ぎ目のラインが色調の違う部分まで続いているように写っています。そのため、これは甲板材質の違いではなく、何かの影が写って暗く見えているようです。また他の根拠とした写真も鮮明度にやや欠けるため、一部鉄甲板と考えるには弱いと判断して全て撤回しました。混乱を与えて申し訳なく、またコメントを頂きましたりゅうさんに深く感謝致します。


 色々書きましたが、基本的には大変に優れたキットです。部品数は長門並にありますが、根気よく組んでゆけば南雲機動部隊の総旗艦の威容が再現できると思います。

 ハセガワの1/450赤城が発売されたのは1973年、ニチモの1/500赤城が発売されたのは78年のことでした。特に後者は先行したハセガワ1/450の欠点をクリアし、当時知られていた情報に照らして飛行甲板後端の旧甲板が再現されていない点を除けば不満とする部分が見当たらなかった、その当時の艦船を代表する傑作キットでした。私も少ない小遣いをやりくりして買い、箱を開けたときの衝撃は今でもはっきりと覚えています。

 それからちょうど30年が経過して出てきたハセガワの1/350は、考証面での目新しさもそうですが、模型としての表現力が桁違いで、歳月の重さをしみじみと感じます。前にも書きましたが、巨大「建築物」としての船の捉え方はこれまでの艦船の組立模型の概念にはあまり見られなかったもので、実艦の構造をより強く意識したキットや作例が今後増えてくるかもしれません。

 ハセガワは来年以降、1/350で阿賀野型軽巡の企画を発表しています。長門、赤城と総部品1000個越えの大型キットが続き、かつこの赤城はバリエーションが全く見込めない事もあり、今後は仮に1/350の企画が続いたとしても中小型の艦艇にシフトしてゆくのはやむを得ないのかもしれません。ただ、ウォーターラインがそうであったように、巡洋艦や駆逐艦といった艦種が増えれば、ジャンル全体の厚みが膨らみますし、特に日本海軍の駆逐艦や潜水艦は歴史的にも技術的にも重要な艦が多い割に、大スケールのキットはこれまでそれほど種類が出ていなかったように感じるため、その方面の拡充も期待したいものです。

 あと1回続きます。

雑感:ハセガワ1/350空母「赤城」(その4)

2008–12–07 (Sun)
 前回書き漏らしたことですが、船体水線下の外板モールドは水平面のごく薄い凹モールドのみです。前作長門の航空機のパネルラインを思わせるモールドは仮に実物通りだったとしてもオーバーな感が否めなかっただけに、全体的にもすっきりした仕上がりになっています。

20081207_1
船体水面下のモールド

 各部品の合いは良いのですが、二三気をつける部分はあります。

 まず説明書p5、過程8で艦尾の部品を組み込む際に、部品E10に対するE9の接着位置はE10の艦尾側下端の凸モールドにE9の側面下部を合わせます。E10の水密戸が付いた部屋の底が1mmほど浮きますが、過程31で床の部品N30を組み込むためのものなので、ここで合わせないよう注意が必要です。

 またE10は直下の隔壁部品R17とわずかに干渉するようです。そのままでも組み込めるのですが、可能であればR17の艦尾側(番号がついていない側)の上端を、中心から12-14mmの部分を削るとよりスムーズに船体が貼り合わせられます。


隔壁部品R17の加工。
左の矢印の部分を削り込むと右のように干渉が避けられます。
(右画像のE10は諸般の事情で下端の凸モールドを削ってあります)

 艦尾の13m運貨艇を収納する部分(E8+D6+D7)のうち、左舷側は舷側がオープンになっていますが、天井の部品がないため、ここから上をのぞき込むと内部の補強桁が見えてしまいます。加工は簡単ではありませんが、E8と直上の補強桁R21との間には1mm程度空間があるため、左舷側船体のR21の差込口の下側を1mm程度カットした上で、0.5mmプラ板をE8に乗せる形で取り付けるとふさぐことができます(ただしその場合R21のコの字型に囲まれた内側部分は開けておく必要があります。ここにプラ板が当たると後部エレベーターの部品が完全にはまらなくなります)。 (これは完成後はほとんどわからなくなります。手間が掛かるだけなので無駄な作業と判断して削除とします)

 船体の艦首側には洗い場に沿って低いブルワーク状のモールドがあります。これは厳密にはブルワークではなく二段手すりの下側をキャンバスで覆った形状です(キット同封解説書p8上段の写真参照)。手すりを純正のベーシックAから用いる場合はこのモールドをよけた形なので手が付けられませんが、別途用意する場合はモールドを削って洗い場と面一にした上で手すりの下側を覆うと良いと思います。なお、上記の写真から錨甲板の後方がキットと同じくリノリウムであることがわかります。

 説明書p7、過程10の艦首の組立のうち、格納庫側壁のB2とB3の部品は少し嵌めにくいので、部品裏側の隔壁部品S3・S4・S5を差し込む艦首側から3つめ迄の下側の差し込み口の下側を削り込んでおくとスムーズに嵌められるようになります。

 説明書p10、過程14に於いて、左舷後方のカッターダビッドU9の固定位置は公式図上では戦時格納位置になります。平時にこの位置に留めている写真も存在しますが、公式図上ではこのカッターダビッドの停泊時及び航海中の位置は前のものと同じく船体中心線から垂直になります。

 説明書p14、過程20の各部品の組立のうち、K29(右舷主砲射撃指揮所)の右端にAF43の探照灯管制器を接着するよう指示されていますが、これはAH4の見張方向盤の誤りです。過程15の左舷側指揮所でK28の前方にAH4が付くのと同じ仕様です。

 説明書p21、過程40で飛行甲板最後尾のポケットから降りてくるラッタルJ56、J62が途中で途切れています。ここは公式図でも読み取りにくい部分ですが、ラッタルと接する支柱部分に踊り場があり、そこから支柱内側に接する形で垂直に梯子が降りているように描かれています。踊り場は各ラッタルの先端にあるものよりもう少し大きかったようですが、支柱L31とL32の内側に垂直梯子を付けるだけでも良いと思います(この梯子は専用エッチングCに部品があります)。なお、専用エッチングスーパーを導入する場合、説明書にエッチング支柱へのラッタル等の取付の指示が一切無いので付け忘れないよう注意が必要です。

 説明書p22 過程42の艦橋の組立に於いて、発着艦指揮所N12の上に探照灯管制器AF43を2基設置するよう指示されていますが、ここは左舷側の1基のみで右舷側(説明書の図で奥側)にはAF41の従羅針儀を付けます。赤城の探照灯管制器は艦橋の3基と右舷後部機銃座の1基(説明書p18過程29)の計4基で、110cm探照灯の装備数4基と一致します。

 説明書p26、艦載機のマーキングのうち各機のプロペラは全面銀の指定ですが、ブレードの裏側に当たる部分はフラットブラックで塗ります。艦載機のデカールのうち、説明がない15番の短い赤線二本は全ての艦載機のプロペラブレードの表側の先端近くに貼ります。また16番の細長い4本の赤線は99式艦爆の水平尾翼の編流測定線で、真珠湾攻撃に参加した中に記入していた機があったらしいのですが、艦毎の内訳といった詳細はよくわかっていないようで、そのためデカールに加えたものの説明は省いたものと思われます。

 航空は守備範囲の外なのであまり詳しい事は書けませんが、各作戦攻撃に於ける参加機の機番や個別のマーキングには不明の部分も多く、もし艦載機まで厳密に規定するのであれば、そこの部分は割り切る必要が出てきます(例えば説明書にある97艦攻のAI-316号機の塗装はインド洋作戦時の記録映画に映っているのが根拠と思われ、主翼上面半分の色が浅い理由や、真珠湾攻撃当時もこのような塗装だったのかはよく判りません)。

 また艦載機は全て透明部品なので、明灰系の隠蔽力の弱い塗料を塗ると逆光線で機体が透けて見える可能性があります。パテ埋め整形を行った場合は表面状態の確認も兼ねてサフェーサーを軽く吹いておいた方が良いかもしれません。



 専用エッチングベーシックBを導入する場合、MA74+MA79の取り付け指示が説明書のどこにもありません。これは恐らく左舷上甲板の舷側通路から内部に入るハッチではないかと思います。具体的には本体説明書p10過程14でJ35とT29の間の後方に開いている長方形の穴、及びp12過程16でJ45の真下の甲板上に開いている長方形の穴の上に付けるもののようです。

 またMA63~66の遮風柵を立てる場合、下にキットのQ13、Q17の部品を取り付けますが、この塗装指示がありません。前方の四角く区切られた動力部を軍艦色で、後方の板目モールドの部分は木甲板なので甲板色で塗ります。なお、遮風柵を寝かせた状態とする場合は特にエッチングパーツを用いる必要はなく、キットの部品Q12・16を塗装して接着し、凹モールド部分に墨入れするだけで充分な仕上がりになります。

 MA50・56の飛行機救助網は真珠湾作戦時の場合には取り付けないよう指示されています。確かに当時の写真には写っていませんが、逆台形で4つの穴が開いている船体側の取り付け金具は存在する(キット同封解説書表紙写真参照)ので、この部分のみ救助網から切り離して該当の位置に接着します。

 それと、艦尾信号燈(MA55)を艦尾旗竿に付けるよう指示されていますが、これは明確な誤りです。旗竿は艦首艦尾共に作戦行動中は倒すため、間違ってもこのような場所には付きません。正確には右舷側最後部の飛行甲板支柱(説明書p21過程40のL33、または専用エッチングスーパーMA518)の上部に付きます。なおこの信号燈の部品は縦の燈が1個多い(縦4列、横3列)ため、縦に3個並んでいる側の端の1個をカットすると共に、3個横に並んでいる側を下にして取り付けます。


丸スペシャルNo.2 空母赤城加賀p7より引用
左上の飛行甲板支柱の部分に信号燈の一部が写っています。
また艦尾旗竿が倒されている点にも注意。

 専用エッチングスーパーを導入する場合、説明書には切り離す前にメタルプライマーを吹くよう指示されていますが、そうするとトラスが組みにくくなるので、プライマーや塗装は組んで飛行甲板に取り付けた後に行うとより楽に組み立てられます。エアブラシが必須ですが、このような複雑なエッチングはそもそも筆で塗れるようなものではありません。

 また、エッチングスーパーを導入する場合、本体説明書p16過程25でU16+U17の2個の部品は取り付けず、船体壁面の各取り付け穴の向かって右側にある逆三角形状のモールド2ヶ所を削り落として壁面と面一にしておく必要があります。そうしないと飛行甲板中央裏面のトラスのエッチングを組み込む事ができません。隔壁E13は裏面トラスのエッチングを組み込んだ後にそれに合わせて接着します。この手順はスーパーの説明書には一切書かれていないため、注意が必要です。



 艦載機は零戦21型と99艦爆が各3機、97艦攻が6機入っています。離陸距離は零戦、艦爆、艦攻の順で長くなるため、3種類とも並べる場合はこの順番に、中心線に1機、その両脇に2機ずつ並べる形になります。ただし、実際の作戦行動に於いては第一次・二次といった攻撃隊毎に艦爆隊・艦攻隊などとするか、一回の攻撃で両方の機種を使用する場合はいずれかの艦(戦隊)が艦攻、他が艦爆隊と艦毎に機種を振り分ける事が比較的多かったため、模型上の演出とは別に時期を厳密に決めたい場合は良く調べる必要があります。

 上でも触れましたが艦載機は風防の効果を考慮して全て透明部品になっています。モールドもデッサンも良好ですが、1/700の発想の延長で、それらがメッシュを応用して透明度よりも風防枠のメリハリを強調した作例が増えている事を考えた場合、個人的には1/350ではもっと違った表現方法があるのではないかと考えます。

 具体的には風防のみ透明部品で、別に枠のエッチングを用意する、胴体はコックピットの凹みまで再現し、搭乗員フィギュアが(上半身のみでも)入れられるようにする、「現在の」1/350ならばこの程度まで有っても良いのではないかと考えます。全面透明部品では風防の切り離しもコックピット内部の加工も困難ですし、またプラも固い割に折れやすく、特に97艦攻の脚は細心の注意を払いながら切り離さないと車輪と脚の境目付近で簡単に折れてしまうため、この点は考慮の余地があるように思います。


 考証面に関しては、艦首左舷側の探照灯格納部や左舷後部艦載艇収納部の各側面がオープンになっていたり、煙突やその周辺の形状など、メーカー公称以外にも各部に目新しい表現が見られます。その是非に関しては資料を持ち合わせていないので何とも言えませんが、唯一、煙突が当たる部分の飛行甲板が従来の模型と同じく木甲板のままとされている点には疑問があります。

 大改装後の赤城を捉えた有名な空中写真がありますが、「写真日本海軍全艦艇史」(KKベストセラーズ刊)に掲載されている鮮明な写真を見ると、煙突付近の甲板材質は他と違うように見えます。またモデルアート別冊「真珠湾攻撃隊」p154下段の、AI-111号機の発艦写真を見ると、ちょうど煙突付近に当たる滑走静止装置付近右舷側の縁の甲板のパターンが、明らかに木甲板とは異なるパネル状のように見えます。また、同著p149上段、赤城飛行甲板のスナップで、艦首から3本目と考えられる伸縮継ぎ手を境に、手前側の甲板の縁が木甲板とは異なっているように見えます。これらの点から、大改装後の赤城は翔鶴型のように煙突付近の飛行甲板の縁が一部鉄板張りだったのではないかと考えます。模型で再現する場合は区切って(木甲板モールドを落として)塗装するだけですし、別売の木甲板セットも該当部をカットするだけですから、それほど困難な作業ではありませんが。


 以下続きます。

雑感:ハセガワ1/350空母「赤城」(その3)

2008–12–03 (Wed)
 有効総部品数の約4割が流用という事もあり、基本的な表現や部品構成は前作長門にほぼ準じたものです(ただし船体には長門ほどクッキリした外板ラインは入っていません。この点は次回に述べます)。興味深いのは設計担当者が鉄骨建築の発想を前提に置いたと述べている点で、特にオプションのエッチングパーツを使用した際は飛行甲板の裏面がトラス状の鉄骨で埋め尽くされることになります。これまでの艦船の組立模型が往々にして上面の再現度を重視し裏面はおざなりになりがちな傾向があったのに対して、明らかに一線を画するものです。最近の艦船の完成作例でも各構造物の裏面の表現を意識したものが増えているように感じますが、より実物の構造を意識する風潮がこれによって更に加速されるかもしれません。

 組立説明書は図版を多用したものですが、個々の部品の塗装説明が曖昧で、艦首・艦尾甲板のリノリウム色など、重要なパーツで説明がないものが多々あります。原寸大の塗装説明書に描かれてはいますが、製作中にいちいち広げるのも非効率ですし、後で気が付いても塗れない場合も考えられるため、最初に両方を突き合わせて組立説明書に書き込んだ方が良いかもしれません。また、幾つかの部品を事前に組んで後で船体に取り付ける部分では、先に組んだ過程の番号を示すのが普通ですが、このキットでは取り付ける一部の部品番号だけを示しています。これも混乱の元になりかねないので注意が必要です。

 また別売のエッチングパーツの説明書も、パーツの組立そのものは図版を使用して指示されていますが、最も肝心な「キット本体の何の部品と入れ替えるか」がすっぽりと抜けているために全体的にわかりにくさが目立ちます。もっとも、これだけの量のエッチングを艦船模型の経験が浅い初心者がいきなり取り組むことは考えにくいため、そのあたりは臨機応変にやって欲しいという事かもしれません。組立に掛かる前には、先に記した各部の塗装も合わせて、充分な準備と検討が必要ですが、アオシマ程ではないにせよ、組立と塗装説明のわかりにくさはハセガワの艦船キットに共通する事なので、一層の改善を望みたいものです。

 別売エッチングパーツの詳しい内容は省略しますが、

・ベーシックA…手すりとラッタル類
・ベーシックB…人員救助網、航空機運搬レール、遮風柵など
・ベーシックC…艦載艇関連、艦載機プロペラなど
・スーパー………飛行甲板裏のトラスなど+メタル製マントレット
・汎用ジャッキステイ…ピッチが異なるもの2種類
(木製甲板セットにもエレベーター表面等のエッチング有り)

 いずれも真鍮製の上品なもので、飛行甲板裏の膨大な量のトラスを中心に主なパーツは一揃い入っているようです。見た目は凄そうに見えますがその割に組みやすく、海外製のもののように一度折り方を間違えた程度ではバラバラにならないため、安心して作業ができます。特に汎用のジャッキステイのエッチングはこれまでどのメーカーも出していなかったもので、赤城に限らず広く1/350キットに応用が利くものです。ただ、スーパーに含まれているメタル製の艦橋のマントレットは表現がやや貧弱で扱いにくい感があります。また、ベーシックAのラッタルは側面のみを再現したもので、キットのステップのパーツの両側に貼り付ける形式になっていますが、表現的にイマイチなので、ライオンロア等の汎用ラッタルと組み合わせるか取り替えた方が良いかもしれません。それと、高角砲・20cm砲の砲身はどのセットにも含まれていません。

 別売の木製甲板は裏側にノリが付いたシート状のもので、甲板に貼り付けて使用し、マーキングは転写シール形式のものが用意されています。飛行甲板の凸モールドに合わせて穴が開けられているため、削る必要はありません。表現は横の接合面はまずまずで、艦載機の繋止環も表現されていますが、縦の接合面はかなりおざなりで、接合パターンが全く無視されている上に斜めに入っている部分も多々あります。また構造物とのマージンプランクもほとんど考慮されていません。実艦写真を見る限りでは甲板上の装備品との絡みで必ずしも木甲板は一定のパターンで並んではいなかったようですが、見映え的にあまり美しいものではありませんし、構造物などが近辺にない部分で縦の合わせ目が斜めに入る事は構造上有り得ません。スケール的には木の表現が成されていればそれでOKなのかもしれませんが、安価なものでもないので考慮が欲しかった所です(ちなみに、元々のプラ部品における木甲板の縦のパターンもバラバラですが、斜めに入っているモールドはありません)。

 またこの木製甲板は展示環境によっては貼り付けた裏が剥がれたり波打つ事例もあると聞きます。もし導入を考える場合は事前に製作された方の体験をよく調べて伺ったほうが良いかもしれません。

20081203_1

別売の木製甲板セット
縦の接合面のパターンがバラバラで、斜めに入っている部分も多い点に注意
(この画像はクリックすると拡大表示します)


 以下続きます。



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プロフィール

MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
模型の守備範囲:船
Webページ:模型の缶詰

現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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