船首楼の製作・後編(その1)

2007–08–31 (Fri)
 製作は再び船首楼に移ります。ここでの製作順は、まず船首楼甲板の後端の処理を行い、次に内部の配管を行い、船首楼甲板を貼ってその上の装備品を一通り作ります(装備品の接着は船体塗装の後とします)。そのあとはウェルデッキの露天部の残った装備品を作り、次に長船尾楼甲板を接着して木甲板を作り、船底部分のモールドの修正を行って船体塗装に入る予定です。

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 船首楼の内部を製作した関係で、キットでは一体化されていた船室後端の部品を切り離し、二段になっていた甲板の縁のモールドも一旦すべて削り落としていました。まずこの部分にプラ板を貼ってモールドを復旧します。

 次に、ブルワークからの立ち上がりの部分を整形し内側を削り込みます。立ち上がりの整形はWLキットで厚いブルワークを削り込むのと同じ要領です。スケールの大きな艦船キットは甲板と舷側の境目の処理やモールドに甘いものが多く、このキットも例外ではありません。そこをきっちり整形するだけでも見映えはかなり変わってきます。

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 まずは右舷側の立ち上がりの整形まで。

ウェルデッキの製作・後編(その67)

2007–08–29 (Wed)
 製作はウェルデッキの長船尾楼甲板がかぶさる部分が一通りやっと終わりました。幾つかまだ付けるものがありますが、それは上の甲板を付ける直前に行うつもりです。

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(この画像はクリックすると拡大表示します)

 いろいろありまして天井の桁がよれよれになってしまいました。この上に甲板がかぶさり、完成後は下からのぞき込む形で桁のゆがみがほとんどわからなくなるため、このまま通しましたが、反省材料ではあります。
 右舷側の桁が左舷より多いのは、以前にも書きましたが、直上にある重力式ボートダビッドの補強用の桁が付けられているためです。画像では少しわかりにくいのですが、直上にデイリータンクが来る部分(2番倉口開口部と後部隔壁の間、配管が集中している部分)にも補強用の桁が余分に付けられています。甲板の裏側の桁の配置は上の重量と関係があることがわかります。

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(この画像はクリックすると拡大表示します)

 左舷側の天井に下がっているのは、恐らくサクションホースと呼ばれる、消火用のガソリンポンプに海面から海水を吸い上げるホースではないかと考えています。確認を取った訳ではありませんが、この直下にガソリンポンプの収納箱があり、それと対になる装備品なので位置的にはここにあってもおかしくはありません。ホースは天井のフックから重みで垂れ下がっているため、模型でもそれらしく表現しています。具体的には模型工作用の極細の電線から中の芯を抜き、代わりに焼きなまして柔らかくした真鍮線を差し込み、フックに掛けた後でたわみを付けて固定しています。

 次からはまた船首楼の製作に移ります。

サイトマップを作りました

2007–08–27 (Mon)
 当初はブログの記事はある程度溜まったらサイトの方に整理して移すつもりでしたが、現状ではそこまで余裕がありません。開設から1年が過ぎかなり記事も溜まってきたため、応急処置としてこれまで書いた全ての記事タイトルの一覧をカテゴリ別に表示できるようにしました。右のメニューのサイトマップの「カテゴリー別全記事タイトル一覧」をクリックすると一覧を表示します。一番上にあるカテゴリメニューの項目をクリックすると、各カテゴリーのタイトル一覧にジャンプします。

 日々ブログを書いている時は実感できませんが、こうやってタイトルを並べてゆくと製作の進行状況が一目でわかります。船首楼内部~ウェルデッキのほぼ同じ部分で約1年行ったりきたりで、なかなか前に進みません(製作関連はブログに書いていない事もあるのですが)。

 次回からはまた製作に戻ります。

雑感:アオシマ1/350重巡洋艦「高雄」(その6)

2007–08–25 (Sat)
 最後は資料の紹介を。
 高雄型重巡は公式図が幾つか残存し、また戦前は最も国民に親しまれた艦でもあったために写真も比較的多く残っています。そのため、資料も日本海軍艦艇の中では割と数が出ています。

 価格が高いのが難点ですが、高雄型重巡の資料はこれが決定版です。

 ポーランドの艦船研究家であり著名な模型愛好者でもあるヤヌス・シコルスキー氏の手による図面集で、建造から1944年時までの変遷と装備品の明細を膨大な数の図と一部写真で示した内容です。高雄限定ですが、装備品の多くは他艦と共通で、また大改装前の状態は鳥海や防空巡洋艦に改造される以前の摩耶を作る際にも参考になります。

 モデルアートからも作図集が出ています。詳細はこちらを。
 これは岡本好司氏の手による作図集で、立体図や構造図などを多用した内容です。ヤヌス氏の本ではつかみにくい個々の形状把握が容易で、模型への応用も楽になります。ただし内容は大改装前までの状態を示したもので、このアオシマ高雄のキットで参考になる部分は限られます。むしろ鳥海や防空巡洋艦に改造される以前の摩耶を作る場合により参考になると思います。

 また、モデルアートは艦船模型スペシャルNo.26でも高雄型重巡を取り上げています。

 高雄型は2001年に発行されたNo.2に続く2回目の特集ですが、今回はこのアオシマ1/350キットの製作ガイド(〆切の関係で愛宕・鳥海・摩耶の3艦は高雄からの改造記事)を中心に、畑中省吾氏による同型4艦の時期別の変遷と識別が24pに渡って多数の図版と共に述べられている点が白眉で、非常に参考になります。また、高雄とは別に、衣島尚一氏の連載「軍艦の塗装」ではこれまであまり模型誌では触れる事が無かった信号旗の明細と使用法が、昭和16年度の艦船符字一覧表と共に詳しく述べられており、これも情景を重視する方には不可欠なテキストです。(2007/11/25追加)

 とりあえず高雄型重巡の模型の資料に関しては、上3冊を揃えれば事足ります。



 これは作家の丹羽文雄氏が、海軍の報道班員として重巡鳥海に乗り組み第一次ソロモン海戦に参加し、その直後に発表した従軍記で、艦の日常、戦闘、そして戦いの後を当事者の臨場感あふれる生の言葉で伝えています。模型に直接参考になる図面や写真などはありませんが、当時の艦の「空気」がビリビリと伝わってくる記録で、高雄型重巡、特に鳥海に関心がある方には一読おすすめします。


 写真集は次の2冊が挙げられます。

 左の重巡高雄~(以下、ハンディ版と表記)は実艦の計画建造から改装、戦時中の変遷を写真や記事・艦型図と各艦の行動記録で示した本で、つまり高雄型重巡の全般的な基礎知識がこれでわかります。ただ、21×15cmと小さい本なので、写真が少しわかりにくい難点があります。右は価格が高く、アオシマの高雄だけのために買うのはお勧めし辛いのですが、1頁1隻収録の大判の写真集で鮮明なものが多く、細部のディテールや日本の巡洋艦の魅力が十分に感じ取れます。


 これは太平洋戦争に参加した全ての日本の巡洋艦と未成で終わった計画艦に関して、建造の経緯から戦前戦中の行動記録や改装状況、終焉までの膨大な記録を写真やトレス図を交えながら綴った900p近い超大冊で、残念ながら日本にはこれに比肩する本はありません。非常に高価な洋書でかつ「読む本」ですが、日本の巡洋艦の「特定の艦の特定時期の状態」を探るには最良の資料です。高雄に限らず日本の巡洋艦を数多く作りたいと考えている方には、心強い味方になるかもしれません。



 左は日本海軍関係の資料本の中では定番のシリーズで、摩耶の大型模型の紹介に掲載写真もハンディ版より鮮明ですが、図面はありません。この記事を書いている時点では絶版で、中古価格も決して安くはなく、個人的には上に挙げた資料があれば無理して探す必要はないと思います。



 最後に、キット本体の情報も貼っておきます。

雑感:アオシマ1/350重巡洋艦「高雄」(その5)

2007–08–23 (Thu)
 色々細かい部分には気になる所がありますが、全体的には実艦の流麗で勇壮な特徴をよく捉えています。価格に見合ったボリュームで、よほど細かい表現にこだわる方でなければ、素組みでも満足は得られるだろうと思います。「モールドは平均的だが、素材としては最良」という、アオシマの特徴が良く出ているキットです。

 アオシマの1/350は少なくとも高雄型重巡4隻が出るのは確実で、前にも述べたようにパーツ割を見る限り妙高型重巡への展開も考慮に入れているのかもしれません。それ以降どの方向に進むのかは現時点では不明ですが、日本の住宅事情では1/350の戦艦や巡洋艦を何隻も飾れるような家庭はそれほど多くはないようにも感じます。しかも艦船は航空機とは異なり、スケールが上がれば上がるほど模型の密度が加速度的に上がってゆく(開発費もそれに伴って増える)という難点があり、過去に於いて艦船の大型キットを主力商品に据えたメーカーの多くが消滅か体力が弱っていった事を思うと、このまま1/350が1/700並みにラインナップが揃ってゆくとは考えにくいものがあります。市場もリソースも限られているのであれば、アイテムの選択やキットの内容、誰に向けて何をどんな内容で売るのかという「方針」が、特に重要になってくるように思います。

 秋にも発売が予定されているハセガワの1/350長門が、現在までに発表されている内容では細部の表現にこだわりマニアに満足してもらえそうな内容で、かつマニアしか手が出せない価格になりそうなのに対して、このアオシマの高雄は特徴をしっかり抑えかつ内容はそこそこで、一般の人にも手が出る価格に抑えたという印象があります。どちらにもメリットとデメリットがあり、どの方向がより良いのかは私にはわかりません。

 もしアオシマが1/350の対象を艦船の愛好者から一般に広げるのであれば、キットの説明書にもう一工夫あっても良いような気がします。 説明書はアオシマの艦船キットの最大のウイークポイントで、このキットでは実艦解説に衣島尚一氏を起用して充実を図ると共に、組立の説明も(幾つか問題はありますが)1/700に比べれば改善の跡が見られます。ただ、これだけの大きさと価格のキットであれば、実物はなぜこのような仕様なのか?とか、どうしてこのような組立を行わなければならないのか、といった周辺知識がもっと説明書に盛り込まれていれば、船にあまり関心がない一般の人にもより深い興味を持ってもらえそうな気がします。

 例えば、船体にバルジの部品を付けるのは鳥海と船体を共通化させるために必要なことですが、これ自体は実艦と同じ手順を踏んでいる訳です。ですから、竣工時のバルジは小さいものであったが、水中防御力と浮力の増大を図るために増設されたという一文があれば興味を持って付けられるかもしれません。また、艦橋の大きさは高雄型重巡の最大の特徴ですから、内外の他艦との比較図や各部署の説明があればより興味が増して、他のキットも買ってくれるかもしれません。アオシマにこの種の要求が酷なのは百も承知ですが、せっかくのキットですから、それだけの工夫も欲しいものです。

 あと1回続きます。

雑感:アオシマ1/350重巡洋艦「高雄」(その4)

2007–08–21 (Tue)
 キットの大まかな仕様は、前に書いたように船体は鳥海で、その上に増設バルジの部品を付ける事で他3隻に対応しています。そしてシェルター甲板が側壁を含めて別になっている他、恐らく1944年の摩耶を作るために3番砲塔付近が1/700と同じ要領で別部品になっています。また、鳥海との差し替えでシェルター甲板の直後から4番砲塔の直前までが別部品になっています。艦首・艦尾甲板上の通風筒やリール、ウインチ、艦首のチェーンなどは甲板と一体モールドになっています。

 この中では、バルジ(B1,2)の組立が最も気になります。バルジの増設工事の有無で船体を共通させるために増設前の船体にバルジの部品を取り付けるのは、エレール1/400の戦艦ジャンパールで使われた手法で、かつてそのバルジの取り付け整形に苦労した経験があったため、仕様が明らかになった時に上手く処理できるかどうか危惧していたことでした。残念なことに、このキットのバルジも取り付けの合わせ目が下側のわずかな突起しかなく、船体との合いがあまり良くありません。そのため、仮組と接着位置の確認を充分に行った上で付ける必要があります。

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バルジの取り付け位置
(この画像はクリックすると拡大します)

 また、このバルジは実艦写真と比べると少し違和感があります。ヤヌス・シコルスキー氏が描かれた船体線図や実艦写真などと比較しても、どうもバルジの部品のエッジが立っている上に、中央部で上方に向かってわずかにフレアーがかかっているために全体的に取って付けたような感じになるように見えます。これは個人的な意見ですが、高雄や愛宕の大改装後の全体写真などを参考に、まず中央部上端のバルジのエッジを斜めに削ると共に、フレアーがかかっている部分を埋めて水線方向に向かってわずかにふくらみが出るように整形します。次に船首尾方向に向かうにつれてエッジがよりなだらかになるように削り、船首尾方向の端を表と裏側から削って段差を最小限に抑える(完全に面一にはしない)と、違和感は少なくなるかもしれません(ただし下の写真ではほとんど違いは見えません)。

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上:キットの状態
下:修正案
(この画像はクリックすると拡大します)

 それ以外は、外形で特に気になる部分はないように見えます。

 モールドは艦橋や甲板などは非常に細かく付けられています。その反面、装備品の多くは1/700の拡大といった印象で少し物足りない部分もあります。また、外箱の完成写真には船体に舷外電路が付いていますが、キットにモールドはありません。これは細切りのプラ板などで追加する必要があります。また船体には外板ラインのような線が凸モールドで付いていますが、中途半端な上に上述のバルジの取り付け整形で消えてしまうため、これは削ってしまった方がすっきりするかもしれません。

 このキットの組立指示は塗装の工程が全く考慮されていません。説明書をよく読んで、組立の流れを頭の中に入れた上で、部分毎に組んで塗装してゆくことになりますが、船体や艦橋の組立など、仮組を充分に行って調整しておく必要があります。

 全体塗装に関する指示には一部疑問があります。過程19から使うシェルター甲板(H2)が全面軍艦色の指示となっていますが、部品のモールドには滑り止めとそうでない部分があります。戦前の高雄型重巡でこの滑り止めのない部分の多くはリノリウム甲板だったと考えられており、高雄の大戦中の状態は良くわかりませんが、愛宕や摩耶の例から見て少なくとも1942年頃はリノリウムは残っていたのではないかと考えます。その場合は艦橋脇のカッターを載せる場所と高角砲台座を乗せる四角い部分を除いて、滑り止めのない部分をウッドブラウンまたは専用色で塗ることになります。

 他には、専用のエッチングパーツがアオシマから同時に発売されていますが、これは恐らく他社からも発売されるでしょうし、特に急いで作るのでなければ、それらのパーツが出揃った上で内容を比較して使うのが妥当ではないかと考えます。

 1/350の巡洋艦クラスになると上部構造が複雑になる関係で、1/700と違って多少のエッチングを追加すれば印象が良くなるという訳ではなく、むしろその部分が浮いてしまう可能性すらあります。模型全体の印象の中で個々のパーツの表現が妥当なものかどうか、という視点で見てゆかないとバランスを欠いたものになりかねません。そしてその「さじ加減」は船が大きくなればなるほど難しくなります。ですから、エッチングやその他の追加パーツを加える場合は、作る方の知識と技量が1/700以上に問われるだろうと思います。

 以下続きます。

雑感:アオシマ1/350重巡洋艦「高雄」(その3)

2007–08–19 (Sun)
 説明書は最近の1/700よりはまだ向上の跡がありますが、追加訂正文の他にも幾つか説明不足や明らかに間違っている部分があります。気が付いた点を以下に示しておきます。

・このキットの組立に当たっては1.0ミリの穴を開ける道具が必要です。100円ショップで売られているハンドドリルで良いのですが、キリなどで開ける場合は穴が大きくなり過ぎないよう注意して下さい。

・過程14で、艦尾甲板(C2)の裏側の穴開けの指示が抜けています。艦尾の端から約1cm内側にある2個の凹穴をドリルで空け、部品J36を取り付けます。

・過程30で、マストトップの部品の説明が抜けています。H48の後ろ側の穴にH47を付けます。また説明書に記述がありませんが、H48の前の穴には方位探知アンテナ(H46)を付けます。

・過程32のカタパルト(Z19+Z23)は2個作ります。隣接しているZ13とZ18はよく似た部品ですが、このキットでは使用しないので番号を間違えないよう注意が必要です。

・過程33で、零式三座水偵は2機ではなく1機のみ作ります。機体の底面に空いている長細い穴は実機にはないので、気になる方はパテ等で埋めると良いと思います。

・過程34で、零式観測機の補助フロートのうちZ3はZ9の誤りです。この補助フロートは上に上がっている方を前に向けて取り付けます。

・また、艦載機は愛宕の例から見て、1942年の夏頃までは零式観測機ではなく95式水上偵察機が搭載されていたと考えられます。もし第二次ソロモン海戦までの状態とするならば、部品Z20+Z16+Z5(支柱の形が異なる)+Z3で組んで零式観測機の代わりに配置すると良いようです。塗装は上面が濃緑色と赤茶色の迷彩、下面は明灰白色になります。

・それと、艦載機の船体への取り付け方の説明もありません。カタパルトに乗せる時は、三座水偵の場合は滑走台車(X34)を、過程40のカタパルトの図の艦尾側の端に、台車の上がっている方を前に向けて接着し、フロートの間の胴体を乗せて接着します。また零式観測機か95水偵の場合はX24の部品を台車の下がっている方を前に向けて接着し、その上にフロートを乗せて接着します(説明書p14の完成写真が参考になります)。飛行作業甲板(J19)に艦載機を載せる時は、レールの上に作業台車(Z7)の台形になった短い側を下にして付け、その上に滑走台車と艦載機を接着します。
 ※X34の三座水偵用の台車は本来は下がっている方が前になりますが、キットには前側に付ける取り付け金具が再現されていないため、そのまま接着すると艦載機が前のめりになってしまいます。そのため、本来とは逆の向きで付けると艦載機の向きが良くなります。

・過程39で、30cm作業灯(C21)の取り付け指示が抜けています。C21は番号が付いている側の表面を銀色に塗り、番号が付いている側に向かって上の部分を下にして、C3の、C8を付ける台座の半円状に突き出した部分にそれぞれ1つずつ取り付けます。

・過程50で艦載艇を自由に配置して下さいと書いてありますが、これは説明書で指示されている配置が規定の場所だったようです。

・高角砲装填演習砲(C11)の取り付け指示がありません。シェルター甲板(H2)の左舷側、前部高角砲と探照灯台の間にある格子状のモールド(魚雷調整所)から約3mm内側の位置に空いている穴に、高く上がっている方を外側に向けて差し込み接着します。



 以下続きます。

雑感:アオシマ1/350重巡洋艦「高雄」(その2)

2007–08–17 (Fri)
キットの部品割は以下の通り。
・A部品
船体(左舷、右舷)
・B部品
バルジ(左舷、右舷)
・C部品
上甲板(艦首・魚雷発射管甲板及び艦尾)、後部マスト、デリック、各部通風口、パラベーン、高角砲装填演習砲、ほか
・D部品
煙突(前部・後部)、船体内部補強桁、内側スクリューシャフト、スクリュー、舵、2・4番主砲台座、艦橋基部前面、ほか
・E部品(2個)
主砲塔関係一式、主錨
・F部品(透明部品、探照灯のグループのみ2個)
艦橋角窓、110cm探照灯、60cm探照灯
・G部品
3番主砲塔甲板、船首フェアリーダー先端、後部煙突蒸気捨管、ほか
・H部品
シェルター甲板、後部上甲板、魚雷発射管甲板後部隔壁、後部艦橋一式、ほか
・I部品
ビルジキール、魚雷発射管甲板舷側隔壁、航空機作業甲板下部船室、煙突蒸気捨管、魚雷発射管、予備魚雷、外側スクリューシャフト
・J部品
艦橋基部、上部、航空機作業甲板、中央機銃台、高角砲台座、艦橋背面通風筒、ほか
・X部品(2個)
25mm連装・三連装機銃、12.7cm高角砲(2種)、12cm単装高角砲、各種測距儀、高射装置、見張り方向盤、ボートダビッド、110cm探照灯、22号電探
・Z部品(2個)
94式2号水偵、95式水偵、零式三座水偵、零式観測機、呉式二号三型・五型カタパルト、12m長官艇・内火艇、11m内火艇、12m・11m内火ランチ、9mカッター、6m通船、13mm単装機銃、21号電探、菊花紋章、ほか
・Y部品
前部マスト、後部マスト上部、ファンネルキャップ、ほか
・その他
スタンド部品一式、軍艦旗デカール、ポリキャップ
・初回生産限定特典
1/350ホワイトメタル製特殊潜行艇甲標的


 このうち、最も興味深い点として、船体とシェルター甲板は側壁を含めて全て別部品で、また装備品のZ部品の中には高雄型では全く使用しない部品が幾つか含まれています。船体を使い回して上部構造を差し替えれば妙高型重巡への展開も可能で、個人的な推測ですが、ある程度それを視野に入れているのかもしれません。

 またこのキットは1942年の状態と明記されていますが、不要部品を細かく見てゆくと足りないのは単装機銃の数と13号電探ぐらいで、艦橋の防空指揮所や兵員待避所、増設分の三連装機銃や機銃座など、1944年の状態にするために必要な部品のほとんどは中に含まれているようです。42年当時とした理由は図りかねますが、せっかく部品があるのですから、1枚の説明書で各時代にも作り分けられるようにしても良かったかもしれません(そんな器用な芸当をアオシマに望むこと自体が間違っているのかもしれませんが)。

 以下続きます。

雑感:アオシマ1/350重巡洋艦「高雄」(その1)

2007–08–15 (Wed)
 高雄型重巡洋艦は流麗な船体に日本の城を思わせる巨大な艦橋が特徴で、戦前より国民に親しまれた艦の一つでした。先の大戦では常に最前線に立って活動し、同型3隻は1944年秋の比島沖海戦で戦没、唯一高雄だけが中破行動不能の状態で終戦を迎えました。

 大きさが手頃な割に模型映えする事もあり、高雄型重巡は模型の世界でも過去多くのメーカーから発売されてきました。小スケールは2001年に発売されたアオシマ1/700WLのリメイクがほぼ決定版と言える内容でしたが、大スケールは1960年代初めに発売された日模1/500が長らく入手できる唯一のキットでした。これはシリーズ初期という事もあり、充分な資料を基にしたものではなかったため、スケールモデルとしての評価はほとんどできない内容に留まっていました。

 今回アオシマが発売した1/350は基本形状は実艦を良く捉えていて、ボリュームもあり、価格はやや高めですがそれに見合った内容ではないかと考えます。また日模1/500では考慮されていなかった、船体型状がほぼ同一の妙高型への船体流用も視野に置いた設計と思われ、今後の展開にも期待が持てます。ただ、設計の基本思想が1/700の拡大に留まっていた点はやや気掛かりで、1/350ならばもう少し別の切り口があっても良かったようにも感じました。

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790x290x80mmの堂々とした箱です。
またこの箱絵はかつてWL旧版で使われていたものです。

 まずは評価表から。
 これは私の個人的な主観によるものです。難易度以外は5つ星が満点、難易度は星が少ないほど易しいという意味で、星3つが標準レベル・白星は1/2と捉えて下さい。

ジャンル:近代艦船・旧日本海軍重巡洋艦
名  称:高雄(1942年当時)
メーカー:アオシマ
スケール:1/350
マーキング:軍艦旗2種類のみ
モールド:★★★☆
メリハリはありますが、小物の表現は1/700の拡大。こだわる人にはバランスの取り方が問題になるかもしれません。
スタイル:★★★★☆
実艦の流麗で勇壮な船型を良く捉えていますが、バルジの上端の形状と処理にやや違和感があります。
難易度:★★★★
バルジの取り付けと整形は手こずる。他にも組立が厄介な部分があり、部品の仮組は必須。組立説明書は1/700よりは親切ですが塗装説明は曖昧、また組立指示も塗装の工程が全く考慮されていないため、製作前に組立順を良く考えた方が良いと思います。
おすすめ度:★★★★☆
価格はやや高めですが、それに見合ったボリュームだと思います。別売の専用エッチングは最低限度のもので、もし付けるのであれば他からの発売を待った上で決めた方が良いかもしれません。
コメント:
良くも悪くも最近のアオシマの特徴が良く出ているキットです。素組みでは一定の水準をクリアしていますから、ここからのモールドの追加は作る方の知識と技量が1/700以上に問われるかもしれません。


 以下続きます。

短信2

2007–08–13 (Mon)
 製作は相変わらず見た目進んでいません。

 前回しばらく先になると書いたアオシマ1/350高雄の雑感ですが、前倒しして次回から順次書いてゆくことにします。

短信

2007–08–11 (Sat)
 製作は見た目あまり変わりはありません。ウェルデッキはこのペースであれば今月下旬までには一段落が付きそうです。その後は船首楼甲板の製作に入ります。

 あと、製作の方を進めたいので、今週発売になったアオシマ1/350高雄の感想は少し先になるかもしれません。非常に重要な意味を持つキットだと思うので、できるだけ早い時期に書くつもりではいます。

ウェルデッキの製作・後編(その66)

2007–08–09 (Thu)
 長船尾楼甲板のデイリータンクに関する配管が一通りできました。

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 タンクの配管が天井を貫通する部分に沿って透明プラ板を貼り、そこに穴を開けて管の一端を留めています。この板は完成後は全く見えなくなりますが、後で白を塗っておくことにします。

 基本的には前回示した配管図に従っていますが、細かい配置は資料がない事もあり、かなりアレンジして付けています。ただ、非常に狭い範囲に管が集中したため必ずしも思ったようにはできていません。画像下側(右舷側)のギャベジタンク付近で切れている2本の管は船首楼に向かうもので、これは後で接続します。

 この部分の配管は、完成後はこのように見えるはずです。
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 実際のところは苦労して作った所で全部が見える訳ではないのですが、縮尺が縮尺なので少しでも見える所はきちんと作りたいものです。なお、配管の所々に付いている青1本/青2本/緑帯は、それぞれ雑用水/飲料水/海水管を示す識別塗装です。

ウェルデッキの製作・後編(その65)

2007–08–07 (Tue)
 前回の続き。

 船の配管類は1/700では全く意識できませんし、1/350や1/200でもかなり省略できます。しかしながら1/100となると目に見えるものは全て再現することになります。船の他の装備品と同じく、配管にも意味がないものはありませんから、船の表面に露出している部分だけであっても意味と役割を推測しないと、写真資料がない部分で用途の違う管同士を接続する事にもなりかねません。

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(1986年1月7日撮影)

 初代海王丸は長船尾楼甲板上の2番倉口の直後にデイリータンク(赤矢印)があり、その直下がウェルデッキの後部隔壁より前に掛かっているため、ここを起点とする配管はウェルデッキの天井から前後部に配置されています。またこの付近から船首楼にかけては、他にも外部に露出した配管があります。しかしながら、全ての配管の設置状況を示す資料は手元にはありません(詳しくは述べませんが、そのような図面は存在していなかった可能性もあります)。写真は何枚かありますがどれも部分的で、かつ撮影された写真毎に違いが見られる状態で不明点が少なくありません。よって断片的な資料と足りない頭を絞って外部に露出している部分の配管配置図を推測することになりました。

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(この図はクリックすると拡大表示します)

 推測の上に推測を重ねた内容で自信は皆無ですが、全くの空想図という訳でもありません。この図を描くに至った根拠は非常に長くなるのでこの場では述べませんが、製作はこの当てにならない図を元に行います。

ウェルデッキの製作・後編(その64)

2007–08–05 (Sun)
 ウェルデッキ閉鎖部の、船尾側半分の主な装備品が付きました。2番倉口の天井の開口部の処理が残っていますが、これは後回しにします。

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 後方隔壁の中央にあるのは消火用ホースの収納箱と消火器で、少なくとも1983年春の時点ではここにありました。85年春にこの位置にあったかどうかは写真資料がなく、横にあるキノコ型通風筒との関係で確証がありませんが、一応そのままとしています。また収納箱の色は長船尾楼甲板上にあるものが全て赤色で塗られていたため、それに従って赤としています。

 製作はこれから配管工事に移ってゆきます。

ウェルデッキの製作・後編(その63)

2007–08–03 (Fri)
 右舷側のバケツ掛けができました。

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 その61で示した左舷側よりも本数が少ないのは、恐らくギャベジタンクを付けた関係で船尾側のものが外されたのだろうと思います。現役当時、バケツは左舷側のバケツ掛けに掛けられる事が多かったようで、これはあまり使用されていなかったようです。また中央に通っている桁は直上に設置された1番救命艇重力式ボートダビッドの甲板補強用のもので、これは左舷側にはありません。

ウェルデッキの製作・後編(その62)

2007–08–01 (Wed)
 製作は右舷のギャベジタンクまで終わりました。

 ギャベジタンクとは生ごみを貯蔵するタンクで、港湾の汚染防止のために1973年春の入渠工事の際に船内の汚水処理装置と共に設置されたものです。停泊中は生ごみをこの中に溜め、出港した後で外洋に投棄していました。日本丸にも同様のタンクがありましたが、写真で見る限り海王丸とは仕様が異なっていたようです。

 キットにはこの部品はありません。現在の保存船からは撤去されている上に、市販の資料にはこの付近を撮った写真が皆無、加えてこのタンクは停泊中や一般公開中はキャンバスで覆われている事が多かったらしく、私が個人的に撮影した写真も極く一部しか写っていないため、正確な外形はほとんどわかりません。

 断片的な写真や当時の乗員の方の証言などを総合すると、基本的な仕様は足付きの小型タンクで、直上の長船尾楼甲板に投入口があり、また下側に排出バルブがあってブルワークのムアリングパイプを通して船外に排出する構造になっていました。また排出方法はポンプ等を使わない自然排出で、タンクの底面は右舷後部の排出バルブに向かって傾斜が付けられていたようです。

20070801_1

 当初は天蓋に小型のハッチがあり、排出の際にはそこに海水の管を差し込んで中身を流していたそうですが、1982年秋の入渠工事の際にバルブ付きの海水管を直接接続して流すようになりました。タンク本体に投入口があったかどうかは判然としませんが、右舷舷側からタンクの天蓋部分が写っている写真に見当たらない事と、運用面でもウェルデッキから投入する事はなかったとの事で、恐らく無かったのではないかと考えています。また、タンク自体は木甲板上に直付けで、甲板にコーティングなどは特に施されていなかったようです。

20070801_2

 最終的にはこのようになりました。配管バルブの緑色は海水を示す識別塗装です。また天蓋の穴は上の長船尾楼甲板からの投入口の管が付く部分で、これは甲板を取り付ける時に位置を合わせて付けるつもりです。それと、天蓋から天井のフレームに向かって補強用と思われる棒材が計4本、これは写真から確認できるため付けています。

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MOMOKO.120%

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