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ハセガワ1/350隼鷹を作る(その64)

2018–08–12 (Sun)
 前回の続き。

右:写真日本の軍艦第四巻より
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 左舷後部の発動機試験場の裏側のサポートの表現が少し弱いので付け替える事にしました。この部分は写真が残っているので少し貼って比較してみたところ、4つの穴が開いている大型のサポートの前端の形状が実艦では直線的ですが、キットでは内側に切れ込んでいて、何かが変です。そこで改めて調べてみたところ、キットの発動機試験場の平面形状が実艦とは少し異なっている事に気がつきました。

航空母艦隼鷹 十二糎二十九聯装噴進砲装備要項図第一回
(昭和19年7月26日製図)より

 以前に隼鷹の噴進砲の話をした際に用いた、大和ミュージアムの公開資料の図面がちょうど発動機試験場付近を示しているので、主要部分を抜粋して説明します。図面上では艦首側にある110cm探照灯と整備科軽質油庫の隔壁の位置(A)でナックルが入り、そこから試験場の後端(C)まで平面形状が直線である事を示しています。


 ところがキットではナックル(A)から試験場後端(C)までが直線ではなく、赤矢印の部分で内側に約1.5mm程度切れ込んでから後端(C)に向かっています。最初に挙げた裏側形状の違和感の原因はこれです。私自身も裏側のサポートの付け替えを行わなければまず気がつかなかった部分で、一旦形を整えたところを後から弄るのは嫌なのでそのまま通そうかとも考えたのですが、最小限の修正で直せそうだったので思い切って手を付けてみました。


 まず(A)~(C)の部分が一直線になるように1mm厚のプラ板を貼って整形し、次に隔壁を扉の付近で切断し、床との接着も(A)の位置まで剥がします。次に(A)の隔壁の裏の部分に切れ込みを入れた上で、内側に切れ込んでいる隔壁を(A)~(C)のライン上まで引き出して接着し直します。切断部分が1.5mmほど開くのでプラ板やエポパテで埋めてラインをつなぎます。無理矢理つないだので隔壁のラインが若干不自然になってしまいましたが、これはもう仕方がありません。


 隔壁の位置を替えたので、上の飛行甲板にも影響が出てきます。そのままでは隔壁がはみ出してしまいますが、幸いにもキットの飛行甲板は左舷の探照灯付近の鉄甲板と木甲板が別部品になっているため、接合部の先端を0.5mm程度広げれば丁度かぶさります。探照灯の脇の部分の張り出しが若干大きくなりますが、これも仕方ありません。上の図面で示されている通り、飛行甲板のサイドラインと隔壁が(B)で一旦同じ位置になり、隔壁はそこから内側に切れ込んでゆきます。

 大体の形は出来てきましたが、まだ厄介な作業が残っています。
 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その63)

2018–08–05 (Sun)
 3回前の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 リールの製作がまだ残っていたので取り掛かっていました。どんな艦船にも普通にある装備で、外部パーツもそれなりに出てはいますが、水密扉などど同様に意外に表現に乏しく1/700を引き延ばした単調なものばかりで、サイズも極端に大きかったり小さかったりで選択に乏しい印象があります。また1/350であればロープは塗装ではなく糸を巻いて仕上げたいところですが、それを考慮している製品もほとんど見当たりません。スタンドとドラムが一体化しているエッチングでは糸を巻くのが極めて困難ですし、分離しているものはドラムの両サイドを水平にして傾かないようにスタンドに止めるのが難しく、一長一短の感があります。

 この製作ではスタンドとドラムが分離しているライオンロアのエッチング(R3510)を用い、ドラムの円盤の中心とスタンドに0.3mmの穴を開け、0.25mmの真鍮線を通してバランスを合わせています。ただし、エッチングの板厚が薄くて強度が足りないのでドラム・スタンド共に「二個一」としています。またハンドルはジョーワールドの通し穴付きピン(JPE999)を加工したものを用いています。 

 上の画像は奥の5個が艦尾リールフラット用で、手前の3個が艦首用、右奥の2個は部品自体は手前の3個と同じですが、取付スペースの関係で約0.8mm程度幅を詰めています。ドラムに巻く索は黒の鋼索と茶系の麻索で、数はわかりませんが飛龍の公式図などから大体同数程度としています。


 以前にも書きましたが、この製作では艦尾の増設機銃座は竣工時に設置されていたリールフラットを後方に延伸した形と解釈しています。フラット上のリールの種別も資料がなく詳細はわかりませんが、2種5個として並べることにします。


 後は艦尾の装備品を付けたところまで。中心線上のボラードと艦尾端のフェアリーダーの中間にあるのは二層下の倉庫からロープを引き出すハッチで、鋼製カバー付きのためハッチではなく円柱状の表現になります。また中心線上のボラードの左舷側にあるのは直下のキャプスタン動力室の通風筒で、キノコ状のものはフライホークの英国海軍用通風筒4(FH350135)、キセル状のものはジャンクパーツ(たぶん1/700ピットロード神川丸の部品)からです。これらは公式図に記載がなく戦後解体中の写真にも写っていないのでキットに表現が無いのは間違いではありません。この製作では「あえて」付けていますが、根拠は大変に面倒で長くなるのでいずれまた。

 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その62)

2018–07–22 (Sun)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 艦尾の機銃台がやっと形になりました。以前に書いたように機銃台の上の構造物は南太平洋海戦当時は兵員待機所ではなく他の機銃座と同じ弾薬格納所としています。ブルワークはプラストライプの2.0mm幅で付け直し、側面の手すりはキットの専用エッチングをそのまま使いますが、一段高いリールフラットの周辺は龍鳳と同じく手すり無しとします。

 ブルワークの内側に並んでいる計器状のものは機銃用通信機という名前以外に何もわからない装置で、大鷹の被雷損傷や隼鷹・瑞鶴の艦橋背後の機銃と一緒に写っている写真があります。隼鷹のこの部分に装備されていたという資料はありませんが、空母の模型で付けている作例をほとんど目にしないので付けました。これは管制非管制に関わらず空母の全ての連装機銃に付帯する装備ではなかったかと考えていますが、詳しくは後でまた述べます。


 右舷側の舷梯用フラットも作って取り付けます。フライホークの舷梯用エッチング(FH350015)を加工してそれらしく作っています。



 艦尾のまとめがほぼ終わり、当初はここで一旦船体にサフを吹いて表面の荒れを調整するつもりでしたが、今年は7月から連日の異常猛暑で、早朝であっても船体を振り回してラッカーサフが吹ける状況にはありません。そのため、暑さが収まるまでは未製作の小物を作りつつ、飛行甲板や艦橋の製作に取りかかります。

 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その61)

2018–07–15 (Sun)
 ツイッターで触れた話ですが、ここにもまとめて書いておきます。



 前々回の記事で飛鷹の艦内側面図について触れました。一般的に艦内側面とは前後方向の中心位置に於ける構造を示すもので、この時の飛鷹の艦尾機銃座が昭和19年の隼鷹と同じく機銃2基設置で中心に射撃指揮装置がある形態ならば、艦内側面で書かれるのも指揮装置になるはずです。しかしながら図面ではそうはなっていません。

空母飛鷹一般艤装図 艦内側面より艦尾周辺の状況
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 しかもこの図面では(1)で示すように機銃台の支柱に中心線が描かれています。つまり支柱が中心位置にある事を示し、機銃も2基設置ではなく1基しかない可能性も考えられます。しかしながら(2)では機銃台のブルワークが支柱位置で折れている事を示しています。これを厳密に解釈すれば凹型の平面型に1本または三本支柱となりますが、19年の仕様からは違和感があります。

 この図面は一般艤装図の完成図と題されてはいるのですが、細部があまり描かれていないトレス図で、描き漏れや誤りの可能性は考えられます。ただし、昭和17年後半以降に撮影されたとされる瑞鳳の写真では、艦尾機銃座は19年時とは異なり射撃指揮装置が見当たらない上に機銃も1基しか設置されていないように見えるので、隼鷹/飛鷹も19年時と異なっていた可能性も充分に考えられます。

写真日本の軍艦4巻より

 本製作に於いては昭和17年11月に完成した龍鳳の艦尾機銃が射撃指揮装置付きの2基設置である事や、8月末に出た春日丸(大鷹)の機銃増設訓令が同様の内容であること、隼鷹/飛鷹の南方への出撃が17年10月頭と他艦より遅かった事、加えて模型として見た場合に艦尾機銃が1基では強い違和感か残る事などから、艦尾の機銃座は19年と同じ指揮装置付きの機銃2基と判断していますが、直接裏付ける資料はありません。

 模型の場合はどこかで線引きしなければ完成しないので最後は感覚で割り切るしかないのですが、もやもやが残るのは辛いところです。




 製作はキットの艦尾機銃座の部品のモールドを一旦削り落とし、平面型を修正してブルワークと裏側の補強材を付けたところまで。補強材は主にレインボーの穴あき三角板(Rb7015,3518)と角形に組み合わせができる穴空き帯板(Rb7004)から成ります。例によって紙細工の如きペラペラの真鍮板なので綺麗にはできていませんが、完成後はほとんど見えなくなる裏面なのでこれで通します。

 機銃台にもう少し手を加えた後に艦尾のまとめに入ります。
 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その60)

2018–07–01 (Sun)
 前々回の続き。

写真日本の軍艦第四巻より
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 まず、艦尾右舷側の舷梯最上段について後方から撮影された写真に見えない事から取り外し式ではないかと書きましたが、その写真に於いても写っている旨、御指摘がありました。更に拡大して見てみたところ、大変不鮮明ではありますがそれらしいものが写っているように見えます。他にも終戦後の右舷正横から撮影された写真にも下部サポートの付いた張り出しが写っている事から、右舷側については固定式として製作する事にします。




 製作は艦尾側の側壁を建ててモールドを追加したところまで。右舷機銃座から回り込んでくる通路は左舷側に艦載艇揚げ降ろし用のウインチ(E5,6)が付きます。通路共々塗装の関係でまだ接着はしていません。


 ウインチはそれ単独で動作するものではなく、近辺に操作盤があります。珊瑚海海戦に於ける翔鶴の損傷写真が有名ですが、天城の戦後解体中の写真にも写っているものがあります(写真日本の軍艦3巻p239上段)。キットには部品がないので翔鶴の写真を参考にそれらしく作り、背後の壁面にも機器類を付けています。操作盤の位置は竣工時の右舷側面図と船内側面図からの推測ですが、戦後の写真では通路の形状も含めて位置が違う可能性があります。これは飛行甲板などの支柱を取り付けた後にまた触れます。

写真太平洋戦争第三巻(光人社刊)より

 左舷側の発動機試験場の周辺は写真が残っています。キットでカーテン状のモールドが付いているのが発動機の搬入口で、その奥に調整所があります。ここは(1)の外板継ぎ目付近が天井で、その上は倉庫になります。

 それで、公式図上では調整所の上部に運搬軌条があり、搬入口を通して外部の軌条とつながるように描かれているのですが、公式図の断面図や実艦写真(4)で示されているように搬入口の高さが天井位置よりかなり低いので、公式図通りであるならば壁面をレールが貫通しているか、もしくは搬入口の高さまでレールが吊り下げられていない限り搬入搬出はできませんが、写真からはそのようには見えません。写真がある以上そう作るしかありませんが、公式図が実際と異なるのかそれとも特殊な仕様なのかは不明です。

 写真の奥側の壁面には踊り場とドア(5)が見えます。この近辺は天井が(2)の位置にあり、上側は起倒式クレーンの電動機室になっています。キットは張り出しだけで(3)のドアのモールドが無いので、他と同様にエッチングで追加しておきます。

 また上の写真は撮影が昭和17年12月31日という事ですが、(6)の人物が寄りかかっている所に小発動艇らしき物体と搬出用のレール?が写っているようにも見えます(標準装備の13m特型運貨艇や12m内火ランチはここには物理的に置けません)。写真の撮影位置が公式図上では8m内火ランチの装備位置である事から一時的に移動したとも考えられ、この時期の隼鷹に小発搭載の裏付けはないので模型でも再現はしませんが、気になる部分ではあります。

 以下次回。

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プロフィール

MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
模型の守備範囲:船
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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