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ハセガワ1/350隼鷹を作る(その86)

2019–02–18 (Mon)
 前回の続き。

 大和ミュージアムの公開資料の中に軍艦剣崎(空母祥鳳)飛行機着艦指導燈装備要項図というものがあります。これは船体への取り付けの大まかな仕様に関する図面で着艦指導燈そのものは概略のアウトラインでしか描かれてなく、また実際にその通りに装備されたかどうかも不明ですが、詳細なディテールがわかる写真がほとんど見当たらない航空母艦の着艦指導灯の構造を考える上で貴重なものです。

 図面には注としてこのような事が書かれています。

二.装備要項
 (一)各燈筐ハ仰角十二度ニ装備<以下略>
 (二)照門燈(赤色燈二個)ハ図示寸度ニ準ジ指導角四度乃至
   九度ニ調整可能ナル上下作動装置ヲ有シ且折疊<畳>容易(右舷ノミ)
   ナル支基ニ取付クルコト
 (三)照門燈支基附近ニ指導角ヲ容易ニ視認シ得ル目盛リヲ附スルコト
 (四)照星燈(緑色燈四個)ハ図示寸度ニヨリ折疊容易ナル支基上ニ
   取付クルコト

 私自身は航空母艦の着艦指導灯は艦上機の進入角6~6.5度に固定して装備されていたものと考えていて、写真や図面を深く見る事も無かったのですが、この記述を見て改めて見直してみました。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 隼鷹の場合、昭和18年2月頃と考えられる日本ニュース第145号の映像に於いて発艦する零戦の後方に着艦指導灯の照門灯が写っているのが確認できます(上画像左)。これに対して昭和19年春とされる消火装置の実験中の写真には何も写っていません(同右)。公式図では左舷の照門灯は不要時には艦尾方向に折り畳んでいたようですが、高さが固定ならば折り畳んでいても照門灯は見えているはずです。これにより隼鷹の照門灯は祥鳳の装備要項と同様に上下に可動する仕様である事が推察できます。

 キットの照門灯の部品(No.Q1)は左右両舷共通で、舷側から張り出す長さも同様です。これは竣工時の上部平面図の通りですが、右舷側面図の収納状態の照門灯は上面図よりも長く描かれています。

ハセガワ1/350キット付属の張線図より

 上面図で照門灯と照星灯の位置関係を線を引いて比較すると、図面の(キットの)長さでは右舷と左舷の交差位置が飛行甲板の中心線よりも左舷寄りで交差します。これでは誘導灯の役目を果たせません。対して側面図から割り出した長さで比較するとほぼ中心位置で交差します。従って上面図の右舷照門灯の張り出す長さは誤りで、側面図が正しいのではないかと考えます。

 また、上記の祥鳳の飛行機着艦指導燈装備要項図では、左舷側の照門灯の内側に着艦指揮信号灯というものが描かれています。他の空母の公式図を見ると、葛城は照門灯二個の間に描かれていますが、隼鷹と千代田と龍鳳には記載がありません。瑞鶴は昭和17年後半と考えられる映像にそれらしいものが映っているのが確認できます。

軍艦瑞鶴写真班「南太平洋作戦」
ビデオ「日本海軍艦艇集下巻」より

 確認できるものとできないものがありますが、信号灯はある程度統一基準の下で設けられるもので、艦によって有る無しに違いがあるとパイロットに混乱を与えかねません。従って公式図に描かれていない艦についても装備はあったのではないかと考えます。

 川崎まなぶ著「日本海軍の艦上機と水上機」(大日本絵画社刊2011)のp192に、飛鷹の艦上機の発艦の写真が掲載されていますが、ここに写っている照門灯の架台は瑞鶴と異なり支柱から左右方向の大きさに違いはなく、灯の間が埋まっているように見えます。これより隼鷹の着艦指揮信号灯は葛城と同じく灯の間にあったのではないかと考えますが確証はありません。




 製作はキットの照門灯の部品を上下可動できるように修正します(正確な高さは船体に取り付ける際に決めます)。基部で一旦切り離し、ファインモールドのメタルメッシュ長方形(AE-07)を箱状に組んで支柱とし、その上にプラ材で作った台座を付け、元の部品から切り離した灯を角度を付けて接着します。基部は右舷側のみ約1.5mm延伸、左舷の灯の間に指導灯を追加しています。

 上記の祥鳳の要項図では基部に昇降用のハンドルが描かれているのでそれらしいものを追加しています。図面では基部はトラス状に描かれていますが、非常に小さい上に形状が今ひとつ把握できなかったのでキットのままとしています。また終戦後の写真を見る限り右舷側の照門灯の台座形状は明らかに異なるのですが、これも全体の形状が把握できなかったのでキットに準じた形に留めています。なお照星灯の方は架台の表現方法がまだ決まらないので後回しにします。


 その他は、船体右舷後部の張り出しなどを取り付けています。これから機銃座上の弾薬供給所などを取り付けて艦尾から左舷に移ります。

 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その85)

2019–02–10 (Sun)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 前回作り直すと書いた右舷3・5番高角砲間の係船桁下通路の付け直し。外す際に表面をかなり傷めてしまったので外板を2ヶ所剥がして貼り直し、舷窓も付け替えています。その他周辺も若干勢い余って壊したので手を入れています。


 通路は前回から取り付け位置を若干上げ、汚水捨管との位置関係を整合させただけで表現そのものは同じです。急いては事をし損じるの格言通りになってしまいました。少しわかりにくいのですが、画像右から3本目の下部支柱と汚水捨管の位置関係は戦後の写真ではっきりわかるものがないため、公式図の表現に従っています。


 その後は航空機着艦指導灯の照門灯(部品No.Q1)の表現を考えていました。これは上下方向は固定だと考えていたのですが実際は可動式で着艦の他に発艦時にも上に上げていたようです。形はできましたが、詳細は次回まとめて書きます。

 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その84)

2019–02–03 (Sun)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 右舷3・5番高角砲の周辺まで進みましたが、係船桁の周辺は画像の状態からもう一度やり直します。


 艦橋後部下の作業員控所(部品No.J10)は、上画像左のキットの指定位置は竣工時のものです。老猿さんのブログ「海に憧れる山猿」の解説図では直上に機銃座が増設された際に若干左側に移動したように描かれていて、それは昭和18年6月出図の飛鷹の公式図や終戦後の写真からも確認できます。この製作では側壁が折れる角の部分まで移動して先端にラッタルを設けるための張り出しを追加しています(なお飛鷹の公式図ではラッタルは控所の端ではなく手前側の中央から下に降りるように描かれています)。


 隼鷹の係船桁周辺の構造はグランプリ出版「日本の航空母艦」p102に図解があります。しかしながら説明では左舷となっていますが、周辺の状況からどうも右舷側で、図そのものが逆版になっているようです(左舷係船桁の後方に通路は無く、また下側の通路をまたぐ汚水捨管もありません。いずれも右舷の特徴です)。またこの図解では係船桁の下に台がありますが、終戦後の写真にそれらしいものは見当たりません。仕様が途中で変わった可能性もありますが、根拠もはっきりしないので付けない事とします。

 また見た目はそれほど目立たないものの、写真に撮って見ると下の通路が若干下がり気味であまりバランスが良くありません。以前に追加した汚水捨管との位置関係もずれているので、この近辺はもう一度作り直す事にします。


 下から見るとこのような感じです。係船桁周辺の通路の手すりは前に述べたレインボーモデルのタイタニック用と日本海軍艦艇用II(Rb3502)を加工して差し替えていますが、メーカー作例の純正エッチングを使用した状態と比較すると効果がわかると思います。

 以下次回。

ハセガワ1/350隼鷹を作る(その83)

2019–01–28 (Mon)
 前回の続き。
 製作は艦橋右舷下の通路などを取り付けたところまで。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 この長大な通路は竣工時の公式図には描かれていません。マリアナ沖海戦までに設置されたものですが、それ以前の写真では有無がはっきりしないため、正確な設置時期は不明です。昭和18年6月出図の飛鷹の公式図にも描かれていませんが、この図面は右舷艦橋下の部分が110cm探照灯座を除いて吸排気口等が何も描かれていないため意図的に省いた可能性があり、これを以て未設置の判断はできません。

 そもそも竣工時に無かったという事は、その時点では必要と考えられていなかったもので、後に付けられたとすれば、最も考えられる理由は運用上の問題-すなわちミッドウェー海戦の戦訓に思い至ります。

 以前にも触れましたが、防研資料「発着兵器基地兵器関係」(登録番号⑥技術-兵器-292)の中にある「航空母艦艤装改善ニ関スル方針ノ件仰裁」と題された昭和17年9月22日付の稟議書の写しに於いて、戦訓に伴う航空母艦の艤装の改善点が挙げられています。そして主要事項に対する改善策としてこのような事が書かれています。

一.消防諸施設
  四 其ノ他
  防火ニ當リ作業ヲ容易ナラシムル爲(為)外舷ニ通路ヲ設ク
二.(略)
三.防御甲板以下ニ對スル交通及連絡ノ確保ニ關(関)スル事項
 (二)機械室、罐室ニ對スル非常口及所要隣接區劃(区画)ノ人孔ハ防水ヲ阻
   害セサル範囲ニ於テ電線通路、風路等ヲ利用シテ之ヲ設ケ非常ノ
   際ノ交通ヲ確保ス

 ミッドウェー海戦では4空母がいずれも爆撃による火災を鎮圧できずに喪失に至りましたが、証言に共通する事として前後方向の交通がままならなくなり生存者は艦首または艦尾甲板に追われていった点が挙げられます。そして機関部との連絡や交通が途絶したために艦の放棄を余儀なくされ、機関部員の脱出が果たせず多くの犠牲者を出す結果にもつながりました。

 これらの事から、隼鷹の艦橋右舷下の通路(部品No.K29,34,35,専用エッチングA-MA243,244,248~250)はミッドウェー海戦の戦訓による消防対策の一環として設けられたもので、設置時期も南太平洋海戦の前後の比較的早期に実施されたのではないかと考えます。

 また艦橋下の後部、右舷発電機室排気路の下に短い通路(部品No.K32,33,専用エッチングA-MA245~7)がありますが、これも竣工時の図面には描かれていません。戦後の写真をよく見ると通路から排気路に向けて梯子が付けられているのがわかります。

学研「空母大鳳・信濃」より

 上で引用した航空母艦艤装改善ニ関スル方針ノ件仰裁の対策事項の中に、風路等を利用して機械室や缶室の非常交通路を確保するとあります。そのため、この張り出しも排気路を利用した艦底からの非常交通路の一環として比較的早期に設置されたのではないかと考えます。この製作ではいずれも設置済と判断して付ける事にします。




 キットにはこれらの通路が専用エッチングとして用意されていますが、手すりはごついので他と同様にレインボーのものと取り替えています。また通路の下部サポートは細い支柱を三角形に組み合わせた形になっていて、キットの専用エッチングにも部品はあるのですが、どうも写真から受ける印象よりも若干小さめで表現的にいまいちな感じがしたため、0.25mm真鍮線を組み合わせて本当はこんな面倒臭い事はやりたくなかったのですが後方下の通路の下部部品を飛ばして無くしてしまったので仕方なく作り直しています。


 艦橋下後部の通路は先に述べたように艦底からの非常脱出路として設けられたのではないかと考えます。キットは外板や舷外電路のモールドの位置関係が微妙にずれていて、実艦写真と比較すると取付指定位置がやや下側になるようです。そのためキットのモールドに従って付けた近辺の舷外電路を一旦剥がし、1.0mmほど上方に付け替えて通路が指定位置より若干上に付くようにしています。これも同様に下部サポートを真鍮線で付け替えています。

 以下次回。




ハセガワ1/350隼鷹を作る(その82)

2019–01–21 (Mon)
 前回の続き。

(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します)

 製作は艦首から手すりと残っている張り出しなどの取り付けに掛かっています。


 隼鷹の竣工時の公式図では手すりの種別が鋼棒とチェーンで区別して描かれています。この製作ではそれに従い区別する事にします。前回の記事で書いた通り支柱はタミヤのハンドレールセット、チェーンは0.05mm銅線を二本ねじった線、鋼棒は0.1mm真鍮線をそれぞれ使用しています。


 単一表現の手すりエッチングと異なり、タミヤのハンドレールセットはこのように通すものによって表現の区別が出来ますが、支柱の部分がどうしてもごつく見えるというデメリットもあります。これは仕方がないので、どの表現を優先するかで決めれば良いと思います。

 上の画像の高角砲甲板の上の小さな張り出し(部品No.J9)は、公式図では軽質油管用球形弁操作フラットと書かれている部分で、詳細はわかりませんが、作業員控所にあったと考えられる艦載機給油用の軽質油弁を一元管理する部署ではないかと考えます(積込用の作業フラットは1,2枚目の画像のエッチングの張り出しの部分になります。軽質油弁については飛行甲板まで作業が進んだ時にまた述べます)。 この部分も含めて上部または小型の作業フラットは変化を付けるために極細でやや間隔が狭いレインボーモデルのタイタニック用手すりエッチング(Rb4001)を使用します。

 以下次回。

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MOMOKO.120%

Author:MOMOKO.120%
職業:自営業見習い
趣味:ブログの通り
模型の守備範囲:船
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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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