雑感:ハセガワ1/350日本海軍航空母艦「赤城」(延長戦-6)

2012–02–22 (Wed)
 前回までの事柄をまとめると以下の通りになります。

・左舷後部機銃座の空間は少なくとも大改装直後はキットが示す通りと考えられる。
 ただし昭和16年の時点ではフジミ1/700のようにクローズドされた可能性もある。
・左舷前部機銃座の通路の部品(K5)は艦首側から約9.5mmをカットする。
 甲板の取り付け部の凸モールドは該当部を削って面一とする。
・公式図上では左舷前部機銃座の支柱内側に補強桁が存在する。
・各機銃甲板上の作業員控所と着艦指所が表現されていない。
 少なくとも左舷側には存在したものと考えられる。
・右舷前部機銃座の艦首側の段差の再現、及び予備艦橋部分のかさ上げ。
・機銃座の高さはキットの位置より0.5~1mm程度低いと思われるが、
 作業量が多い割に効果が見込めないため手をつけない方が無難。

 この他にも最上甲板の主砲射撃指揮所の構造や左舷高角砲甲板と格納庫の仕切の横幕(帆布)の存在など、公式図から気になる部分はありますが、それらはまたの機会に書くことにします。



 赤城の話はとりあえずこれで終わりにします。長々と書いた割に大した内容もなくすみませんでした。次は以前保留にした軽巡阿武隈の後部甲板上の吸気口に関する事柄と、空母千代田に関して引っ掛かっている事を書いて、1/100海王丸に戻るつもりです。

雑感:ハセガワ1/350日本海軍航空母艦「赤城」(延長戦-5)

2012–02–16 (Thu)
 前回まで赤城の左舷側機銃座の高さに関して述べました。しかしながら、その後再度仮組して全体のバランスを見てみたところ、機銃甲板を1mm下げてもキットのままでも全体の印象はさほど変わらないように見えます。機銃甲板を下げると下部サポートの調整など作業量が格段に多くなる割にそれに見合った効果は見込めないと判断したため、公式図からの推測はそれとして、位置云々の事柄に関しては取り下げることにします(延長戦3と4の該当部は打ち消し線で消してあります)。



 4つの機銃座の部品の甲板上には、滑り止めとは別に幾つか長方形のモールドが成されています。これは公式図上では作業員控所または着艦指所と描かれている部分ですが、キットでは何の表現も成されていません。
各部品の赤及び白矢印が作業員控所、青矢印が後部着艦指所です。
(この画像はクリックすると拡大表示します)

 これは機銃甲板平面図上に実線で描かれているので、ポケットのように飛行甲板にぶら下がっているものではない事は推察できます。しかしながら、手持ちの赤城の写真を並べてみても、写真日本の軍艦別巻2「海軍艦艇図面集Ⅱ」に収録されている赤城の舷外側面図にもそれらしい構造物は見当たりません。


丸スペシャルNo.56 日本の空母Ⅲ p14より

 この真珠湾攻撃当時とされる写真を見ると、左舷後部機銃座付近から飛行甲板に向かって身を乗り出している兵員が多数確認できます。しかしながら、図面上ではここにはポケットがなく、また[延長戦3]で述べたように後部機銃座から飛行甲板までの高さは約1.6~2mほどあるため、機銃座から直接飛行甲板に身を乗り出すことはできないはずです。とすれば、ここには飛行甲板から約40~70cmほどの位置に足を置ける場所-すなわちポケットと似たような作業員控所があったのではないかと考えます。

 他艦で機銃甲板上に作業員控所がある例を探してみたところ、解体中の隼鷹の写真に写っているものがありました。


丸スペシャルNo.56 日本の空母Ⅲ p63より

 これは同艦の公式図にも描かれているもので、上が作業員控所、下の扉らしきものが開いている部分が銃側弾薬格納所です。それで、赤城の機銃甲板の少なくとも左舷側にもこのような形状または下側がオープンの控所があったのではないかと推測します。最初の画像の右舷前部機銃座(K6)の白矢印で示した位置の控所は飛行甲板の下に位置しますが、兵員数人が立ってしか入れないという疑問は残るものの、もし存在したとすればセミクローズかクローズ状の構造物があったのかもしれません。

 右舷側機銃座(K6, K18)の部品には一部へこんでいる部分があります。

(この画像はクリックすると拡大表示します)

 黄矢印で示した部分は、機銃座が船内の甲板よりも高い位置にあるために設けられている段差で、公式図上ではここに数段程度の階段が設けられています。キットは機銃甲板の厚みが1mm程度あるためにそれほど深い段としては表現されていません。前部機銃座(K6)の水色で示した部分は長方形の凸モールドになっていますが、ここは図面上では後方と同じ段差なので凸部を削って凹に直す必要があります。その際に画像左側の段差共々機銃座の底から0.5mm程度まで下げ、機銃座が接する壁面にある開口部モールドの下側を掘るか貫通させて広げると、位置関係がより自然になります。

 また前部機銃座のピンクの矢印で示した部分は公式図上では予備艦橋となっていて、上述の海軍艦艇図面集の側面図でもこの部分が一段高く描かれています。そのため、円形の部分を1.5mm程度かさ上げする必要があります。

 あと1回ほど続きます。

雑感:ハセガワ1/350日本海軍航空母艦「赤城」(延長戦-4)

2012–02–08 (Wed)
 3回目の続き。
 ハセガワ1/350赤城の左舷前部機銃座の部品(K2+K5)は、下の画像が示す形状になっています。

(本日の画像はクリックすると拡大表示します)

 船体側に付くK5は長細い箱状の形状ですが、高さが機銃座の厚み込みで3.5mm=実寸で1m25cm程しかなく、人が入り込むには高さが低すぎます。これも最初の雑感を書いた時に引っ掛かった事の一つですが、モールドの根拠を示す資料が手元になく良くわからないままになっていました。

 大和ミュージアムの公開資料の中に昭和16年9月現在の機銃甲板平面図と昭和13年8月製図の前部横断という公式図が存在することは前に述べました。これらの図面では該当部分はこのように示されています。

軍艦赤城 機銃甲板平面図 昭和16年9月末現在
横須賀海軍工廠造船部[製図・出図日未記入]より

航空母艦赤城 前部横断
佐世保海軍工廠造船部 昭和13年8月製図[出図日未記入]より

 平面図と前部横断図を並べてみると、キットのK5の部分は通路と部署から成り立っていることがわかります。平面図の青線は元の図面では点線で示されている部分で、用途は書かれていませんが、位置的に見て手すりを示しているものではないかと考えます。(a)の2ヶ所で切れている部分がありますが、これは機銃座の実線と重複して判読できなかったためで、外周に沿って続いていた可能性はあります(この手すり自体はエッチングベーシックA・MA54で用意されていますが、平面図とは設置形状が若干異なっています)。

 キットの部品K5は機銃座の艦首側の端までクローズドとなっていますが、平面図の(b)で示した部分に手すりと思われる線が回り込んで、その先にA.O.=アーチ型開口部が描かれています。そのため、下からのラッタルから開口部までの通路はオープンだったのではないかと考えます。これに関しては実艦写真にもそのように見えるものがあります。

日本海軍艦艇写真集航空母艦・水上機母艦p22
昭和13年秋の写真より引用

 この写真を見る限りでは、機銃座の背面の壁は(c)の位置で切れているように見えます。また機銃座のブルワークは(d)の位置で一部切れているようにも見えます。

 次に機銃台の高さですが、図面には木甲板下から機銃座までの高さが記載されており、その数値は1m90cm=1/350で約5.5mmとなります。しかしながら、公式図上でのこの部分の飛行甲板の厚みが約25cm=1/350で0.7mmなのに対して、このキットの飛行甲板の厚みは1.5mmもあるため、それを差し引いた4mm強をキット上の高さと考えれば、機銃台の底までの位置3.5mmは0.5~0.7mm程度高い事になります。ただし、この106番フレーム付近での上甲板から飛行甲板までの高さが公式図と比較してどうも1mm程度低いようなので、誤りと言い切れるかどうかは微妙な所です。


 それらを踏まえて、機銃座と飛行甲板の間隔のバランスを考えた場合、左舷前部機銃座はキットより1mm程度下げた方がバランスが良くなるのではないかと個人的には考えます。その場合、最上部の補用機格納庫の「床」が上の画像の鉛筆で引いた位置付近になるため、キットにモールドされているハッチや窓とのバランスも良くなるようです。

 前部横断の図面からは、他に機銃座のサポートと船体の間に更に補強材があるように描かれています。これに関しては形状が明白に判る写真がなく真偽は不明です。ちなみに、機銃座の裏側の補強材を穴空きの金属帯板などで全て作り替えている作例を目にしますが、公式図の記載が正しければ、穴空き板で作り替えるのは支柱から先の斜めのサポート部だけのようです。

 以下次回。

雑感:ハセガワ1/350日本海軍航空母艦「赤城」(延長戦-3)

2012–01–20 (Fri)
 大和ミュージアムで公開されている赤城の昭和16年9月現在の一般艤装図は飛行甲板を除く船体各甲板平面図のみで、上部平面・舷外艦内側面や諸要部切断図は欠落しています。他に全体を示したものとしては大改装前と後の一般配置図がありますが、概略の図面でディテール等はほとんどわかりません。

 資料を当たってゆくうちに、昭和13年8月製図の前部横断・後部横断という図面に行き当たりました。前部は37・106番フレーム左舷艦尾方向、後部は244・296番左舷艦首方向、353番右舷艦首方向の断面図で、原書房「日本海軍艦艇図面集」p43の中央部構造切断図と同じく構造を示した詳細な図面です。この後部横断296番フレームの図面が、ちょうど1回目に示した昭和16年9月末現在の、左舷後部機銃甲板の予備落下傘格納所の壁面付近に当たります。この付近の構造がわかるかもしれないとデータを開きましたが…

軍艦赤城 機銃甲板平面図 昭和16年9月末現在
横須賀海軍工廠造船部[製図・出図日未記入]より
(本日の画像はクリックすると拡大表示します)

航空母艦赤城 後部横断
佐世保海軍工廠造船部 昭和13年8月製図[出図日未記入]より

 この図面では、機銃台の甲板は船体外舷まで届かず、二段の構造物と思われる所で止まっています。機銃台の下部サポート支柱の側面から構造物上部の床面と思われる部分にサポートが伸びているように見えます。模型どころかこれまで見た事も聞いた事も無い構造で、照会端末の前でしばらく唖然となりました。

 16年9月末の平面図と比較すると、機銃台と構造物の間のスペース(両図面の(a)で示した部分)の寸法が一致せず、実寸で約30~40cm近くズレています。またこの構造物の二段の床面と思われる部分は上部は高さが1m30~40cmほどしかなく、この線に沿って機銃台と搭乗員室をつなぐ通路があったとすれば通行が非常に困難でかつ搭乗員室に滑り降りるような形になります。また下部は機銃台からは1m20cmほど下に位置するため、これもラッタルなどがなければ飛び降りよじ登る形になります。従ってこの後部横断に示された構造物は16年9月末の平面図で示されている予備落下傘格納所を反映したものではない(改修された?)ものではないかと考えます。しかしながら、裏付けられる写真資料が手元にないため確証は何もありません。

 ただ、この部分に於いて機銃台が船体に伸びてその上に構造物がある形ではなく、機銃台と構造物が別々に独立して存在する可能性は興味深いものがあります。平面図では位置関係がよくわからないサポート状のものや、もし機銃員待機所が記述通り存在するとすれば、形状を考える上で何かヒントが隠されているかもしれません。

 また、この断面図では機銃台の下部サポートが背面に回り込んで構造物の側面に留められているように見えます。もしこの構造物が手前(艦尾側)まで伸びているならば外板のラインがサポートの上に実線で描かれるため、この構造物は296番フレームの位置迄で止まっている、すなわち、平面図で部署の記載がない(b)で示された区画は少なくとも大改装直後の昭和13年当時はハセガワのキット通り空間だったものと考えられます。

 この位置に於ける飛行甲板下端と機銃台との間隔は図示されていませんが、他の部分の寸法から割り出すと約1m90cm=1/350で約5.5mmとなり、プラの厚み込みで約4.5mmのハセガワの機銃台はどうも1mm程度位置が高いようです。全体を1mm下げると洗濯物乾索格納所の位置で約1m60cm前後となり、出入りはやや窮屈な程度の空間となります。

 以下次回。

雑感:ハセガワ1/350日本海軍航空母艦「赤城」(延長戦-2)

2012–01–14 (Sat)
(注:この記事には大幅に修正が加えられています。修正前原文は下に記載しています)

 前回の記事のりゅうさんのコメントに関してですが、私も図面を最初に見た時はサポートらしきものが見える部分は全て空間だと考えました。赤城の昭和16年9月末現在の公式図に於いて、船体から舷外への張り出しで裏側のサポートらしきものが描かれている部分はこの左舷後部機銃座しかありません。図面に於いて隠れているものが描かれていないのであれば、該当する部分は見えている-すなわち空間であったと見るのが妥当ですし、少なくとも大改装直後の昭和13年当時はそのような形状だったと考えます。その根拠に関しては次回に述べます。

 図面の床面がクローズドである可能性ですが、前回示した図面では壁面に沿って開口部記号「(X)」が示されています。もし人が通過できるものならばフジミ1/700のように床面はクローズであり、窓と解釈するならばハセガワ1/350の通り空間と考えられます。ただ、左舷後部機銃座は構造を示す鮮明な写真が手元になく、実際どちらの解釈が正しいのかは全くわかりません。

 機銃座の位置に関しては次回以降で述べますが、結論はキールとほぼ平行、すなわちハセガワの解釈を否定できる根拠はありませんでした。ただし、設置位置がキットより若干低いようです。

 以下次回。


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MOMOKO.120%

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現在は1/100初代海王丸の製作を一時休止して、ハセガワ1/350空母隼鷹を製作しています。

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