前回の続き。
保存船、上甲板右舷側の通路の船尾端から船首方向を見る
(2006年10月27日撮影)
画像左の木製ショーケースの下の部分が搬入ハッチになります。
(本日の画像はクリックすると別窓で拡大表示します) この船は建造当時と比べて、機械による通風環境の改善と電気設備の増設が図られ、その結果として通路の天井には通風ダクトや無数の電線が伸びる事になりました。特に電気設備は1985年のこの頃になると発電機の能力の限界近くまで達し、限られた部署にしかなかった冷房設備の使用すら制約をきたしたり、イルミネーションを点灯する際は船内の照明まで落とさないと追いつかない状態だったと聞きます。現在の保存船には特に解説はありませんが、こういうところにも船歴の古さと長さを偲ばせるものがあります。
右舷舷側のハッチの開口部から見える範囲が一通りできました。画像は手前が船首側、左の通路が右舷側になります。
中央の搬入ハッチに接している台と上の機器は1985年のNHKの取材映像に映っているものですが、正確な形状と用途は判りません。上甲板区画のどこかに印刷とコピー機の専用台があったらしいのでそれではないかとも考えますが、85年当時にこのような卓上式のコピー機があったのかどうかはっきりせず確証はありません。現在の保存船では搬入ハッチの外側は開口部になっていますが、85年当時は上述の映像から台がある事だけは間違いないので、部分的に閉鎖されていたものと考えられます。模型ではこの部分は見えないので甲板をそのまま延伸した形にとどめています。
上甲板搬入ハッチ周辺図
公式図上では1964年春に真下の中甲板にレントゲン室が設置された際に
貫通部が半分に削られたため
ハッチ自体は赤で囲った半分しか機能していない事が示されています。 天井の配線類は今となっては確認のしようがありませんが、1970年代後半の船内写真を見ても同じように配線の束が走っているため、現在の保存船の状態から見える部分だけをアレンジして作っています。中央の黒い円形のものは通風ダクトの空気吹出口です。
完成後は光源のほとんどが遮られるので上の画像のようにはっきりとは見えないはずですが、このような大型模型では開口部を覗いてがらんどうより少しでも何か見えたら面白いと思います。この製作ではウェルデッキ(船首側上甲板露天部)の天井も同様の手順で作るので、そのテストも兼ねています。
これで船体外側の多くの部分が作れたので、
次は一旦船体にサフを吹いて表面状態を確認します。
以下次回。
なお、来週は都合により更新はありません。次回の記事は7/30以降の予定です。